谷原章介が作るわが家で人気の「定番めし」 写真/横田裕美子(STUDIO BANBAN)

「大人数の晩ごはんを毎日作るなんて大変でしょう?とよく聞かれますが、子どものころから料理が好きだったので、まったく苦になりません!」

 と話す谷原章介さん(51)。

心の中のもやもやは料理時間にリセット

 月曜日から金曜日まで朝の情報番組に生放送でレギュラー出演し、多忙を極める中で、家族10人分の晩ごはんを作る時間は負担どころか、自分の心を整えることができる大切な時間だという。

「普段は映画やドラマなど、自分の意思だけでゴールを決定することができない作業をしていますので、目の前のことに集中でき、すぐに完成できる料理は、僕にとってストレス発散になっているのかも」

 朝の生放送を終えると、その足でスーパーマーケットへ直行し食材を調達。夕方ごろから調理をスタートし、できあがった料理は家族そろって食べるというのがルーティン。

 料理番組で出会ったシェフや料理家から教えてもらったノウハウを取り入れて腕を振るっているという。

 けれど、アツアツの焼きたてを出そうとセッティングしておいたアジの干物を生のまま放置、食後に「あー! 忘れた!」と落胆する……なんてことも。

「時には失敗もありますが、それでも料理は楽しいです。それに、子どもたちには家族での楽しい食卓の思い出を記憶に刻んでほしい。そんな親としての思いも、料理への原動力になっています」

 家族10人分の料理ともなれば、盛りつけも小分けにするのではなく大皿にドーン。餃子を作るときには家族の手も借りながら1回で80個以上も包むので大忙し。

「とにかく量が多いので、大容量の調味料やお肉がお得に買える、肉のハナマサにはよく行きます。揚げ物は、一度に1キロは作りますからね」

ねぎ餃子

 わが家ではニラの代わりにねぎをたっぷりと!

ねぎ餃子「わが家ではニラの代わりにねぎをたっぷりと!」 写真/横田裕美子(STUDIO BANBAN)

材料(4人分)
・豚ひき肉……250g
・白菜……300g
・万能ねぎ……1~2束
・しょうが……1片
・塩……小さじ1/2
 A〔鶏がらスープの素……小さじ1/2、しょうゆ……大さじ1と1/2、オイスターソース……小さじ2、紹興酒……大さじ2、ごま油……大さじ1と1/2〕
・餃子の皮(大判)……約30枚
・ごま油……適量
・お好みで酢、しょうゆなど……各適量

《下ごしらえ》
(1)白菜、しょうがはみじん切りに、万能ねぎは小口切りにする。
(2)白菜はボウルに入れて、塩を振って置いておく。

【作り方】

(1)ボウルに豚ひき肉とAの調味料を入れてよく練り合わせる。

(2)白菜から水が出たらさらし(またはふきん)などに包んで水けを絞る。

(3)(1)の肉だねに(2)としょうが、万能ねぎを加えて混ぜる。

(4)餃子の皮で(3)を包む。

(5)フライパンを温め、ごま油をひいて(4)の餃子を並べ、中火で焼く。

(6)1つ裏返して軽く焼き色がついたら、餃子の1/3~1/2の高さまでのお湯を注ぎ、ふたをして強火で蒸し焼きにする。

(7)水分がなくなったらふたを取り、ごま油を回し入れてパリッと焼き目がつくまで焼く。お好みで酢、しょうゆなどで食べる。

離乳食でも作った思い出の鶏団子

「家族10人分の食事作りにかかる時間はだいたい2時間程度。肉と魚でメインを一つずつ、それにサラダと副菜など全部で4~5品を用意するようにしています」

 毎日の献立を決めるうえで、谷原さんが特に心がけているのは、前日に作ったものと材料がかぶっていないか、そして栄養バランスが整っているかどうか。

「もちろん、子どもたちからのリクエストも献立に反映しています。また、苦手な野菜もバランスよくとってもらえるように、味つけや食べやすさも工夫しています」

 例えば、お子さんの不人気料理の定番であるピーマンを使った肉詰めにもひと工夫。

「最初にフライパンで肉を焼きつけてからオーブンでじっくり焼くとうまみがアップしておいしくなります。今では子どもたちが競い合って食べるほどの人気メニューになりました」

 また、タンパク質が豊富でリーズナブル、家族全員が大好きな鶏肉は、さまざまなメニューに登場。

 中でも鶏ひき肉で作ったシンプルな鶏団子は、お酒にもぴったりの「焼き鳥つくね」や、照り焼き風のタレを絡めたハンバーグ風、ボリュームたっぷりのすいとんに加えて……など、フル活用しているという。

「この鶏団子とかぼちゃを合わせた煮物は、子どもたちの離乳食に出していた思い出深い一品。作るたびに、歯も生えそろっていない赤ちゃんにどう食べてもらおうかと、味つけに試行錯誤した日々を思い出します。

 これからも料理を通じて子どもたちの成長を実感する瞬間はどんどん増えていくんでしょうね」

焼き鳥つくね

 休日の晩酌にぴったりな串料理!

焼き鳥つくね「休日の晩酌にぴったりな串料理!」 写真/横田裕美子(STUDIO BANBAN)

材料(4人分)
【基本の鶏団子のたね】
・鶏ひき肉(もも)……500g
・しょうが……15g
・片栗粉……大さじ1
・塩……小さじ1/2
 ★タレ〔しょうゆ……大さじ3、酒……大さじ3、砂糖……小さじ1、みりん……大さじ3〕
・サラダ油……適量

《下ごしらえ》
(1)しょうがはみじん切りにして、片栗粉をまぶしておく。
(2)★の材料を混ぜてタレを作っておく。

【作り方】

(1)ボウルに鶏ひき肉と塩を入れてよく練る。片栗粉をまぶしたしょうがを加えて、粘りが出るまでさらによく練る。

(2)冷蔵庫で30分ほど冷やしてから、(1)を8等分し、棒状に整形して串に刺す。

(3)フライパンを温めてサラダ油をひき、中火で(2)を両面焼く。

(4)タレを入れてよく絡める。

子どもたちと一緒に定番の味も成長中

 実際、お子さんたちが成長するにつれ、谷原さんが作るいつもの味も少しずつ変化。

 フライドポテトや鶏のから揚げといった“ボリューム満点&茶色”の料理を好む傾向はありつつも、思春期を迎えた子を中心に、少しずつ野菜中心のさっぱり&ヘルシーな味が喜ばれることも増えている。

 また、これまではお子さんたちに合わせて甘口に仕上げてきたという「バターチキンカレー」も、最近は中辛に辛みをアップ。少しずつ“大人の味”へと近づきつつある。

「もう何年も“もっと辛いカレーを作りたい!”と思い続けてきましたが、実現する日も近いかもしれませんね」

 もう一つ、最近になって“ちょっと大人の味”へと変化したのが、お子さんたちから圧倒的支持を集めている人気メニュー「タコライス」。

 さっぱりとした味わいに仕上げるため、隠し味としてしょうゆや酢をプラスする谷原家のタコライスは、タコミートにチリパウダーを加えてピリ辛テイストへとチェンジ。少し大人の味になった今も、お子さんたちからは不動の人気を博しているという。

 ただ、大人の味を好むようになっても、やはり一番人気なのは茶色いガッツリ系のメニュー。野菜不足にならないかが課題だそう。

「茶色のメニューを作る時は、同時にいかに野菜を食べてもらうかを考えます。野菜を食べてくれない子もいるので、焼いたり肉をのせたり、少しでもたくさん食べてもらえるよう、あれこれ工夫しています」

 実は谷原さんや奥様は、野菜をふんだんに使ったメニューが大好き。毎日のメニューに季節野菜や冷蔵庫にある野菜を使ったサラダは必ず加えるようにしているのだとか。

 ドレッシングは、手作りが多いそう。オリーブオイルや粒マスタードなどの調味料を使い、その日の気分や内容に合わせてサッと準備。

「メニューに合わせて野菜を最適なサイズや形に切ったり、じっくり焼いて焼き目をつけたり……。テーブルに運ぶ直前にドレッシングをまとわせることで、美味しさが格段にアップしますよ!」

 サラダの中でも、特に家族全員から人気なのが、旬のカツオで作ったツナをたっぷりのせた「自家製ツナサラダ」。

 サクで購入したカツオを保存袋に入れ、湯せんしてツナを作り、ハーブをきかせたサラダにすれば、野菜が苦手なお子さんもひと口食べて思わずうなるほどの美味しさ。火を入れても身がかたくならない魚であれば、簡単に作れるという。

「最初に塩をかけ、水分を抜いておくと魚の臭みが取れます。ハーブはお好みですが、ローズマリーはあったほうが美味しく仕上がりますよ」

タコライス

 隠し味にしょうゆとお酢を使えばさっぱりとした味わいに

タコライス「隠し味にしょうゆとお酢を使えばさっぱりとした味わいに」 写真/横田裕美子(STUDIO BANBAN)

材料(4人分)
・合びき肉……360g
・玉ねぎ(タコミート用)……150g
・にんにく……1片
・オリーブオイル……大さじ1
 A〔チリパウダー……小さじ1/3~1/2(辛さはお好みで)、ケチャップ……大さじ2、砂糖……小さじ2、ソース(中濃でもウスターでも可)……大さじ2、しょうゆ……小さじ2〕
・トマト(大)……1個
 B〔白ワインビネガー(酢でも可)……小さじ2、オリーブオイル……大さじ1、砂糖……小さじ1/2、塩……少々〕
・レタス……1/2個
・玉ねぎ(トッピング用)……100g
・細切りチーズ(生食用)……適宜
・ごはん……4人分

《下ごしらえ》
(1)玉ねぎ(タコミート用、トッピング用)はどちらもみじん切りにし、トッピング用の玉ねぎは水にさらす。
(2)トマトは1cm角に切り、レタスは太めのせん切りにする。にんにくはみじん切りにする。
(3)Bの調味料を合わせておく。

【作り方】

(1)フライパンににんにくとオリーブオイルを入れて弱火で炒め、香りが出てきたら玉ねぎ(タコミート用)と合びき肉を入れて中火で炒める。

(2)Aの調味料を加えてほぐし炒める。

(3)トマトは合わせたBであえる。玉ねぎ(トッピング用)は水けをきる。

(4)器にごはんを盛り、レタス、(2)のタコミート、(3)、チーズをのせる。

ハレの日はお寿司が谷原家の鉄板!

 誕生日などのハレの日の食事も、家族全員でにぎやかに。

「いつものごはんは栄養バランスも考慮しますが、ハレの日は特別! 誕生日の子や卒業を迎える子の大好物だけを作るのがお約束。その結果、お寿司やピザになる確率が高めになりますね(笑)」

ちらし寿司は寿司桶のまま食卓へ。華やかな見た目に歓声が上がる 写真/横田裕美子(STUDIO BANBAN)

 桶(おけ)のままドーンと食卓に出すちらし寿司は、ハレの日の定番。職人さんが手作業で作ったという大きな寿司桶や、短時間でシャリを握れるシャリマシーンを購入するほどの力の入れようだ。

「何よりも大切なことは食事を楽しむということ。それに勝るものはありません。どんなに手の込んだ料理をたくさん出しても、会話のない食事では味気ないだけですよね」

 谷原さんが食材から味つけ、栄養バランスにこだわった料理を毎日作り続けているのも、すべては家族のため。お皿がきれいに空になると、なによりもうれしいという。

「正直、大切な人と楽しい時間が過ごせるのであれば、出前でもスーパーのお惣菜でも、最高のメニューになるはず。だから苦しい思いをしてまで無理に料理をする必要はありません。

 でも、もし少しでも余裕があるなら誰かのために料理を作ること、そして作ってもらえることはとても贅沢なこと。もしわが家の“いつものレシピ”が皆さんのすてきな食事の時間を作るヒントになるとしたら……こんなにうれしいことはありません」

自家製ツナサラダ

 カツオのうまみがぎゅっと詰まったひと皿

自家製ツナサラダ「カツオのうまみがぎゅっと詰まったひと皿」 写真/横田裕美子(STUDIO BANBAN)

材料(4人分)
・カツオ(生)の刺身(サク/背側)……300g
・塩……小さじ2/3
 A〔オリーブオイル……大さじ5、ディル……2~3枝、ローズマリー……1枝、にんにく・しょうが……各1片、塩……3g(カツオの重量の1%)〕
・お好みのレタス、ルッコラなどの葉野菜……適量
・あればブラックオリーブ(種なし)……10粒
 B〔オリーブオイル……大さじ2、白ワインビネガー(酢でも可)……大さじ1、フレンチマスタード……小さじ1、新しょうが甘酢漬け(市販)……30g、塩・こしょう……各少々〕

《下ごしらえ》
(1)にんにくとしょうがはスライスする。
(2)ドレッシング用の新しょうが甘酢漬けはみじん切り、ブラックオリーブは輪切りに。

【作り方】

(1)カツオに塩を振り10分ほど置く。水分が出てきたら水けをキッチンペーパーなどで拭き取る。

(2)保存袋にAの材料と(1)を入れ、なるべく空気が入らないようにして閉じる。

(3)鍋にお湯を沸かし、沸騰したら保存袋が鍋底に触れて破れることがないよう、鍋底にお皿を敷き、中火にして(2)を入れ、15~20分ゆでる。

(4)カツオに火が通っていたら取り出して冷まし、粗くほぐす。

(5)(4)にBを加えてあえる。

(6)お皿に好みの野菜を敷き、(5)をのせる。上からブラックオリーブを散らす。

谷原章介●1995年、映画『花より男子』で俳優デビュー、以降、数々のドラマや映画、CM等に出演。近年は『めざまし8』や『うたコン』などでの司会やナレーションでも人気に。『谷原章介の25時ごはん』や2013年から出演中の『みんなのきょうの料理』で披露する料理の腕前も大きな話題となり、2023年4月には初の料理本を発刊と、マルチに活躍している。 写真/横田裕美子(STUDIO BANBAN)
谷原章介●1995年、映画『花より男子』で俳優デビュー、以降、数々のドラマや映画、CM等に出演。近年は『めざまし8』や『うたコン』などでの司会やナレーションでも人気に。『谷原章介の25時ごはん』や2013年から出演中の『みんなのきょうの料理』で披露する料理の腕前も大きな話題となり、2023年4月には初の料理本を発刊と、マルチに活躍している。
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取材・文/大野ルミコ 写真/横田裕美子(STUDIO BANBAN)

 

やっぱり人気の茶色いメニュー 写真/横田裕美子(STUDIO BANBAN)

 

ねぎ餃子「わが家ではニラの代わりにねぎをたっぷりと!」 写真/横田裕美子(STUDIO BANBAN)

 

焼き鳥つくね「休日の晩酌にぴったりな串料理!」 写真/横田裕美子(STUDIO BANBAN)

 

タコライス「隠し味にしょうゆとお酢を使えばさっぱりとした味わいに」 写真/横田裕美子(STUDIO BANBAN)

 

自家製ツナサラダ「カツオのうまみがぎゅっと詰まったひと皿」 写真/横田裕美子(STUDIO BANBAN)

 

ちらし寿司は寿司桶のまま食卓へ。華やかな見た目に歓声が上がる 写真/横田裕美子(STUDIO BANBAN)

 

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