《油が高温になって…耐熱温度を超えてしまい…アイラップに穴があきます…レンチンの際は耐熱皿を…必ず敷いてください…ホント頼みます…》
6月1日、料理動画サイトのTasty Japanが、ポリ袋と電子レンジで作る焼きそばのレシピ動画を配信したところ、袋のラップ『アイラップ』が公式ツイッターで冒頭のような危険性を指摘。それを受けてTasty Japanはお詫び投稿をして、動画を削除した。
電子レンジ調理でポリ袋を使ったレシピはほかにもあるが、どのような点に気をつけるべきなのか。製品事故に関する調査や分析を行うNITE製品安全センターの製品安全広報課・宮川さんに伺った。
「ポリ袋を使用して事故になった事例というのはこちらに届いていませんが、油の多い食材をラップに直接包むと、耐熱温度を超えてしまって穴があき、さらに加熱すると発火の可能性があります」
もし発火してしまったら?
ポリ袋を使用しなくても、油分が多く、水分が少ないものを調理する際は注意が必要。
「肉まんが真っ黒こげになったという事例も。電子レンジはマイクロ波を利用して食品を温めますが、加熱しすぎると食品が炭化してしまいます。さらに加熱を続けると、そこにマイクロ波が集中してスパーク(火花)が発生し、発煙・発火するおそれがあります」(宮川さん、以下同)
調理中はその場を離れず、加熱しすぎないことが大切。それでも発火してしまったら、どう対処すればいい?
「ドアを絶対に開けないでください。空気が入ると、炎が大きくなるため危険です。電源プラグを抜いて鎮火するのを待ちましょう。また、ドアのガラスは高温になっているため、水をかけるとガラスが割れ、ケガをするおそれも。消火器を使用することをおすすめします」
また、水やコーヒーなどを温める際の温めすぎは危険。
「電子レンジで急速に静かに加熱された液体は、沸点を超えても沸騰しない場合があります。ただ、振動などの衝撃で突然、激しく沸騰することがあります」
これは突沸と呼ばれる現象で、電子レンジで加熱したコーヒーを飲もうとしたところ、突然コーヒーが上方に噴き上がり、顔にやけどを負ったという事例もある。
庫内の汚れも要注意
「電子レンジで、飲み物やみそ汁、カレーやシチューなどを加熱するときは、設定時間を控えめに。沸騰ギリギリの状態をつくらないよう、途中で取り出してかき混ぜ、様子を見ながら加熱することをおすすめします」
卵を殻ごと加熱すると、内圧が上昇し破裂することも。食品だけでなく、アルミホイルや冷凍食品などのアルミ包装も要注意。金属がマイクロ波に反応して火花が出る。
「何も入れず、空焚きするのもよくありません。ターンテーブルのローラーにマイクロ波が集中してしまい、溶けたという事例もあります」
庫内に残る食品カスや汚れが発火の原因になることも多い。
「電子レンジの取り扱いに関して、製造メーカーは庫内をこまめに掃除してくださいと、注意喚起をしています。東京消防庁によると、電子レンジ使用の事故がここ数年増えていると聞きます。コロナ禍で家にいる時間が増え、使用する機会も多くなったことが原因と考えられますが、そのぶん、食品カスの残りや汚れも増えているのでは」
東京消防庁の発表では、電子レンジの事故は10年前と比べ3倍になったそう。NITEへの報告も毎年30件くらいあり、減ってはいない。
「やってしまいがちなことが意外と危険なケースも。いま一度、取扱説明書の注意事項を確認することをおすすめします」