太田亜紀子容疑者の自宅アパート

「美人でやさしそうな母親だったのに……」

 いまだ規制線が張られ捜査が続いている容疑者の自宅アパート近くに住む主婦はそう驚くーー。

 7月24日の早朝6時32分、女性の声で茨城県警水戸署へ1本の110番通報があった。

「子どもを殺した」

 署員が現場のアパートの一室に駆けつけると、布団の上で、小学3年生の長男・太田継真くん(けいしん・8)と、保育園児の長女・梨心ちゃん(りこ・5)が血を流して仰向けに倒れていた。継真くんは心肺停止、梨心ちゃんは意識不明の状態。すぐさま病院へ搬送されたが、間もなく2人とも死亡が確認された。

 同署はその場にいた母親でパート従業員の太田亜紀子容疑者(39)の身柄を確保。その日のうちに継真くんの頸部を刃物のようなもので刺して殺害したとして、殺人の疑いで逮捕した。

容疑者は無理心中を試みようとしたのか

「間もなく梨心ちゃん殺害の容疑で再逮捕されるだろう。動機は明らかになっていないが、容疑者自身の首にも幅1センチの傷跡が残っていて、“親子仲はよかった”と供述していることから、無理心中を試みようとして、本人は死に切れなかったのではないか」(全国紙社会部記者)

 夏休み4日目で悲劇に見舞われた継真くん。「元気なお子さんでした」と話すのは、水戸市教育委員会の担当者。

「明るくて、とても活発な男児。身体を動かすことが大好きで、たくさんの友だちと一緒に校庭で遊んでいるような子どもさんでした」

 25日の夕方、継真くんが通っていた小学校では、彼の死を悼むとともに、動揺した子どもたちの心をケアするための保護者会が開かれ、250人もの参加者が集った。

 妹の梨心ちゃんは、保育園の年長組だった。同園の園長によると、

「年長と年中のお子さんだけを集めて、“梨心ちゃんが天国へ行けるように、お祈りしましょう”と話して黙祷を捧げました」

 園児の保護者から、「梨心ちゃんが亡くなったことを子どもにどう伝えたらいいのでしょうか?」という問い合わせも複数あったという。

 梨心ちゃんは母親にそっくりで、

「すらりと背が高く、かわいらしい女の子でした。勉強、お絵描き、遊戯、かけっこなど、どれもそつなくこなせるタイプで、苦手なものがなかった。同い年だけでなく、年上や年下の子とも仲よくできるいい子でした」(同・園長)

太田亜紀子容疑者が使用していたと思われる電動ママチャリ

 2人のかわいい幼子の尊い命を奪った母親はどんな女性だったのか、冒頭の近所の主婦は、

事件直前に離婚、夫は家を出て行った

「5年ほど前に引っ越してきた。今年1月まではご主人と一緒に暮らしていたようですが、離婚してご夫人はいなくなったみたい。5月に行われた継真くんの運動会のとき、1日だけは家に戻ってきたんですけどね」

 3人が暮らしていたアパートの家賃は月8万円ほど。容疑者のパート収入だけで、子ども2人を育てるのは厳しかったのか、

「生活苦から、子どもを道連れに、無理心中を図ったのではないか……」(前出・主婦)

 一方、別の近隣住民からは、

「容疑者は顔を合わせても挨拶もしない。愛想もなく、結構きつい性格でした。うちの犬を散歩させていると、梨心ちゃんが“かわいい”って触ってくれたんだけど、母親は“うちの子に犬を触らせないで!”って言ってきて。少し神経質な感じだった」

 容疑者の自宅アパートからそれほど遠くない場所に容疑者の実家はあるのだが、

「彼女はプライドが高いから、サポートを受けなかったのかもしれない。でもそれが原因で子どもを道連れに死のうとしたのなら許せない。あんまりでしょ」(同・住民)

 捜査関係者も、次のように語る。

「たとえこの件が無理心中だったとしても、今巷を騒がせている歌舞伎役者が起こした事件とは違いすぎる。彼は家族で話し合って、死にたいと願った両親の手助けをしたという容疑をかけられているが、本件は子どもが死にたがっていたわけではないはず。そもそも無理心中未遂と決まったわけではないので、あらゆる可能性を考えて、淡々と捜査を進めていくだけです」

 いずれにしても、幼い子を巻き込んだ一家無理心中は親の身勝手極まりない犯罪だ。アパート前には、継真くんと梨心ちゃんの冥福を祈るお供え物が無数に並んでいた。


 

太田亜紀子容疑者が使用していたと思われる電動ママチャリ

 

太田亜紀子容疑者が使用していたと思われる軽自動車

 

茨城県警水戸署