中古車販売大手『ビッグモーター』(BIGMOTOR)、による自動車保険の保険金不正請求問題がおさまる気配がない。いや、前社長の兼重宏行氏、息子で前副社長の宏一氏の辞任後もむしろ、疑惑の目がさらに向けられてーー。
顧客から自動車修理の依頼を受けた際に、故意にパンクさせたりボディーに傷をつけるなど、車体への“破損行為”を行っては損害保険会社への修理代を水増し請求。そんな“不正”を明るみにしたのは“内部告発”だった。
「およそ1〜2年前から、実際に修理に当たっていた現場作業員が実態を訴えるも、何でも“証言”を改ざんしていたという、いわば“もみ消し”が図られていたと。
それでも不審に思った損害保険会社がビッグモーターに実態調査を要請。1年間にわたって長い調査が行われていましたが、その間にも現社員や元社員からの“告発”が続いていました。そして7月、ようやく“不適切な行為があった”と不正認定されたのです」(全国紙社会部記者)
この一連の不正問題がメディアで一斉に報じられると7月19日、兼重社長(当時)は社内のグループLINEにて全店店長に向けたメッセージを送信。
世間の関心を集めるために報道している
【メディアの常として、全社員の2%に満たない一部のBP(板金塗装)社員の過去の不祥事でも、世間の関心を集めるために、会社全体の組織ぐるみだと決めつけて報道しています】
メディア批判ともとれる主張を展開したのだが、社員に送ったはずのLINE文面が即ネット上に流出。またもや“内部告発”されてしまう。
すると5日後、ようやく開かれた保険金不正請求問題をめぐる会見にて、自身の辞任を表明した兼重氏。合わせて7月26日付で後任となる、和泉伸二専務取締役の社長就任も発表されたのだった。
「お客さまのほうをむいて仕事ができていればこんなことは起きていない」などと、“お客様ファースト”の会社づくりを誓った和泉新社長。その“社内改革”の第一歩目となる“初仕事”が早速、『朝日新聞デジタル』にてすっぱ抜かれた。
何でも騒動が勃発して以降、同社のLINEグループにおいて特定の店舗や従業員が「吊し上げ」にされる現状があることから、和泉社長が差出人となった《全店のLINEの使用をすべて止める》との通知が届いているのだという。
LINE削除に「隠蔽する気満々じゃん」
「つまりは社用電話内のLINEアプリのアカウントを削除を指示したもので、一見、社員を守るための措置にも思えますが、社内における作業指示を含めたやり取りや、それこそ万一にも別の不正が浮上した際の証拠メッセージも全て削除される恐れがあります」(前出・社会部記者、以下同)
案の定、和泉社長の“LINE削除”改革が報じられると、ネット上では《証拠隠滅かな?》《隠蔽する気満々じゃん》《どう好意的に解釈しても「改革」って無理ある》と、疑うような声も多く見受けられる。
「このタイミングでの“社内記録”の削除は、今後不利になるようなリークを防止するため、また新たな告発者をあぶり出すための措置にも思えてしまいます。
会見では“知らぬ存ぜぬ”を貫き通し、一方で不正に関与した社員に対して刑事告訴を示唆する場面も(のちに撤回)あった兼重氏。そもそも秘密事項であるはずの社内情報が逐一漏れ聞こえてくるのは、そんな経営陣や会社に対して不満と不信感を募らせる社員が多いということなのかもしれません」
国からも事態を重く見られたのだろう。ついに国交省からのヒアリングや、金融庁の調査も始められているビッグモーター。新社長が就任早々にLINE削除を指示したことと何か関係があるのだろうか。