部屋探し情報のサイトといえば、「SUUMO(以下スーモ)」を思い浮かべる人が多いのではないだろうか。賃貸物件での生活を経験した人であれば、引っ越しを検討する際、一度は必ず目にするといってもいいだろう。そんな「スーモ」に関しての、ツイッター上でのある投稿が話題となった。
《不動産屋に聞いたんだが、 スーモがめちゃくちゃ嫌われてるらしい。物件資料にも「※スーモは掲載不可」が大量発生。なぜか聞いたところ、「あの業者はビジネスモデルのせいで“おとり物件”を作ってしまうから」だそう》
いわゆるおとり物件とは、「そもそも存在しない物件」もしくは「存在するが取引できない物件」のことを指す。たしかに、不動産の物件資料内で「スーモ掲載不可」といった文言があることは確認できる─。
「スーモ掲載不可」の文言が掲載されるワケ
当該ツイートにはさまざまなリアクションが寄せられ、議論となっていた。
真偽のほどを探るべく、関東圏で数十店舗を展開する賃貸専門不動産仲介会社の営業スタッフに話を聞いた。
「まず、“スーモ掲載不可”という文言が物件資料に掲載される意図は大きく分けて2つあります。まず、大元の不動産“管理”会社がすでにスーモに掲載しているから、というパターン。管理会社がすでに掲載済みの物件を、さらに不動産“仲介”会社も掲載してしまうと、手数料が二重で発生してしまう。スーモは大きな反響がとれるので、“管理会社の当社が掲載するから仲介会社は掲載しないでね”の意味です。“スーモ掲載不可”の理由は、これが8割を占めます」(仲介会社営業、以下同)
残る2割は?
おとり広告についてリクルートに問い合わせると
「単純に、スーモに掲載すると、反響が来すぎてしまうから。物件によってはスーモに掲載すると電話が鳴りやまない!みたいなケースもあるので、業務都合により掲載を制限するケースがあります」
では、当該ツイートの、スーモの“ビジネスモデル”とは何なのか。
「スーモは、自社サイトの掲載枠を毎月一定数、定額で販売している、掲載課金型サイトです。例えば私が勤務する仲介会社は都内の1店舗だけで、1500件のスーモの掲載枠を買っているんです。掲載課金型モデルがゆえにおとり物件を生んでしまう、という理屈は成立しません」
そもそも“おとり物件”は存在するのか。運営のリクルートに問い合わせたところ、
《社として、故意に掲載している事実はございません。また、成約済みの物件については、確認でき次第掲載停止をしており、成約済み情報を発見していただいた際には、一般消費者・事業者双方から個別にご報告いただけるようにしております》
との返答があった。
「もしスーモがなくなったら、日本のほとんどの仲介会社が倒産すると思います(笑)」(前出・仲介会社営業)
スーモ、恐るべし。