6月24日に控えた、WBA世界スーパーフライ級王者ジョシュア・フランコ選手との世界タイトル戦に再び臨む、挑戦者で元世界4階級制覇王者の井岡一翔選手(以下、敬称略)にまたも“薬物騒動”だ。
2022年の大晦日に行われたフランコとのWBA、WBO世界スーパーフライ級王座統一戦後のドーピング検査で、井岡から採取された検体から大麻成分(THC)の陽性反応があったことをJBC(日本ボクシングコミッション)が発表。
いわば井岡に“薬物”疑惑が浮上したわけだが、世界戦は予定通り開催されるとのこと。というのもーー、
「JBCは明確な数値を明かしていませんが、井岡選手から検出された数値はWADA(世界アンチドーピング機構)が定めた基準値の上限(180ng/ml)よりも少ない量だとし、“ドーピング禁止を定めるJBC第97条には違反しなかった”と判断したのです」
ボクシングや格闘技の現場を取材するスポーツジャーナリストによると「JBC第97条」とは、《JBCの管轄のもとでおこなわれる試合に出場するボクサーは、リングにおける自らの能力を増強もしくは減衰させる麻薬、薬剤、薬物を摂取しもしくは身体に塗布してはならない。》というもの。
この大麻成分の検出量が“世界基準”では違反ではないとしつつも、“第97条違反以外の各種規定違反を理由とする処分の可能性については検討中”と、何やら処分に含みを持たせたJBC。
これに対して井岡が所属する志成ジムは、世界戦を直前に控えての発表に《困惑している》としつつ、
《2年前に偽陽性とはいえ陽性と一度は判断されたこともあり、当ジムも井岡も、禁止物質の摂取については、常に注意を払っておりました。当ジムおよび井岡としては、今回も、井岡の潔白を証明していく所存です。》
警察の大麻検査を一度受けてみては?
井岡は“無罪”であることを強く訴えたのだった。しかしネット上では、
《検査に引っかかり過ぎじゃね 井岡の試合はつまらないから開催でも中止でもどっちもいいけど、これドーピングってより警察案件じゃないの?》
《井岡は身の潔白を証明するために、警察の大麻検査を一度受けてみては?》
《また、としか言いようがない。二度目の大麻陽性で言い訳のしようがない。飲酒運転と同じでバレるまで捕まらない法律の欠陥を弄んでいる。》
などと日本では逮捕・処罰対象とされる“大麻の陽性反応”に、ドーピング違反の話ではなく法律違反、“警察案件”を指摘する声も見受けられる。
2020年12月、元世界3階級制覇王者・田中恒成を相手に8ラウンドTKO勝ちを収めるも、試合前のドーピング検査で大麻成分、禁止薬物が検出された井岡。
この時、井岡への事情説明や再検査をすることなく警察に“密告”したことで、彼の自宅に家宅捜索が入る騒ぎに。そして一転、JBCの検査や管理体制に不備があったことが発覚すると、同コミッションの永田有平理事長は会見で“公開謝罪”したのだった。
井岡サイドとJBCに残っていた遺恨
「もちろん簡易検査には誤判定もあります。また海外製の食品やサプリメントなどにより、本人が意図せずに体内に取り入れてしまう可能性も否定できません。
結果的に井岡選手は“シロ”判定とされ、JBCの面目丸潰れという形になりましたが、志成ジムはJBCの役員退任を求めるなど遺恨が残る形に。JBCもまた、彼は“完全無罪”とは捉えていなかったのかもしれません」(前出・スポーツライター、以下同)
ボクサーを目指す子どもたちへの影響を考慮し、またファン層拡大のために近年、ボクシング界の“健全化”を図っているというJBC。格闘技イベントでもたびたび問題視されるタトゥーに関しても、JBCは「入れ墨など観客に不快の念を与える風体の者」は試合に出場できないルールを定めている。
「そのルールに逆行するように、JBCに反発するかのように身体のタトゥーを増やしていった井岡選手。これまでも厳重注意処分を下したり、また“タトゥー隠し”を指導したりとやり合ってきた経緯があります。
会場を満員にできる人気ボクサーの1人ではありますが、1度は“シロ”として頭を下げたJBCが世界線を前に再び“疑惑”を持ち出したところを見ると、試合後になってゴタゴタを起こさないためのフランコ選手への配慮と同時に、井岡選手への不信感は拭えていないということでしょうか」
ファンのためにも、そして家族のためにも検査なりを受けて堂々と身の潔白を主張してほしい。