マスクオフの今、「以前より老け顔になったかも?」と悩む人が増えている。
「みなさんが特に気にしているのが“たるみ”。コロナ禍の間、マスクの下で表情が乏しくなっていたことで、表情筋がかなり衰えています」
お金を手足にはると顔が引き締まる!?
そう教えてくれたのは、元看護師で美容鍼灸師の上田隆勇(たかお)さん。
「人に会い、会話する機会が減ったので、筋肉がこわばってかたくなり、その結果、ほうれい線が深くなったり、フェイスラインがたるんでしまったのです。さらに筋肉がこり固まると老廃物が滞り、むくんで顔も大きく見えるように」(上田さん、以下同)
つまり、マスク生活は私たちの“見た目年齢”に大きな影響を与えたのだ。
そんなお悩みの解消法としておすすめなのが、10円玉と1円玉を身体にはるワザ。
「サロンでもお客様にやり方を紹介しています。鍼灸治療がすぐできないときは、これだけでたるみがスッキリしますよ」
10円玉を手の甲にあるツボ「合谷(ごうこく)」、1円玉を足の甲にある「陥谷(かんこく)」にはるというメソッドだ。
「銅でできている10円玉はプラス、アルミでできている1円玉はマイナスで、近づけると電池のように微弱な電流が流れます。これをはると、血流が改善したり、顔が引き締まったりなど、さまざまな変化が期待できます」
なぜ、電流が流れることで筋肉の状態が変わるのか。
「実は、人間の身体の中では常に微弱な電気が生じています。筋肉を動かす、脳が身体に指令を出す、心臓などの臓器が働く、さらには細胞と細胞が情報伝達するといった場面でも、電気的な信号が生まれています」
例えば、脳波や心電図、筋電図などは、脳や心臓、筋肉に流れる電気信号を“見える化”したもの。
しかし、現代社会は携帯電話やパソコンなどの端末から電波が飛んでおり、身体に流れる生体電流や磁場が影響を受けて、思わぬ不調が生じやすいそう。
上田さんによると、10円玉と1円玉を身体にはると、“通電効果”で血流の循環も促進できるという。
この考え方は東洋医学の理論と重なる部分があるという。
「東洋医学には『経絡(けいらく)』という考え方があります。経絡というのは身体の中を通るエネルギーラインのようなもので、経絡が乱れると不快な症状が出ることがあります。
鍼やお灸で経絡の乱れを整えると不調が改善することと、硬貨を使って生体電流をうまく流して身体の調子を整えることは似ています」
東洋医学では「ツボ」という言葉もなじみが深い。
「経絡やツボを刺激することで身体が本来持っている力を呼び覚まし、気になる部分や不調を改善できると考えられています。
電車でいえば、経絡が“山手線”だとすると、ツボは“駅”に相当します。例えば渋谷駅というツボと恵比寿駅というツボでは効果効能が異なるのです」
前出のツボ「合谷」と「陥谷」は、大腸や胃に通じる経絡のひとつ。
「胃腸が弱いと全身の筋肉が弱まり、顔にもたるみが現れやすくなります。意外に思われるかもしれませんが、たるみを解消したいなら、胃腸を元気にすることが大切。
それに大腸と胃の経絡は、ほうれい線やフェイスラインの下にも通っています。だから、手と足のツボにはると、頭部の血流がよくなって顔が引き締まるのです。ちなみに、硬貨をはり、お通じがよくなったり、身体のむくみがとれる人もいます」
目元のたるみが気になる人は、手の外側にある「後谿(こうけい)」に10円玉、足の外くるぶし下の「申脈(しんみゃく)」に1円玉をはって。
「スマホやパソコンを長時間使用し、目が疲れている人にもおすすめです。頭皮を通っている経絡が整い、血流が改善され、頭もスッキリしますよ。膀胱に通じる経絡も整うのでむくみも改善します」
なお、流通している硬貨は汚れが付着している可能性があるので、はる前に表面をアルコールなどで除菌し、水けを拭きとっておこう。
寝ている間にたるみがスッキリ
「硬貨の裏表はどちらでも大丈夫。ほかの金属の影響を受けないように、時計やアクセサリー、磁気や磁石がついたものは外しておいたほうがいいでしょう。
また、身体全体のバランスが取れるよう、左右それぞれに10円玉と1円玉をはるといいですよ。事前に22円を用意しておきましょう」
時間は30分程度から始めてみるといい。基本は夜寝る前にはって、朝に剥がすというサイクルがおすすめ。ツボより硬貨のサイズのほうが大きいので、おおよその位置でも外れることはほぼない。
「効き方には個人差がありますが、はっている間にのぼせるような感覚があれば外してもらって構いません。アルミ製の1円玉をはった部分の皮膚が青っぽくなる方もいますが、特に身体に害はなく、数日で元に戻ります」
ちなみに、硬貨をはるテープに適しているものとは?
「自宅で行う場合は、就寝前にはって寝ている間に自然に剥がれ落ちるような使い方が理想的。粘着力が強いとなかなか剥がれないので、セロハンテープのようなもので十分です。
ただ、肌が弱い方は優肌絆(ゆうきばん)と呼ばれている皮膚にやさしい不織布テープなどを使うほうがいいでしょう」
どれくらいの時間で顔のたるみ解消の効果を実感できるのだろうか?
「多くの方がはった直後、顔のむくみがスッキリしたと実感されます。硬貨をはっている間は体内に流れる電流によって筋肉がゆるみ、フェイスラインの変化を実感できますが、外すと元に戻っていくんです。
日中に行う場合は毎日1時間を目安に続けていただくと、少しずつ筋肉の変化が定着していくので、2週間ほどで変化を感じられます」
“22円ハリ”は誰でも手軽にできて、お金がかからない美容法。マスク老けから抜け出したい人は、ぜひ今晩からチャレンジしてみて!
10円玉と1年玉が身体を整えるワケ
異なる金属を身体にはると微弱な電気が流れる(ガルバニー電流)。
この仕組みを利用し、銅製の10円玉とアルミ製の1円玉を身体にはるとアルミから銅への電気が流れ、生体電流を整えて気になる部分や不調を改善。
22円ハリの極意
基本は寝る前にはっておき、朝起きたらとって。日中はる場合は、30分〜1時間を目安に剥がそう。
小顔&たるみ解消には
人さし指と親指の骨が合流するところから人さし指寄りの骨のきわで、触れるとくぼみがある部分に10円玉をはる(合谷)。
「陽明大腸経」という経絡にあり、さまざまな効果が得られることから「万能のツボ」とも呼ばれる。
足の人さし指と中指の間を足首方向へ軽くなで、関節を越えてへこんでいる部分に1円玉をはる(陥谷)。足の陽明胃経という経絡にあり、足の不調をはじめ顔のむくみやたるみなどにも効果がある。
目力をアップさせるには
手のひらと手の甲の境目にあり、手を軽く握ったときに小指側にできるしわのふくらみの先端に10円玉をはる(後谿)。「手の太陰小腸経」という経絡にあり、肩こりや寝違えなどのほかに顔の症状にも効果がある。
足の外くるぶしから指1本分下がったところにあるへこんだ部分に1円玉をはる(申脈)。「足の太陽膀胱経」という経絡にあり、身体の後ろ側の不調や、不眠、柔軟性などに効果がある。
※金属アレルギーの人は行わないこと。肌の弱い人は最初に30分ほど試しばりをして剥がし、皮膚の状態を確かめ、かぶれなどが出たらすぐにやめてください。
(取材・文/熊谷あづさ)