節約アドバイザー・丸山晴美さん

 生活に欠かせない食品や光熱費の値上げが止まらない。食費節約の味方だった卵1パックが約300円で、納豆3パックも100円超え。スーパーで買い物をしていてもため息しか出てこない……。ぜいたくなんて全然していないのに、もうやりくりも限界!

 節約アドバイザーの丸山晴美さんは「お金を使わせようとする、お店やメーカーの意図を見抜いて、“一見お得”にまどわされないことが大切」と言う。丸山さんが実践する節約術を聞いた!

本気で節約したいなら「おいしさ」「快適さ」はあきらめるべし

 丸山家の電気代は、2人暮らし&マンション住まいで、春や秋が約4000円、冷暖房費のかかる夏や冬で約8000円。総務省の家計調査によると、2人世帯の電気代の全国平均は、春・秋が約7000~8000円、夏・冬が約9000~1万1000円だから、通常より3~5割少ないということ。特に冷暖房をつけない春と秋に、電気代の節約の余地がどこにあるのか知りたいところ。

 

「皆さん、照明のオンオフやエアコンの高めの温度設定はけっこう頑張っているかと思いますが、意外とかかっているのが保温のための電気代です。うちは、家電製品の保温機能を一切使わないようにしています」と丸山さん。言われてみれば、わが家の炊飯器やポットの保温、ずっとつけっぱなしかも……。

「うちは、そもそも炊飯器がありません。ご飯は圧力鍋で7合まとめて炊き、それを1膳分ずつ小分けして冷蔵庫で保存。食べるときに必要な分だけレンジでチンするんです」

 余ったご飯を冷凍することはよくあるけれど、それを大量に実践しているということだろうか。

「冷凍じゃなくて、冷蔵です! ご飯って冷蔵するとポロポロになって食感はいまひとつなんですが、冷凍するとそのぶん温めるための電子レンジの電気代がかかります。だから、おいしさには目をつぶっています」

 保温機能を使わない工夫はほかにもあるそう。

「電気ポットも使わず、お湯が必要な分だけそのつどコンロで沸かします。トイレの便座の保温機能も一年中オフにしています。百均で売っている貼るタイプの便座シートを使えば、保温機能なしで冬でも快適ですよ」

 炊飯器、電気ポット、トイレの便座、これらの保温に年間1万円かかっているというデータも。家中の保温をいますぐオフにしたい。

お風呂の設定温度はこっそり低くする

 お風呂のガス代の節約については、自分は気をつけていても、例えば家族のお湯の使用量まで制限するのは難しいもの。シャワーヘッドを節水タイプにかえる方法はおなじみだが、丸山さんは他に何をしているのだろうか。

「もっと大胆に節約する方法があります。お風呂の浴槽にはる湯量を真冬でも最初から半分くらいにするんです。給湯器のコントロールパネルで湯量を最低量にしていますよ。“半身浴でむしろ健康にいい”とポジティブに考えながらお湯につかってます(笑)」

 そして、コントロールパネルで温度の設定もこまめにいじっている。

「夏は給湯温度を38度まで下げています。真冬でも40度まで。家族にはナイショで温度を下げていますから、気づかずにその温度でお風呂に入っていますね」

飲食店の「次回5%引きクーポン」は速攻捨てる

 買い物や外食で「○%オフ」「○円オフ」になるお得なクーポン。「買い物のときはどのクーポンを使うか、前もってシミュレーションしてから出かけます」と、丸山さんもばっちり活用している。

「ただし、そのクーポンが本当にお得か吟味する必要があります。お店としては、たくさんお金を使ってほしいからクーポンを発行するわけで、その仕掛けを見極めないと」

 丸山さんがおすすめするクーポンとは?

「ドラッグストアなど、よく行くお店の公式アプリやLINEの友だち登録でもらえるクーポンですね。特定の曜日に10%オフになるなど、お得なものが多いです。それから、お誕生日にもらえるクーポンも内容が充実しているものが多くておすすめです。私は先日、某居酒屋チェーンでお誕生日クーポンを使って餃子を年齢と同じ数だけ食べましたよ(笑)」

 一方、もらってもすぐに捨ててしまうクーポンもあるという。

「欲を刺激して、必要のない消費をさせようとするタイプのものです。飲食店の再来クーポンはその典型です。“次回来店したら5%オフ”、“次回来店したらソフトドリンクサービス”などのタイプですね。

 ドリンクの原価はたかが知れているのに、ドリンク目当てで数千円の散財をするなんて、それこそ相手の思うつぼです。ピザの2枚目から半額、スーツが2着目から半額というのも、必要のないものを余分に買わせる手口ですから、その手には乗らないようにしないと!」

ふるさと納税は「ポイントロンダリング」のチャンス

 節約に励む人にはもはや常識、買い物やカード決済などでポイントを貯め、活用するポイ活。丸山さんは「楽天ポイント」を最大限に活用している。

 クレジットカードを楽天カードにして、そこから楽天ペイにチャージすると、その0.5%がポイント還元され、さらにチャージした楽天ペイで支払うと、支払額の1%がつく。こうやって貯まったポイントを、さらに丸山さんは、ふるさと納税に活用しているという。

「ねらい目は楽天で時々実施される“お買い物マラソン”というキャンペーン。事前エントリーして、複数のお店で買い物すると還元ポイントが最大10倍になります。実は楽天ふるさと納税もこのポイントアップの対象になっているんですよ」

 楽天サイトでのふるさと納税には、もう一つ大きなメリットがある。

 一般的なポイントは使いみちが限られていて、“ポイントを消費するために本当は必要のないものと交換する”といったムダが生じがち。ところが楽天ではポイントでふるさと納税ができる。つまり、税金をポイントで払うのと同じ効果が得られるわけで、現金と同様の価値にロンダリングできるわけだ。

「楽天ポイントでふるさと納税したら、それに応じてまたポイントが還元されます。楽天が損をしないのか、心配になるほどの大盤振る舞いです。自治体からは返礼品をもらえるし、楽天や節税のしくみを最大限に利用するお得ワザですね」

乗り換え案内は「最安ルート」を探すためのアプリ

 講演や取材などでいろいろな場所を訪れている丸山さん。

 そのつど、スマホの乗り換え案内アプリを使っているそうだが、それは「どの路線を使えば早く着くか」を調べるためではない。

「いくつか候補が出てくる中で、“安”マークがついている、一番運賃が安いルートを使うようにしています。路線の組み合わせによっては都内の移動だけでも200円くらい違ってきますからバカにできません。移動時間が10分くらい長くなったり、乗り換えが1~2回増えたりすることもありますが、少しでも安いほうがいいですよね」

 乗り換え案内のアプリは早く着く順に出るので、つい一番上を選んでしまいがちだが、時間に余裕があるときは“安”マークに注目だ。

(取材・文/吉田きんぎょ)

 

丸山さんのスマホ画面。スーパーやコンビニなど、よく行く店の公式アプリをスマホにダウンロードして、お得なクーポンをいつでもムダなく利用できるようにしている

 

 

ご飯を冷蔵するときは、ご飯専用の容器を利用。底面が細かなデコボコになっているからか、冷凍ではなく冷蔵でも意外とおいしくレンチンできる

 

 

節約アドバイザー・丸山晴美さん