愛子さま('23年4月)

 6月17日から23日にかけて、天皇陛下と雅子さまはインドネシアを訪問された。

「海外という開放的な雰囲気もあってか、現地での両陛下はフランクなご発言が多く、ユーモアあふれるお姿が印象的でした。令和の天皇、皇后としてのカラーを広く示すことができたのでは」(象徴天皇制に詳しい名古屋大学大学院の河西秀哉准教授)

多くの場面にお出ましになった雅子さま

 滞在4日目の20日には、日本語を学ぶ学生が多いダルマ・プルサダ大学へ。アニメ好きの男子学生が「『NARUTO』が好きです」と話すと、陛下が「私は徳仁です」と返されるひと幕もあった。

 さらに、剣道部に所属する男子学生が「初段を獲得したい」と意気込むと、雅子さまが「陛下もね」とアシスト。

「陛下は“私は、初段は取れなかったので”と、ご自身の体験談に基づく自虐ネタを披露され、笑いが起こりました」(皇室担当記者、以下同)

 雅子さまにとっては21年ぶりとなる国際親善訪問。

「ご療養中の雅子さまのご体調にはいまだ波があり、インドネシアの蒸し暑い気候はご負担が大きいともいわれていました。今回、雅子さまの主治医である大野裕医師は随行せず、現地ではご自身の力で体調を調整されたようです」

 国賓としての公式訪問において“セットメニュー”とされるのが、歓迎行事、元首との会見、そして午餐会だ。

「この3つは、両陛下そろってのご出席とみられましたが、そのほかの行事についてはご体調次第で、雅子さまは同行されないだろうと思っていました」(宮内庁OB、以下同)

 だが雅子さまは、予想に反して多くの場面にお出ましに。前述の大学訪問も、当初出席しない方向で調整されていたが、急きょおふたりで臨まれた。

「“セットメニュー”をこなされた19日は、ハードな1日でしたが、その日の夜も、両陛下そろって残留日本兵の子孫たちと面会されました」

 21日と22日はジャカルタのホテルで静養された雅子さま。陛下は古都ジョグジャカルタへ移動し、この地域のスルタン(王)であるハメンクブウォノ10世と会見された。

継承問題は“家庭の話”

「ジョグジャカルタは現在、深刻な王位継承問題を抱えています。スルタンは男子世襲制ですが、ハメンクブウォノ10世の子ども5人は全員女性。後継者として長女を指名しているのですが、ほかの王族たちが反発し、王室全体を巻き込むトラブルに発展しています」(全国紙記者、以下同)

 日本では、女性宮家や女性・女系天皇に関する議論が展開され、“天皇家の長子である愛子さまに皇位継承を”という声も一部で上がっている。

「ジョグジャカルタの王位継承問題の渦中にいるハメンクブウォノ10世の長女は、いわば愛子さまと同じポジションです。女性の王位継承が、王室を分断するような事態になっていることは、愛子さまにとっても人ごととは思えないのではないでしょうか」

ハメンクブウォノ10世と伝統舞踊を鑑賞される天皇陛下(6月21日・ジョグジャカルタ)

 陛下のご訪問につき、地元の英字紙『ジャカルタ・ポスト』は“継承問題について、両者で意見を交わすことができれば”と報じていた。

 とはいえ日本の天皇は、政治的問題に関与することが許されず、現地では「若い人たちの交流が重要」といったご発言にとどまったという。

「皇位継承に関する議論に進展がみられず、将来が定まらない愛子さまはもどかしい思いを抱かれていると拝察します。継承問題は天皇家にとって“家庭の話”。陛下は、他国の王室事情を仕入れることで、愛子さまに直結する課題にも向き合われているといえるでしょう」(河西准教授)

 継承問題に懊悩しているのは、日本だけではないのだ。


河西秀哉 名古屋大学大学院人文学研究科准教授。象徴天皇制を専門とし、『近代天皇制から象徴天皇制へ―「象徴」への道程』など著書多数

 

'18年、学校の運動会で扇子を持ちながら『千本桜』の曲に合わせ同級生とダンスを披露された愛子さま

 

ご結婚30周年となる6月9日に公開された天皇ご一家の“団らん”写真

 

学習院大学のキャンパスで授業を受け、車で帰路につかれた愛子さま('22年12月)

 

'22年12月に公開された愛子さま21歳のお誕生日写真

 

雅子さまに教わりながら書き初めを行われる愛子さま(宮内庁提供)

 

幼稚園の運動会でダンスを披露する愛子さまに天皇皇后両陛下は笑顔で拍手を。平成19年10月

 

’06年8月、皇太子ご一家(当時)はオランダ静養中、王室メンバーと馬車庫を見学された