40周年を迎えている『東京ディズニーリゾート』

《ミッキーマウスの著作権が、2023年末で消滅》

 このニュースが流れると、SNS上では一部で盛り上がりを見せた。

オリジナル以外は「別作品」扱い

《ミッキーマウスの画像が無料で使えるらしい》

《ミッキーのキャラを使ったグッズを自由に作ることができるの?》

 こんな声が上がったのだが─、

「自由に使えるようになるのは、1928年に発表された映画『蒸気船ウィリー』の著作権についてです」

 こう話すのは、アトム市川船橋法律事務所の高橋裕樹弁護士。アメリカでは著作権の保護期間が95年と定められていて、来年から『蒸気船ウィリー』についてはパブリック・ドメイン(誰でも利用が可能な創作物)となる。

「気をつけなければいけないのが、著作権については各国の法律に基づいていますので、アメリカでOKでも、日本ではNGということもあります。

 また、この作品のミッキーマウスと、ほかの作品に登場するミッキーマウスは別物、ということです」(高橋弁護士、以下同)

 例えば1940年に公開された映画『ファンタジア』のミッキーは、オリジナルとなる『蒸気船ウィリー』のミッキーの二次創作となるので、別の著作物となるという。

 しかし、オリジナルのデザインが著作権フリーになるのは、クリエーターなどには大きな意味を持つ。2022年に『くまのプーさん』の原作著作権が消滅し、なんとプーさんを主人公にしたホラー映画も製作された。

「『プー あくまのくまさん』として日本でも公開されていますね。ただ、同じことをミッキーマウスでできるのかというと、僕は微妙なところかなと思います。ディズニー側がクレームを申し立てていないだけで、訴えることもできる案件ではないかと。

 著作権が切れたからといって、キャラクターのイメージを崩すような使い方をしてもいいのか、という話になると別の権利の侵害になる可能性があります」

名前の使用には許諾が必要

 そうなると、ユーチューバーが画像を使って違うセリフを当てたりすることも問題になるのだろうか?

「わいせつな言葉を当てたりするのは問題になるでしょう。実際のところ、プーさんのホラー映画のように使用することは、かなりグレーですね。僕は赤信号に近い黄色信号だと思います」

日本でも公開されているホラー映画『プーあくまのくまさん』(作品公式サイトより)

 また、名前の使用もキャラクター使用時の盲点となるという。

「『蒸気船ウィリー』のミッキーのデザインはフリーでも、名称についてはディズニー社が商標権を持っています。なので、著作権が切れていても、ミッキーマウスという名前を使うのなら許諾が必要になります」

 フリー素材になったといっても、かなり制約がありそう。ファン究極の願望として、オリジナルのミッキーをメインにした遊園地をつくることはできる?

「ミッキーマウスと名乗れないことをどうするか、などいろいろな問題が絡んでくるので難しいと思います」

 どこまでディズニーが許してくれるのか、を見極めながらのキャラクター使用になりそう。著作権フリーのミッキーを使った、新しいビジネスの誕生は難しいということ!?

2020年に行われた『ミッキーマウス展THETRUEORIGINAL&BEYOND』で「蒸気船ウィリー」の展示 (c)Disney

 

『東京ディズニーリゾート』40周年関連グッズ

 

上海ディズニーランドのアトラクション「プーさんの冒険」入り口

 

ディズニーキャラクターたち

 

緊急事態宣言下、ガランとした舞浜駅周辺('20年2月)

 

新型コロナの影響で、「人が消えた」臨時休園中のディズニーシー('20年2月撮影)

 

いつもなら大行列のエントランスにも人がいない('20年2月)

 

ディズニーシーの駐車場('20年2月)

 

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