渡辺謙が3度目の結婚をしていた。6月30日に各メディアへ向けた文書で、
「この春、婚姻届を出させていただきました。のんびりとやってまいります」
と、報告。ただ、ちょっと気になることもある。「この春」の結婚を梅雨時になって公表したという、まさに「のんびり」なタイミングだ。
きっかけはスポーツ紙の報道なので、それがなければもっと先延ばしになっていたのでは。とはいえ、このタイミングはそれほど悪くない。
6月後半、芸能界では広末涼子の不倫に永山絢斗、市川猿之助の逮捕といった大きなニュースが相次いだ。このタイミングでの公表なら、あまり目立たないからだ。
'17年には不倫発覚で謝罪会見
ちなみに、再々婚の相手はかつて不倫関係にあった21歳下の一般女性。2013年に知り合い、約1年後に交際が始まったというが、渡辺謙は当時、南果歩と自身2度目の結婚中だった。
しかも、南は'16年に乳がんを患い、その翌年に渡辺謙の不倫が発覚したときもまだ治療期間中。彼は謝罪会見を開いたものの、'18年に夫婦は離婚となった、ハリウッドでも成功した「世界のワタナベ」にとってはイメージダウンである。
そんなドタバタからの再々婚だけに「のんびり」というより「ひっそり」とやりたかったのでは、とも想像してしまうのだ。
実際、このニュースはそれほど騒がれてはいない。ふと思い出したのは昔、真田広之が葉月里緒奈と不倫したときのことだ。同時期に地下鉄サリン事件が起きたため、真田は「オウムで助かった」的な発言をしていた。騒がれ方の大小はニュースの相対的価値に影響されるわけだ。
ただ、その流れでいうと、気になることがもうひとつ。もしかしたら、世間は渡辺にかつてほど興味を持っていないのではないか。
ここ数年はこれといったヒット作もないし、話題を集めたのは5年前の『ハズキルーペ』のCMくらいだ。年齢も63歳。大物として尊重されつつも「過去の人」扱いに変わっていく人生の季節ともいえる。
「不倫の目が肥えた」日本人
また、今回の結婚はいささか地味だ。最初の相手も一般人だったが、杏や渡辺大が生まれたし、次の相手は大物女優。これは芸能界あるあるで、どんなスターも3度目となると結婚に派手さがなくなる。松田聖子しかり、郷ひろみしかりだ。それは人生が落ち着くということでもあり、渡辺もこの再々婚で落ち着くかもしれない。
なお、今回の相手は不倫発覚時、ジュエリーデザイナーと報じられたが、知り合った時点では大阪・北新地のホステス。それゆえ、ネットでは「ハリウッドスターなのに(笑)」という声も出た。たしかに、こんな感じの不倫なら、一般の会社員でもできそうだ。
ついでにいえば、フレンチシェフやらキャンドルアーティストやら、キャラの立った人物が登場する広末の不倫劇に比べたら、インパクトにも乏しい。思えば「ゲス不倫」以降、日本人はさまざまな不倫劇を観賞してきた。ある意味、目が肥えてしまったことによって、この程度の不倫はもはや面白みがなくなり、その相手と結婚しようとしまいとわりとどうでもいいことなのだろう。
もちろん、それは渡辺謙が功成り名を遂げた大スターで、今さらただの不倫で評価が激変する存在ではないことを世間が認めているからでもある。人によっては命取りにもなるスキャンダルが「ただの不倫」になってしまうあたりが「世界のワタナベ」たるゆえんかもしれない。
ほうせん・かおる アイドル、二次元、流行歌、ダイエットなど、さまざまなジャンルをテーマに執筆。著書に『平成「一発屋」見聞録』(言視舎)『平成の死 追悼は生きる糧』(KKベストセラーズ)。