※写真はイメージです

「バックパックで世界一周中のカップルYouTuberが、6月3日、バングラデシュで撮影した、現地の男性6人と写った写真をアップすると、”彼女をこんなところに連れていくなんてあまりに危険すぎる”などと批難が殺到。バックパッカー容認派との間で論争が起き、Twitterを中心に炎上する事態となりました」(WEBメディア編集者)

 もともと、バックパックやヒッチハイク界隈は「定期的に炎上する案件」だと続ける。

「若者を中心に、ある種”ファッション”となっているバックパックやヒッチハイク。海外の治安状況をなめているとしか思えない軽率な言動や、あまりに低い危機管理意識などから、近年はよく炎上の対象になっています。”海外で死ぬのは自己責任だけど、その事後処理に使われるのは我々日本人の税金だ”なんて過激なコメントまで見受けられます」(前出・WEBメディア編集者)

日本人の安全感覚では通用しない国

 バングラデシュ人を夫に持つ日本在住の女性は「現地人であるパートナーがいる私でさえ、バングラデシュに旅行する際は細心の注意が必要です。ましてや日本人の若いカップルが丸腰で行くことは相当危険。日本人の安全感覚では到底通用しない世界がそこにはあるんです」と警笛を鳴らす。

 事実、2020年、性暴力事件が相次ぐバングラデシュでは、レイプ犯に死刑を適用する方針が発表された。

「バングラデシュは実はアジアでも有数の親日国家です。それでも男女関係なく、日本人だけで夜に街を出歩くことは危険です」(前出・バングラデシュ人を夫に持つ日本在住の女性)

 バングラデシュの隣国で、言語や文化も似ているインドは、日本人女性にとって注意が必要だと言われることが多い。

 東京生まれ・インドネシア育ちで、女性ひとりで世界各国を旅するフォトグラファーの鮫島亜希子氏に、取材でインドに滞在したときの話を聞いた。

フォトグラファー鮫島亜希子氏、インドでの危機

インドでゲストハウスに宿泊した際、深夜にゲストハウスのオーナーが合鍵で解錠して部屋に侵入してきました。そのときは思わず日本語でブチギレて、股間を蹴り上げて追い返しました。そのゲストハウスはガイドブックなどに載っておらず、駅前の怪しげなリキシャ(タクシー)の若い男の子が連れて行ってくれたところだったので、やはりちゃんと調べた上で評判のいい宿に泊まることが大事です」(鮫島亜希子氏、以下同)

 他に行くあてもなかった彼女は、たくましくもインド人オーナーの股間を蹴り上げたあと、そのまま宿泊したという。が、他にもシャレにならないような経験がある。

インドの砂漠の街で、道を聞いたら人気のない坂道を教えられて。その道を歩いていたら、さっき道を聞いた若者数人が走って追いかけてきて、私を押し倒して襲おうとしてきた。これはもうダメだと諦めかけたのですが、近くにあった祠のような場所の管理人に助けられて、事なきを得たことがあります。

 あとは同じくインドで“クンブメーラ”と言われる世界最大級の宗教行事があるのですが、そんなすし詰め状態のお祭りの取材中のこと。夢中で写真を撮っていたら、人だらけの混乱に乗じて、正面から激しく胸をもみしだかれた経験もあります」

マンモグラフィ並に力強かった」という握力を思い出しながら、「海外では、いつなんどきでも、隙を見せてはならないーーー。これが私の教訓です」と教えてくれた。

 旅文学の大傑作『深夜特急』を書いた作家の沢木耕太郎氏は「恐れずに。しかし、気をつけて」というメッセージを読者に送っている。世界を旅するバックパッカーが現地で得られる、人との関わりはもちろんプライスレス。しかし、何かあってからでは遅いのだ。

 

今回炎上したバックパックで世界一周中のカップルインフルエンサー。現地でできたバングラデシュ人の男性らとカレーを作って楽しんだようだ。

 

「トリミングしましたが、本当はこの人たち、下半身も丸裸です」と撮影・鮫島亜希子氏談。

 

インドで12年に1度行われる、世界最大級の宗教祝祭「クンブメーラ」。巡礼者でごった返し、圧死者が出てもおかしくない大混雑。撮影/鮫島亜希子