6月17日、両陛下が親善訪問のため、インドネシアに向けて出発された。
「親善を目的とした海外訪問は即位後初めてです。雅子さまにとっては、'02年にオーストラリアとニュージーランドを訪問されて以来となります」(皇室担当記者)
21年ぶりの肉声会見は果たされず
15日に行われた記者会見で、陛下は抱負やインドネシアの印象とともに、「雅子とともに訪問できることをうれしく思っております。雅子には、引き続き体調に気をつけながら、今回の訪問を無事に務めてくれればと思っております」と語られていた。
宮内庁OBで皇室解説者の山下晋司さんは、雅子さまが同行される意義についてこう読み取った。
「天皇陛下の記者会見でのご発言から、久しぶりに2人で親善訪問できることの喜びが伝わってきました。天皇陛下も国賓として外国を訪問されるのは初めてです。皇后陛下にとっても未経験の行事が続くことに不安はおありだと思います。それでも、皇后として天皇陛下とともに国際親善に努めるべきだというお気持ちが強かったのでしょう」
海外訪問前は事前に会見を行うのが通例。雅子さまも前回の'02年には会見に臨まれたが、その後、療養に入られたこともあり、21年の間、肉声での会見は行われていない。今回も陛下はおひとりで会見に臨まれた。
「事前の記者会見は訪問国でも報道され、歓迎の機運を高めるという面があります。
今回は両陛下で訪問されるので、インドネシア国内でも皇后陛下への関心が高まると思います。記者会見はハードルが高いでしょうが、文書ででも皇后陛下のお言葉があればよかったと思います」(山下さん)
“ノーコメント”での訪問はやはりご体調の影響なのか。
インドネシア訪問が“転換点”に
「雅子さまの体調にはいまだ波があります。会見に出席されず、文書すら公表されなかったのは、あまり体調が芳しくないのかもしれません。17日のご出発の際、御所での取材が予定されていましたが、ご負担を考慮し、前日の夜に中止が発表されました」(前出・皇室担当記者)
それでも皇后として同行することを選ばれた雅子さま。ご体調について、ある変化がおありのようだ。
「一昨年、お誕生日に際してのご感想を綴られた文書を公表された際には、《快復に向けて》といった文言が盛り込まれていましたが、昨年のお誕生日文書にはそういった文言は入っていませんでした。
とはいえ、雅子さまは現在も療養中でいらっしゃいます。“皇后としての務めを果たさなければならない”というお気持ちは、さらにご自分を追い込んでしまうことにもつながります。今後は引き続き、ご体調と相談しながら歩みを進められると思われます」(宮内庁関係者、以下同)
ご体調を整えて臨むインドネシアへのご訪問が、今後の海外公務のターニングポイントになりそうだ。
「ジョコ大統領夫妻との会見、午餐会などの公務に参加され、インドネシア訪問が成功で終わるということがいちばん重要です。今回のご訪問を無事終えることができたら、雅子さまにとっては、自信になると思いますし、次の訪問につながると考えられます」
かねて“皇室外交”に意欲的だった雅子さま。今回のご訪問が新たなスタートの第一歩となってほしい。
山下晋司 皇室解説者。23年間の宮内庁勤務の後、出版社役員を経て独立。書籍やテレビ番組の監修、執筆、講演などを行っている