「このあたりは午後8時を過ぎると、ほとんどのお店は閉まって夜中みたいになるんですよ。人通りも駅から帰ってくる人がポツポツいるぐらい。犯行が深夜で、なおかつマンションの1室だったなら、誰も気づけないでしょう……」
横浜中華街の近くでカフェを営む女性店主はこう話す。
6月6日、神奈川県警は整体師の伊藤恵太容疑者(31)を強制性交等致傷の疑いで逮捕した。
「犯行は今年1月25日の午後10時ごろから午後11時20分ごろまでの間に行われました。被害者は20代の女性で、この女性は伊藤容疑者が院長を務める整体院に客として訪れていた。伊藤容疑者は、この女性に対して性的暴行を加え、全治2週間を要する傷害を負わせたのです。6日の午前10時に伊藤容疑者が経営する整骨院からほど近い路上で逮捕しました。7日には検察へ送致しています」(捜査関係者)
犯行現場となったのは、みなとみらい線『元町・中華街駅』から徒歩5分ほどにあるマンション4階の1室。ネットに掲載されている伊藤容疑者のインタビュー記事によると、2021年に『からだの匠整体院』を開業していた。
「マンションに悪いイメージがついてしまい、参りますよ。ただ、被害に遭った女性のことを思えば、私の被害なんてさしたる問題ではありません。本当にかわいそうで……」
そう話すのは、現場マンションを所有する男性だ。
犯行時刻は4階フロアに誰もいなかった
「会えばキチンとあいさつもしてくれるさわやかな青年だったのに、まさかこんな悪質な犯罪をしているとは思いもしませんでした。家賃の支払いが遅れることもなかったので、お客さんは来ていたのだと思います」(同・マンション所有者の男性、以下同)
そしてこう続ける。
「犯行が行われた4階のフロアは、他にも入居されている方はいますけど、基本的には事務所として借りている人がほとんどで、犯行時刻にはほぼ誰も居ないフロアになるんです。唯一住んでいる人も、エレベーター側の部屋で、現場の部屋からは少し距離がありますから、何かあっても聞こえないのでは。5階に住む人も“特におかしなことはなかった”と話していました。整体院は彼1人でやっていましたから、それもよくなかったと思います」
マンション3階の住人にも今年1月に異変がなかったか話を聞いたが、
「まったく気が付かなかったし、何もおかしなことはなかったです」
と話すだけだった。
現場となったマンションの部屋は、マンションに面する路上からは奥まった場所にあり、ドアの目の前は隣接するビルの壁となっている。犯行が行われた人通りの少ない午前11時ごろの時間帯では、仮に女性が助けを求めてもその声は届かなかった可能性が高い。そもそも、伊藤容疑者が襲い掛かってきた恐怖に身がすくみ、助けを求めることすらできなかったかもしれない。そこまで考え、犯行に及んだのか――。
伊藤容疑者は、神奈川県内の県立高校を卒業後、東京都内にある柔道整復師の専門学校に進学。当時の伊藤容疑者の素顔について、専門学校で先輩だった女性が話す。
「伊藤クンはいつもおどおどしている気弱な子という印象ですね。“ゴリ”というあだ名で呼ばれて、愛されるイジられキャラという感じでした。女性にも慣れていなくて、キョドっていたのを覚えています」
そしてこんなことを呟く。
女性にハメられたんじゃないかと思った
「警察も適切な捜査を経て逮捕しているハズですから、ありえないとは思うんですが、最初に事件の話を聞いたときは、女性にハメられたんじゃないかと思ってしまいました。当時の彼の印象からは、とても想像できなくて……」
報道によると伊藤容疑者は、
「身に覚えはありません」
と容疑を否認しているという。しかし、ほかの女性からも伊藤容疑者からわいせつな行為をされたとする被害の訴えがあるようだ。
ただ、私生活では“子煩悩なパパ”という一面も。
伊藤容疑者は横浜市内にアパートを借り、家族で住んでいた。近隣住民が話す。
「ご家族は、奥さんとお子さんが2人の4人家族です。引っ越してきたのは3~4年ほど前だったと記憶しています。そのときにはすでに上のお子さんが生まれていました。ご主人は会えばちゃんとあいさつしてくれますし、お休みの日には家の前で子どもとボールで遊んだりダンゴムシを捕まえていたりする姿を見かけました」
別の近隣住民もこう話す。
「旦那さんは、朝早くに家を出て仕事に行き、夜遅くに帰ってきていました。だから、あまり接点もなくて……。伊藤さんの奥さんは物静かな人ですし、ご家庭からケンカする声が聞こえたこともありません。ごく普通の家庭でしたから、ニュースで事件を知って、ただただ驚いています」
伊藤容疑者の妻にも話を聞こうと自宅アパートのインターフォンを押したが、応答はなかった。
“愛されるイジられキャラ”で“家族を支える2児の父親”だった伊藤容疑者は、複数の女性に危害を加えたとされる許しがたい卑劣な犯行をする裏の顔を持っていた。犯罪に手を染める前に、家族の顔が脳裏に浮かばなかったのか――。
身体を密着させる“サービス”施術に違和感
整体師などが起こすわいせつ事件は後を絶たない。
今年5月には、広島県内で整体を営む男が、女性の下半身を触った疑いで逮捕された。今年3月にも千葉県にある整骨院を経営する男が、治療中の女性にわいせつな行為をした疑いで逮捕されている。
ある整体院で、違和感のある施術を受けたという女性はこんなことを話す。
「肩が凝って、仕事終わりに自宅近くの整体に予約をして行ったんです。遅い時間で私が最後のお客さんだったんですが、施術終わりに整体師から“サービスしてあげるよ”と、さらに1時間かけて施術をしてくれました」
ただ、ほかのスタッフも帰ってからは、こんな変化があったと続ける。
「整体院に2人きりになってから、最初とは違い身体を密着させるような施術内容になったんです。あからさまに胸や下半身を触られたわけではないのですが、とにかく気持ち悪くって……。整体師からは“またギリギリの時間に来たらサービスするよ”と言われましたが、怖くってそれ以来行っていません」
密室に2人きりは特に危険だ。用心したい。