湯通しキャベツを食べるだけで体重コントロールがラクラク!そんなダイエット法を提唱しているのが、内科専門医の周東寛先生。
湯通しキャベツダイエットを30年前から実践
30数年前の40代、周東先生は身長165cmに対して体重は65kgと、やや小太りぎみだった。その後、「湯通しキャベツダイエット」を自ら実践。体重は5kg、ウエストは3cm減り、今もその体重をキープ中だ。
「この経験から、患者さんたちにもすすめてきましたが驚くべき効果が表れています」(周東先生、以下同)
一般的にキャベツは、ビタミンU(キャベジン)という成分が豊富なことが知られている。ビタミンUは胃酸の過剰な分泌を抑制し、胃を保護する作用があることから、胃炎や胃潰瘍などの薬にも利用されている。しかし、キャベツをダイエットと結びつけたのはどうしてなのか。
「キャベツは100gあたり約20kcalと低カロリー。ビタミンCや食物繊維なども多く、ダイエットに適しているうえに、価格も安いので無理なく続けやすいからです」
ダイエット効果を得るためには、湯通しキャベツを食前にとることを推奨している。ある程度、空腹感を満たせるのと、食べすぎの人は食事の量を減らせるからだ。さらに血糖値を調整するホルモン、インスリンの過度な分泌を抑えられる。
「1回に食べる湯通しキャベツの分量は、小鉢より少し大きめのサイズの器に、6分目から8分目ほど。食べやすくするためにも味はつけていいですよ。私はポン酢や酢漬けの玉ねぎで作った『酢玉ねぎ』などをかけています」
炭水化物を1日1食、湯通しキャベツに置き換えるのもよい。ご飯やパンなどの摂取量を減らせれば、それだけでダイエットの効果が高まる。
「食事の量を極端に減らすダイエットは長続きしません。湯通しキャベツなら満腹感が得られて、摂取カロリーが低く、身体に必要な成分や栄養素も不足しないので、健康的に体重を落とせます」
また、周東先生は揚げ物などの酸化した油をとらないようにし、体重をコントロールしている。
「湯通しキャベツを食べるときの味つけも、少量のマヨネーズならいいですが、できれば、油分が少なくさっぱりしたノンオイルドレッシングなどがおすすめ。余分なカロリー摂取を防げますし、健康効果も実感しやすいですよ」
このダイエットを始めて、胃腸の調子や便通がよくなったり、肌がきれいになったという患者さんも多い。
湯通しでキャベツの食べやすさがアップ!
ではなぜ、生ではなく“湯通し”したほうがいいのか。
「キャベツを湯通しすることには、たくさんのメリットがあるからです」
食べやすくなる
生のキャベツは意外にかたい部分もあるので、口の粘膜を傷つけるおそれがある。湯通しすることでキャベツがしんなりして、やわらかい食感になり、歯が悪い人や高齢者でも無理なく食べられる。
一度にたくさん食べられる
湯通しキャベツは、生のキャベツよりもカサが減り、量がたくさん食べられるため、満腹感が持続。間食や空腹後のドカ食い防止にも。
甘みが増して腸活効果も
湯通しすることで、キャベツの葉はしっとり、茎の部分はシャキシャキするなど、程よい食感に。青臭さも減り、キャベツに含まれるオリゴ糖の甘みが増して、生でとった場合より腸内細菌のえさに利用されやすく、腸内環境の改善にも有効。
キャベツについている農薬や雑菌を落とせる
キャベツは土に接して生育するため、葉に土や雑菌が付着しやすい。害虫もつきやすく、畑では農薬の散布が必須になる。湯通しにはキャベツの葉に付着した雑菌や農薬などを洗い流す効果もある。
湯通しをすると、キャベツの栄養成分が壊れたり、流れ出てしまうのでは?
「キャベツに含まれるファイトケミカル(※)や食物繊維は熱に対して強く、湯通しをしても壊れにくいです。ビタミン類は、短時間の湯通しではそれほど減りません」
※野菜が、紫外線や害虫などから自らを守るために作り出した成分。強い抗酸化作用を持つ
脂肪肝やがん予防に効果的なキャベツ
「キャベツはビタミンC、オリゴ糖、カリウム、食物繊維などの成分が豊富なので、とり続けることは病気予防にも効果的です」
ビタミンCは抗酸化作用があり、オリゴ糖は腸の働きを活発にして、便秘解消に役立つ。また、カリウムは塩分の排出を促し、血圧の上昇を抑える。食物繊維はコレステロールを吸着して、体外に排出する働きがあるので、脂質異常症の改善にもなる。
「注目すべきは、キャベツを食べることで、インクレチンという腸管ホルモンの分泌が増える点です」
インクレチンはインスリンの分泌を促進して、血糖値の上昇を緩やかにしてくれる。
「血圧やコレステロール値、血糖値などが高い患者さんには特におすすめしています」
脂肪肝やがんを予防する効果もあるという。
脂肪肝は、食べすぎなどによって過剰に摂取された糖質が、中性脂肪として肝臓に蓄積される病気。食前に湯通しキャベツを食べれば、ご飯などの糖質の摂取量を抑えられ、中性脂肪を減らせる。
「食べ始めてから1か月ほどで、脂肪肝が改善され、肝機能もよくなったという報告もあるほどです」
キャベツを食べるメリットはそれだけではない。キャベツに含まれるファイトケミカルは、活性酸素を除去する抗酸化作用が強い。
さらに、免疫細胞を増やすことが期待できるので免疫力が高まれば、がんの予防にもつながる。
毎朝食べ続けたらコレステロールも正常
71歳の今も現役医師として働く周東先生。
「健康長寿のためには血液の健康がとても大事。40代のころはコレステロール値が高めでしたが、湯通しキャベツを始めてからずっと、正常値をキープ中です」
昼食は診察の合間に不規則な時間帯で食べることが多いが、血圧も血糖値も長年問題なし。
「湯通しキャベツは毎朝食べています。朝食メニューはほぼ変わりません。キャベツには『酢玉ねぎ』をのせ、サラダ風にしていますが、それが主食がわりです」
この酢玉ねぎも周東先生が考案。酢や玉ねぎの成分が身体の不調を緩和する効果がある。
「長続きできるよう、まずは自分が取り入れやすい方法を考えてみて。カット野菜の『せん切りキャベツ』にお湯をかけたものだっていいんです。自分好みにアレンジして、健康的にやせましょう」
南越谷健身会クリニック院長・周東 寛先生
南越谷健身会クリニック院長。医学博士。日本内科学会認定医、日本アレルギー学会専門医など各学会の専門医、指導医を取得。『医師がすすめる!酢タマネギ薬食術』(共著・マキノ出版)など著書も多数。
<取材・文/松澤ゆかり>