静岡県沼津市の海岸で、生まれたばかりの女児の遺体が燃やされた凄惨な事件が起きた。関与していたのは、住所不定・無職の浅沼かんな容疑者(24)と高見直輝容疑者(20)。今月頭に、死体遺棄と死体損壊の疑いで逮捕・送検された。浅沼は死体遺棄について認めているものの、高見は「海岸には行ったがそんなことがあったのは知らない」などと容疑を否認している。
現在も2人の間に授かったとされる子どもがなぜ焼かれた形で発見されたのか理由は不明のまま。
すでに多くのメディアがこの凄惨な事件を取り上げている。浅沼がマッチングアプリで「前夫からDVを受けて別れた」「親権を奪われた」などと、子どもを口実に同情を買い、借金をしていたり、ホストクラブに300万円以上の未払いがあったり……数々の金銭トラブルがあることも報じられている。
「仲良くなりたい」Aさんに届いたDM
今回の事件はかなり残酷な内容だったこともあり、非難の声が多数寄せられている。
「自分の子どもを燃やすって…どういうこと?」
「他にも被害者多数なのね。もっと余罪ありそう」
「詐欺られたことあるからわかるわ。おれは全部警察に情報出した」
『週刊女性PRIME』は去年4月から7月までの3か月間、両容疑者と親交があった元友人の女性Aさん(仮名)に取材し、彼らの人柄や過去について聞いてみた。
出会いは昨年4月。Aさんのインスタグラムのアカウントに浅沼容疑者からフォローリクエストがきたことから関係がはじまったという。
「私のは顔や名前を公表していないアカウントだったので、ずっとリクエストを許可していなかったら、今度はDMが何度か来て。難波(大阪)の行きつけのお店があるのですが、そこで私のことを何度か見かけたらしく仲良くなりたいという内容でした。それがきっかけで仲良くなりました。今思えば、見かけたというのも本当のことかわかりませんが……」
はじめは、明るくて人懐こい子という印象だった──しかし、すぐに浅沼容疑者の本性が明らかになっていったという。
「お気に入りのホストのストーカーをしたり、そのホストの別のお客さんをインスタでネットストーカーしたり、異常なほどの依存気質・執念深さが垣間見えるようになりました」
明らかな異常性に気が付いたのは、出会ってから2週間目のこと。
複数回、財布から金を抜かれて
「ある日、いつものように難波に飲みに行くと、やたらと飲ませてきたんです。私は実家暮らしで難波から距離があったので、『終電で帰るからそんな飲めない』と言っても、『私の家に泊まればいいじゃん』と。これまでも彼女のマンションには何回か遊びに行っていたし翌日は仕事も休みだったので泊まることに。お酒が入っていたのですぐに寝てしまい、翌朝自宅に帰ったのですが、帰り道財布を開くとあったはずの5000円がなくなっていたんです」
一度は勘違いだと自分を納得させたAさんだが、別の日も浅沼容疑者といるときに財布から金がなくなったことがあったという。確信に変わったのが3度目のこと。そのとき、Aさんは寝たふりをしていたという。
「様子を見ていたら、私のカバンを漁っている光景を見て疑惑が確信に変わりました。気付かないふりをしてトイレに起きるふりで回避しましたが、計画性を感じて動揺が隠せませんでしたね」
自身も窃盗被害に遭ってしまったというAさんは、周りにも「浅沼といると自分の株下げるよ」と忠告されたこともあったという。それでもすぐに離れられなかった理由についてこう語る。
「出会ったときからお金を持っていることを匂わせたり、見栄を張りたい願望は感じていました。でも当時、私は精神的に落ち込んでいる状態で、学生時代の友人もそれぞれの家庭があったり仕事があったりでなかなか会えず、すぐに相談できる人が彼女しかいなかったんです。相談を親身に聞いてくれて自分のことのように涙まで流してくれたので、お金を取るのにも事情があるのかなと思い、なかなか離れる決断ができませんでした」
その後、仲良くなるにつれて浅沼容疑者の言動も過激に。
「地元・静岡でこんな悪さをした、自分が通ってたホストのインスタグラムを乗っ取ったなどと暴露したり、異常性を感じました。また『ここのホストクラブの前は未収(未収金・ツケのこと)だから歩きたくない』とよく言っていて、私が直接聞いた中でも10店舗以上は未収でしたね。ホストクラブで1回に使うお金は10万以上だったから、個人の借金も含めたら数百万とか相当未払いがあったと思いますよ。借用書を作らされても払わないこともあったそうです。ホスト界隈は横で結構つながっているから、自分のためにもならないのに」
パパ活男性の自宅の鍵を所持。衝撃のひと言
窃盗癖、ストーカー癖、踏み倒し癖だけでなく、虚言癖も明らかに。
「ほかにも仕事について『脱毛サロンの店長で安定して20万はもらっている』と言っていたのに、結局数年前に3か月で辞めていたことが分かったり、私自身も個人で10万円を貸していて、返済を証明するスクショを送ってきたものの偽造したものだったという出来事もありました。自分がついた嘘も覚えていないほどの虚言癖で、今考えると何から何まで嘘でしたね」
彼女の行動に嫌気が差し、Aさんは本格的に距離をおくべきか悩みつつも静観していたが、出会って2か月経ったころ、決定的な出来事が起きた。
「彼女がパパ活をしていた相手の家のカギをもらったと報告してきました。そして、“出張に行くって言ってるからその間に強盗に入って、金品を売って東京の方に飛ばないか?”と、とんでもない誘いを受けたんです。さすがにこれ以上深く関わることに恐怖を感じ、距離を取るようになりました」
そうこうするうちに、彼女が住んでいたマンションを家賃滞納して追い出されたという話が耳に入るようになったという。しかし、Aさんが実際に大家に聞いたところによれば、彼女のほうが荷物を持って逃げる形で“飛んだ”ということが判明。
「大家さん側が裁判を起こすかもしれないという話も聞きました。その後、浅沼さんはネットカフェ生活をしていたそうですが、そこでも料金を払わず警察沙汰になったりしたそうです」
Aさんに距離を置かれた浅沼容疑者は、Aさんとのツーショットを誰彼かまわずに送り、宗教にハマっている、男をとっかえひっかえしているなどと嘘を吹聴したりしたという。さらには「友達がお金がなくて困っているから貸してあげたいけれど、私もお金がないから困っている」などとAさんをダシに使って自身がお金を借りることもあったと、のちに知人を通して知ったそうだ。去年7月にAさんは「私に連絡をしてこないでほしい」と伝えて縁を切った。
高見容疑者は「彼女にいいように使われていたのかな」
3か月という短い間に浅沼容疑者に振り回されてしまったAさん。報道を見た際の印象を聞いてみると、
「正直いつか男女関係やホスト関係で人を刺したりして捕まるかもとは思っていましたが、自分の子を燃やすなんて思いませんでした。
ただ、彼女はバツイチで、前の旦那さんとの間に子どもが別にいて。私は彼女から、『お金がないから施設に預けて里親さんに育ててもらっている』と聞いていましたが、報道をみると、前の旦那さんが子どもを育てているらしいじゃないですか。ホストにお金を使っている写真も見せてもらっていたので、そのお金があれば子どもを育てられるのに、男と居たかっただけじゃないのかとは思いましたね」
高見容疑者に関しても会ったことがあるAさんは、浅沼のために人生を棒に振ってしまったのではと語る。当時付き合ってはいないものの、共依存している印象だったといい、
「当時、浅沼は高見さん以外にも不特定多数の男性と関係を持っていましたが、高見さんが務めるホストクラブが提供している寮に出入りするほどの仲。高見さんはものすごくいい子そうだったけど、彼は当時10代で気の弱そうなところがあったので、彼女にいいように使われていたのかなと思いました。今回の事件とは別にお相手の高見さんも一緒に怖い人がバックにいることを匂わせお金を脅し取ったり、詐欺まがいのことをしていたという噂も聞きましたね」
『週刊女性PRIME』の取材を受けた理由についてAさんはこのように話す。
「もちろん彼女と楽しかった思い出もありますし、精神的に救われたときもあったので、楽しい思い出もあります。でも今までいろんな悪巧みや計算づくの行動を見てきているので、今回の事件で『頼れる人がいなかったのかな』『お金がなかったのかな』と同情の余地を与えて欲しくなかった。
私は泣き寝入りしてしまったけど、自分のような被害者を出したくないと思いました。親とあんまり仲良くないとか、友達があんまりいないとか、そういう狭い世界にいる子と仲良くする傾向がある。一見明るくてフレンドリーな子が平気で騙したりするから、本当に気をつけてほしい」
若くして凶悪な犯罪に手を染めた彼らの今後の動向に注目が集まる。