《10億人以上のユーザーを持つ公開対話アプリが必要。ツイッターは機会があったのに成功できなかったが、私たちがやり遂げればいいだろう》
SNSのインスタグラムやフェイスブックを展開する、メタ社のCEO(最高責任経営者)のマーク・ザッカーバーグ氏が、新たにスタートしたSNS・スレッズでこうつぶやいた。
安定したサービスで台頭
スレッズとは、写真や動画が中心のインスタグラムにテキストを加えたSNS。メタ社がツイッターの“対抗馬”として7月5日からサービスをスタートすると、103時間、約5日間という短期間で登録者数が1億人を突破した。
「この1週間で、こんなことになるとは思っていませんでした。モバイルアプリで登録者が1億人に達するのに、今までの世界記録がチャットGPTの2か月。ティックトックでも9か月かかっています」
こう話すのは、ITジャーナリストの三上洋さん。この驚異的な登録者の伸びについて、こう分析する。
「きっかけは、ツイッターが閲覧制限をかけたこと。不便を感じたユーザーが移行先を探していたタイミングで、1億人を収容してもサーバーが落ちない、安定したサービスをメタ社が提供したということが大きいです」
閲覧制限をかければ見る人が減り、広告収入も減るという負のスパイラルに入ることは明白。なぜ、ツイッターは自分の首を絞めるようなことをしたのか?
ツイッター運営会社の資金問題
「ツイッターのデータを別の企業がトレンド分析やAIの学習に使う、スクレイピングに対しての対策、としています。ただ、多くの専門家が指摘していますが、単にツイッターを運営しているX社の資金がショートしたのでは、ということです。
グーグルやアマゾンのクラウドをツイッターは使っていますが、それに対する使用料の未払いが起きていたんです。そのほかにも家賃の未払いなどがあり、とにかくお金を払っていない。なので、自社の持っているサーバーだけに全体を縮小均衡させたのでは、と」(三上さん、以下同)
確かにツイッターは、コストカットのために従業員を大量に解雇している。スレッズにとって、いいタイミングが重なった結果、短期間での1億人突破になったということなのか。では、スレッズがツイッターの“後釜”にすわることになるのだろうか?
「ザッカーバーグ氏は、スレッズはツイッターのようなニュースや情報を共有するツールではなく、人と人をつなぐコミュニケーションのツールにしたいと話しています。なので双方が棲み分けていく可能性が高いかな、と思います」
しかし、今回の爆発的なスレッズの伸びを見て、こんな懸念もあるという。
「SNSって、同じようなサービスがふたつは並び立たないんです。サービスの内容などよりも、利用者の数でどのツールが生き残るか決まります。ツイッターは、イーロン・マスク氏がCEOに就任以来、ユーザーがずっとイライラしている(笑)。なので、短期間にスレッズが抜け出す可能性も十分にあります」
ツイッターが魅力的な機能を搭載するなど、ユーザーが喜ぶ対応をすれば生き残る可能性はある、と三上さんは話すが、技術開発者も根こそぎ解雇したイーロン・マスク氏に、策はあるのか?