金魚番長(写真左・箕輪智征、右・古市勇介) 写真提供/吉本興業

 かもめんたる・岩崎う大が、注目のお笑い芸人の今後を予想する連載企画。今回の芸人は金魚番長

UNDER5 AWARDで優勝!

 先日、UNDER5 AWARD(アンダーファイブ・アワード)という新たなお笑い賞レースが吉本興業主催で行われました。これは芸歴が5年目以内の芸人ならプロ・アマ問わず、ピンでも、コンビでもトリオでも出られる大会で、実に1797組のエントリーがあったそうです。

 審査員は、漫才から笑い飯の哲夫さん、NON STYLEの石田明さん、ナイツの塙さん、ピン芸人の佐久間一行さん、そしてコントからはチョコレートプラネットの長田庄平くんと、私、岩崎う大という、自分も入っていてなんですが超豪華メンバーでした。

 そこで見事に優勝したのが今回紹介する金魚番長です。金魚番長は芸歴5年目でUNDER5 AWARD的には、今年が早くもラストイヤーの漫才コンビです。

 シュッとした見た目でボケの箕輪くんとベテラン浅草芸人のような黄色いジャケットの古市くんがツッコミの金魚番長はジャンルとしては凸凹コンビといっても問題ないくらいに、見た目も声も違うところが大きな長所です

 漫才のスタイルとしては、ツッコミの古市くんがボケの箕輪くんに振り回されていく形で、古市くんが苦しめられながら大きなツッコミを入れるたびに気持ちいいぐらいの大爆笑を巻き起こしていました。

 通常、芸歴5年目というとようやく自分たちの芸風というものが自分たちでもわかってくるころだと思うのですが、2人はすでにその芸風に説得力が出始めていました。

 もちろんこれからもっともっと洗練されていくとは思うのですが、そこは若さからのエネルギーでカバーしていて、現時点でもホームラン級の笑いを起こしていることに、素直に尊敬してしまいました。

 芸歴を重ねなければ手に入らないテクニックや貫禄などの熟成を、フレッシュさとパワーで補うという芸歴5年目以内の大会だからこそ見られる素晴らしい芸だったと日を置いた今、改めて感動しています。

 箕輪くんと古市くん、ネットで調べたところネタを書いているのはボケの箕輪くんのようです。ネタを見たイメージでは古市くんがネタを書いているのかなと思っていましたが、僕の予想は外れました。

 勘違いの理由は、古市くんのツッコミが本当に素晴らしくて、他人が書いた言葉ではそうはいかないと思ったからです。

 コンビの形としてはハライチさんに似ているかもしれません。澤部さんのように古市くんは最初から完成していて、箕輪くんのキャラクターは岩井さんのようにのちのち認知されていくパターンになるのではないかと改めて予想させていただきます。実際僕が現場で感じたのは、この2人のスタイルはまだ発展途上だということでした。

 現在のスタイルの完成形は見えていますが、そこからまた変化する予感がしました。それは2人からほとばしっていたエネルギーのせいなのか、それともまた僕の単なる勘違いなのかは、未来の金魚番長の姿を楽しみに待ちたいと思います。

 UNDER5 AWARDは、ネタのレベルが高騰しすぎていると言われるお笑い界で、まだ若い芸歴の芸人たちにスポットが当たる、とてもいい大会だったと思います。

 打ち合わせのときの、関係者の方の熱量も素敵で「芸歴が若いと、飛び道具的にしかテレビに出られないので、ネタを頑張っている若手が報われる大会にしたい」と話されていました。そんな熱い大会の記念すべき初代チャンピオンの金魚番長が、これからもっともっと化けていくであろうことを予想しておきましょう。

岩崎う大 1978年東京都生まれ。早稲田大学卒。かもめんたるとして槙尾ユウスケとコンビを結成。キングオブコント2013年優勝。お笑い芸人だけでなく、脚本家、放送作家、漫画家として多彩に活躍中

 

金魚番長の同期には現在76歳のピン芸人・おばあちゃんも

 

YouTubeチャンネル『金魚番長ちゃんねる』も好評

 

ツギクル芸人グランプリ2023で優勝したナイチンゲールダンスは、金魚番長の2年先輩のNSC東京校22期生

 

1年先輩のNSC東京校23期にはヨネダ2000などがいる