世間を驚愕させた市川猿之助の心中騒動が起きてから1か月以上がたった。猿之助は病院に隔離されながら取り調べを受けているというが、その進捗が聞こえてこない。
「自身に対するセクハラ・パワハラの告発記事が『女性セブン』に掲載されることを知った猿之助さんは、同誌発売日の前日に父の市川段四郎さんと母の延子さんと一緒に自宅で心中を決行。その結果、猿之助さんだけが命を取り留めました」(ワイドショースタッフ、以下同)
猿之助は警察に対して、“死んで生まれ変わろう”と家族3人で向精神薬を服用。意識を失った両親にビニール袋をかぶせて動かなくなったのを確認した後、半地下のクローゼットで首をつろうとするも死にきれずにいたところを、マネージャーらによって発見された、と語っているようだが─。
「自身のスキャンダルを理由に両親を死に巻き込むのか、など理解しがたい点が多々ありますが、疑問が湧くのは両親の遺書がなかった点。これから命を絶とうとする人が、何もメッセージを残さないことがあるでしょうか。猿之助さんの家族間の関係性が気になります」
そんな猿之助一家と長年交流し、一緒に踊りの稽古をしていたという日本舞踊の関係者から話を聞けた。
育ちのいい、真面目な坊ちゃん
「猿之助さんが中学生だったころから存じています。礼儀正しく、カバンを肩からキチッと下げていました。会うといい姿勢のまま、頭を直角に下げられていたのを覚えています。育ちのいい、まじめなお坊ちゃんでした。大人になるにつれて、稽古中は見込みのあるお弟子さんには優しく、そうでない下手な人には厳しく指導するといった一面も出てきました。礼儀正しく話していたと思ったら急に怒鳴り散らしたりして、その温度差に驚いたこともあります」
その一方で両親はというと、
「段四郎さんは誰に対しても親切で丁寧。言葉を荒らげることなんてなかったです。延子さんは気が強いほうで、馬が合う人とはうまくやれていたのですが、ダメな人にはいっさい話しかけないような性格でした」
二面性を持ち合わせた息子に、温和な父と自己主張が強い母。それぞれ性格が異なる猿之助一家だが、一部で不穏な見方が囁かれている。
「心中とは全員の同意のもとで一緒に命を絶つ行為。猿之助さんの独断で心中を決行していれば、この一連の騒ぎは心中を装った惨劇“偽装心中”です。その場合、猿之助さんは殺人罪の可能性、さらにいえば死刑という判決もありえます」(法曹関係者)
猿之助は殺人罪になる可能性はあるのか。弁護士法人ユア・エースの正木絢生代表弁護士に話を聞いた。
殺人罪が成立する可能性は低くない
「心中行為に成立しうる犯罪は『自殺関与か同意殺人罪』。もしくは『殺人罪』と大きく2つ。これらを判断するには、被害者に自分で死にたいという“自殺意思”、または殺されたいという“被殺意思”の有無が重要になります。もし猿之助さんのご両親に、自殺意思・被殺意思がないと判断され、加えて猿之助さんに殺意があり、彼の行った行為がご両親の死亡結果の原因だったと判断された場合、猿之助さんには殺人罪が成立する可能性は低くないと思います。
しかし、ご両親の死因がまだ何かはっきりとわかっているわけではないので、より軽い『傷害致死のほう助』などの可能性もあります」
自殺意思や被殺意思の有無はどうやって判断されるのか。
「騙されたり脅されたりでなく、自分が死ぬことを受け入れていたかが問われます。これらは死因とされている向精神薬の入手時期や経路、また両親の遺体や部屋の状態、亡くなるに当たって猿之助さんに抵抗していなかったかを見極めたいところです。家族間でどのようなやりとりがあったのかが重要になりますが、ご両親が亡くなっており、猿之助さんに話を聞くしかないため、慎重に検証する必要があります」(正木弁護士)
今なお取り調べが続く猿之助。彼の口から真実が語られる日は来るのか─。
正木絢生代表弁護士
弁護士法人ユア・エース代表。慶應義塾大学法科大学院卒業。第二東京弁護士会所属。bayfm『ゆっきーのCan Can do it!』にレギュラー出演するほか、ニュース・情報番組『news イット!』(フジテレビ系)などメディア出演も多数。相談しやすい身近な弁護士。YouTubeやTikTokの「マサッキー弁護士チャンネル」にて、法律やお金のことをわかりやすく解説、配信中。