ド派手なメイクと衣装、大仰なウィッグ、ハイヒールを含めると身長2メートルを超すドラァグクイーンとして活躍、さらには歌手、パフォーマー、MC、モデル、タレント、役者と活躍のフィールドをどんどん広げているドリアン・ロロブリジーダ(38)とは一体どんな人なのだろう?
ドリアン・ロロブリジーダって、ナニモノ?
「本名は大竹正輝、1984年に東京で3人兄弟の末っ子として生まれた38歳、ドラァグクイーンとして本格的に活動を始めて今年で17年目となりました。よろしくお願い申し上げまぁ~す!」
そう言って高らかに笑い、マシンガントークが炸裂!
「父は会社員、兄2人はまじめで、堅~い仕事に就いているのですが、アタシだけがちゃらんぽらんなんですよ(笑)」
オネエ的な行動や言動は小学生のときからだが「なぜそうなったのか、今となってはわからないんです。何かに影響を受けたわけではないし、それがアタシの中から湧き上がってきたものなのかなんなのか、判然としないんです」と述懐。
学生時代は女の子に恋愛感情を抱き、自身がゲイである自覚はまったくなかったという。いじめはまったくなかったが「兄たちが“オカマの兄貴”と揶揄された、と母から聞きました」と申し訳なさそうに笑う。
「アタシは中学、高校と吹奏楽部で、女子が多かったことや、彼女たちとフランクに接していたので、男子から“女ったらしだよな~”なんて言われることはありましたねぇ」
大きな変化が訪れたのは中学生のとき。家にインターネットが開通したことがきっかけとなり、ゲイに関することに興味を抱いた。そして近所のゲイたちのグループに加わって彼らからゲイカルチャーについてレクチャーを受けることに。
女装に目覚めたのは、仲間と一緒に開いたカラオケ大会で女装した人を見て「カッコいい!」と衝撃を受けたことがきっかけだった。
「小さいときから衣装や着飾ること、きらびやかなものが好きだったんです。そこからはメイクを教えてもらったりして、女装が始まりました」
大学受験では持ち前の能力を発揮し、早稲田大学法学部に現役合格!
「受験勉強はそんなに苦じゃなかったんですよ。英語、国語、社会は好きだったので、勉強をしている感じがなくて。ただ根っからの文系で、現代国語は学年1位だけど数学ではビリから2番目、みたいな!
ただアタシの頭はあそこがピークだったと思います……(笑)。でもそう考えると、当時から“好きなことに全振りする性格”は変わってないですねぇ。しかも大学は遊ぶところだと勘違いして、履修登録へ行かなかったばっかりに、最初っから華麗にドロップアウトいたしました!」
ドリアンの魅力は破壊力・圧・裏切り!
大学生のときに「ドリアン・ロロブリジーダ」の名で初めて参加した女装のコンテストで優勝。現在へと続くドラァグクイーンとしての活動を始めたが、好きなことに全振りしすぎた結果、大学を中退。企業に就職後は女装を封印した時期もあったという。
「24歳で中退して、どうにか一般企業に拾ってもらって。そこで社内恋愛が始まり、男性と同棲するようになったんですが、その彼が女装嫌いで……。
ただ大学生活がメタメタで終わって人生立て直さないとな、という時期だったので、社会人として必死に働きました。もしあそこでずっと女装をしていたら?
うーん……もしかしたら会社もすぐに辞めていたかもしれませんね。今は社会人の経験が生きているので、やっといてよかったと思いますねぇ。人生、無駄な経験ってない!」
そんなポジティブ思考のドリアンに影響を与えたのが、歌うことが好きだったという専業主婦の母。
「振り返ってみると、いつでもアタシのことを肯定してくれたんです。もちろん怒られたことはたくさんありますけど、否定されたことがないんですよ。今の自分の人格をつくってくれたのは、母の存在が大きいですね」
そんなお母様は2015年、63歳で他界。「アタシはマザコンです!」と言う。
では、ドラァグクイーンの魅力、そしてドリアンの魅力はどんなところ?
「さまざまな世界観を変幻自在に身にまとえるのがドラァグクイーンの魅力。いろんなことができるんだぞ、ということを世界中にお見舞いしたいですね。
アタシの特徴は破壊力、圧、裏切り。声もデカけりゃ背もデカいので、ウワッ!とした魅力を感じていただけたらいいな、と思います。アタシとしてはいつも『ドリアンというこの逸材を使って、何かしてごらんよ、世界!』という気持ちでいるんですよ。
なのでどんな仕事が来ても『やっと見つけたのね!』と思ってるんです(笑)。そんなアタシを丸ごと愛でてください!」
自分の基本はドラァグクイーンであり、そのドラァグクイーンがさまざまなことをやっている、ということを大事にしているというドリアン。最後に読者の皆様へひと言!
「ケータイやパソコンの検索窓に“ドリアン・ロロブリジーダ”と入れて調べていただけると、今まで皆さんが体験してこなかっためくるめく極彩色の世界が広がりますので勇気を出して、ぜひアタシの世界に飛び込んできてください。飽きさせませんよーッ!」
(取材・文/成田 全)