「ほんまに信じられへん一家やった。今回の監禁と傷害の被害者になった母親が、特に異常でね」
穂坂一家とよく知る人物は、そう強調したーー。
兵庫県警は6月22日、兵庫県神戸市西区に住む長女の穂坂沙喜容疑者(34)、次男の大地容疑者(32)らきょうだい4人を、母親(57)への監禁と傷害の疑いで逮捕した。
同時に、自宅アパートの近くの草むらで沙喜容疑者の長男・修ちゃん(6)の遺体がスーツケースの中から見つかった。県警は4人に対し、修ちゃんの死体遺棄の容疑も視野に入れて捜査を進めているが、
「修ちゃんの死因は外傷性ショックと見られています。遺体に目立った傷などはなかったのですが、背中に打撲によると思われるあざが多数見られ、修ちゃんが日常的に虐待を受けていた可能性が高いようです」(全国紙社会部記者)
きょうだいは母親(57)を含めて全員が無職で、生活保護を受けて生活していたという穂坂一家。彼らが現在のメゾネット式アパートに住み始めたのは、およそ12年前だった。その間、長男や沙喜容疑者、そして次男・大地容疑者が独立して家を出て行ったのだが、
「沙喜容疑者は家を出たあと、三宮でキャバクラやガールズバーで働いていた。だが、未婚のまま妊娠、出産して、それが修ちゃんだったようです。その後、6年前にアパートに戻ってきた。大地容疑者もいったんは女性と同棲していたようですが、別れたため、1年ほど前に戻ってきたのです。一方、長男だけは頑なに実家に戻らず、絶縁状態のまま」(前出・社会部記者)
次男が主犯格になった背景
次男の“出戻り”が今回の事件の引き金になったようだ。冒頭の知人も、
「大地が主犯格、先導したかたちで、母親を監禁して、暴力を振るったんでしょう。それで、ほかのきょうだいたちも仕方なく従ったはず。だけど、それは長年の恨みで、もともとの原因は母親のほうにある。大地が大きくなって、とんでもない母親、まともじゃない母親へ、仕返しをしただけですよ。大地は幼いころから、母親の虐待をいちばん受けていましたからね。見てられへんかった」
大地容疑者が母親から受けていて“壮絶”虐待
殴る蹴る、タバコの火で火傷させられたり、食事を与えられなかったり……。母親が妹に命じて噛ませたりして、大地容疑者の身体は歯形だらけだったという。
長男が6歳で、大地容疑者が4歳ぐらいのとき、こんな事件が起きた。
「長男と大地が“ポケモンを探しに行く”と言って、2人でどこかに消えてしまった。それで、全然帰ってこないから警察を呼ぶ大騒動になってね。なんとか無事に戻ってきましたけど」(同・知人、以下同)
母親の虐待から逃れるための“家出計画”だったのか。長男と大地容疑者はその後、何度も家出をしようとしては失敗していたという。
なぜ母親は彼らをそこまで虐待したのか。
「上の3姉弟と、下の双子の姉妹が、父親が違うんです。まだ下の双子が小さいころ、母親は猫かわいがりをしていて、父親と思われる男性とも同居していた」
だが、母親は父親と思われる男性にも暴言を吐き、暴力を振るうように。最終的には彼は出ていったという。
穂坂一家に起きた事件について、絶縁状態にある長男にも話を聞こうとしたが、
「取材はやめてほしい。彼は何も悪いことはしていないし、辛い過去を忘れたいはずですから。そっとしてあげてください」
母親は監禁されていた部屋を抜け出して、現在のアパートから数百メートル離れたUR団地に向かったという。そこは、穂坂一家が30年前まで住んでいた場所。
「車椅子に乗った状態で、通りがかりの人に発見、保護されています。意識はもうろうとしていたが、それでも“家に帰るから……”と言っていたようです」(前出・社会部記者)
母親にとって、もっとも幸せだった場所に帰ろうとしたのだろうか。大地容疑者のものと思われるSNSには、笑みを浮かべる母親とのツーショット写真がアップされていた。