2019年、就職情報サイト「リクナビ」が「内定辞退率」のデータをクライアント企業に対し、学生に無断で提供していたことが発覚。当時は大きな問題に

 就活生向けの就職情報サイトといえば、長らく「リクナビ」「マイナビ」が2強であった。コロナ禍で落ち込んでいた経済もようやく上向きの兆しを見せ、多くの企業で新卒採用ムードが高まりつつある。

 そんな中、人材サービス大手のリクルートが運営する就活サイト「リクナビ」が開催したオンライン就活セミナー内において、“サクラ行為”が常態的に行われていたと発覚、物議を醸しているのだ。

《学生向けオンラインセミナーの質疑応答のコーナーにおいて、弊社社員の一部が参加学生を装い、質問を投げかけていたことや、学生の皆さまに対して不適切な発言を行っていたことが分かりました》

 リクルートが6月5日「リクナビ2024」に掲載した謝罪文の一節である。

リクルートが6月5日「リクナビ2024」に掲載した謝罪文の一節

リクルート社内報の内容は報道と同じレベル

 コロナ禍において就活セミナーのオンラインでの開催が余儀なくされる中、

《質問しづらい雰囲気になりがちであったことに対し、質問しやすい雰囲気作りのきっかけとして》

 リクルート社員が学生を装って質問するという“サクラ行為”が、2021年4月以降だけで少なくとも20件以上行われていたといわれている。

「リクルートの社内でも、報道が出てすぐに、当該ニュースが社内報で周知されたといいます。ただ、詳細などはなく、報道されたものと同じレベルだったそう」(リクルート関係者)

 今回の問題が発覚したきっかけは、同社の社内チャット画面が流出していることから見ても、“内部告発”である。

サクラ中の社員たちの“生々しい共有”

常態化するサクラ行為は、本来の正義である“学生ファースト”に反していると、問題を感じた社員が暴露に至ったのだと思います」(同・リクルート関係者)

 事件発覚後、同じく就活サイト大手の「マイナビ」からも、同様の事態が確認されたと謝罪文が出されている。

 ベンチャー企業の人事担当者に話を聞くと、

オンラインセミナーで、社員が学生のフリをして質問していることには何の驚きもありませんし、まぁそうだろうなという印象

 とそこまで驚いた様子もない。

《申し込みに関する質問が来たテイで演技し、「申し込みに関する質問ありがとうございます♪もう一度一緒に申し込みしてみましょう!」と質疑応答時間中に複数回ブロードキャスト(※全体配信)を実施。【結果】UU13名、予約数68件獲得》といった、何とも生々しい部分までも。

「就活サイトへの登録を促し、クライアントである企業の説明会日程を予約させる、という学生の動線までを意識した上でのサクラ行為であったことが問題。とにかく営業成績を、という悪しき風習が露呈された形になっています」(前出・リクルート関係者)

 希望を持った就活生を失望させてはいけない。

 

リクルートが6月5日「リクナビ2024」に掲載した謝罪文の一節

 

2021年12月6日19時ごろに学歴フィルターを否定するとともに、誤送であったとことを謝罪したマイナビからのメール

 

就活の教科書にアップされている「【行く意味ある?】Fラン大学一覧」。「底辺の仕事ランキング」をきっかけに批判の声が集まった(公式HPより)

 

『就活の教科書』の記事内でFラン大学として紹介された大学(公式HPより)