「食材や調味料を変えなくても、料理の腕を磨かなくても大丈夫。“料理酒オイル”を使うだけで、いつもの料理がお店のような仕上がりに格上げできます!」
簡単においしくなるから料理が楽しくなる
そう話すのは、料理芸人のクック井上。さん。水っぽい野菜炒め、べちょっとした炒飯(チャーハン)、パサパサのハンバーグなど“家で作るならこんなもの”と長年諦めていたお悩みも全部解決できると断言する。
というのも、料理酒オイルの発想はプロの調理場から生まれたものだから。
「幼いころから、飲食店の調理風景を覗くのが好きで。見ていると、和洋中のジャンルを問わず、プロの料理人は共通して“酒と油”をうまく使っており、そこに着目しました」(クックさん、以下同)
ところが、別々に使うだけでは、お店の味に近づけるのは難しい。特に、スピード勝負となる野菜炒めや炒飯などの炒め物は、強い火力で熱と油を全体に行き届かせるためにフライパンをあおる“腕”が必須になる。
「そこで、重要なのが料理酒と油のミックス。お酒と油の相乗効果で一気に高温のスチームと細かな油の飛び跳ねを発生させることができ、フライパンに食材と料理酒オイルを入れて加熱するだけで、技術なしにプロのような調理工程を再現できるんです」
さらに、下処理に使えば食材のおいしさを引き上げる効果も得られる。
「料理酒オイルは味つけを大きく変えるものではなく、食材の食感や風味を高めるプラスアルファの万能調味料。家族の好きな味つけのまま、ワンランク上の料理に昇格できるのもメリットです。料理歴が長い人こそ、その差に驚くと思いますよ!」
清潔な保存容器に料理酒4(200ml):サラダ油1(50ml)を入れるだけ!
容器は注ぎ口が細めのものが使いやすい。クックさんのお気に入りは100均の調味料ボトル。「醸造調味料」と記載された料理酒に、香りや味にクセのない油を入れてできあがり。
4:1は目測でもOK。使う前にしっかりシェイク。保存は冷蔵庫で1週間程度。
料理酒オイルの万能ポイント
炒め物・炒飯・焼きそば……中華が即プロの味
サラダ油と混ざった、水より沸点が低い料理酒によって一気に大量のスチームが発生し、フライパンの温度を下げずに短時間で高温の加熱調理が可能に。そのスチームに乗って、油が米や麺、食材全体に行き渡るのでパラパラ&シャキシャキ食感になる。
肉も魚もしっとりふっくら
食材を料理酒オイルで“マリネ”してから調理すると、お酒の作用でやわらかくなるだけでなく、油分で加熱時に食材の水分が逃げるのも防げる。また、料理酒の塩味が下味代わりに。そしてアルコールが食材の臭みを消すというメリットも。
煮物も汁物も“こくウマ”に!
お酒の風味が加わるだけでなく、料理酒オイルに含まれる糖質や塩、油によってメイラード反応(糖とアミノ酸が反応して褐色になること)が促され、香りやコクがアップ。煮物は“炒め煮”のようなツヤ感のある仕上がりに。汁物もうまみが増す。
料理酒オイルを使ったおすすめレシピ!
今までより100倍うまい!野菜炒め
中華屋さん並みのシャッキシャキの歯ごたえを実現
材料/2人分
・料理酒オイル……大さじ1
・もやし……1袋(200g)
・キャベツ……1/2枚(30g)
・豚バラ肉……30g
・ごま油……小さじ2
A〔にんにくチューブ……小さじ2、しょうゆ・鶏がらスープの素・水……各小さじ1、こしょう……少々〕
【作り方】
(1)キャベツの葉は幅1cm長さ5cmにして、芯は薄切りにして分ける。豚肉は幅1cmに切る。
(2)フライパンにごま油を引き、強火で肉を色が変わるまで炒める。肉の上にキャベツの芯→葉→もやしの順に重ね、もやしを平らに広げて料理酒オイルを回しかけ、1分弱放置する。
(3)トングで具材の天地を返し、30秒放置する。Aを加えて、素早く全体を混ぜる。味をみて、塩(分量外)で調える。
《POINT》◎料理酒オイルを回しかけたら、動かさず放置!
お店以上の味!さっぱり野菜餃子
試す価値あり!具のジューシーさが段違い
材料/2~4人分
・料理酒オイル……大さじ1
・餃子の皮……大きめなら25~小さめなら40枚
・キャベツ……1/3個(400g)
・ニラ……1/4束(25g)
・豚ひき肉……75g
・塩……ふたつまみ
・サラダ油……大さじ1+小さじ2
A〔鶏がらスープの素……小さじ2、しょうゆ・オイスターソース……各大さじ1/2、こしょう……小さじ1/2、にんにく・しょうが……各チューブ2cm〕
【作り方】
(1)キャベツは3cm角のみじん切りにし、塩を加えてよく混ぜ、20分ほど放置して水けをよく絞る。ニラは5mmの粗みじん切りにする。
(2)豚ひき肉に料理酒オイルを加えてよく練り、Aを加えてよく混ぜ、キャベツを加えてよく混ぜる。ニラは最後につぶさないようにサッと混ぜる。皮で餡を包み、焦げつき防止のフライパンにサラダ油大さじ1を引き、丸く並べる。
(3)フライパンを強火にかけ、すぐに熱湯(餃子の高さの3分の1ほど。分量外)を注ぎ、フタをする。水分がなくなったらフタを取り、餃子の上からサラダ油小さじ2をかけて強めの弱火で好みの焦げ目をつける。
《POINT》◎ハンバーグやつくねなども、肉だねを練るときに料理酒オイルを入れてみて!
なすの京風焼きびたし
揚げ焼きしてジュワッと味しみしみ
材料/2人分
・料理酒オイル……大さじ3
・なす……2~3本(200g)
・サラダ油……大さじ1
A〔白だし……50ml、水……200ml〕
・しょうが(細切り)……お好みで
【作り方】
(1)なすは3~4cm幅の輪切りにし、ボウルの中でサラダ油とよくあえておく。
(2)フライパンを強めの中火にかけ、(1)を両面が少し焦げるまで焼く。料理酒オイルを回しかけ、フタをして1分加熱、裏返してフタをして30秒~1分、さらに加熱。
(3)ボウルにAを合わせ、(2)を浸し、冷蔵庫で冷やす。お好みでしょうがを添えていただく。
《POINT》◎同様の作り方で、ピーマンやズッキーニ、パプリカなどでも美味しくできる!
お惣菜屋さんのきんぴら
ごぼうの食感が絶妙な仕上がりに
材料(作りやすい量)
・料理酒オイル……大さじ3+大さじ3
・ごぼう……1本(200g)
・にんじん……2/3本(100g)
・いりごま……大さじ1
A〔水……大さじ3、しょうゆ・みりん・砂糖……各大さじ1、和風だしの素……小さじ1/2、鷹の爪(輪切り)……適量〕
【作り方】
(1)ごぼうとにんじんは、長さ6cm、幅3mmくらいの細切りにする。
(2)フライパンを強めの中火に熱し、ごぼう・にんじんの順に重ねて、料理酒オイル大さじ3を回しかけ、フタをして2分加熱。トングなどで天地を返して、再び料理酒オイルを大さじ3回しかけ、フタをして1分加熱する。
(3)フタを取って強火にし、Aを加えて全体を混ぜながら炒める。汁けがなくなったら、いりごまを加えてサッと混ぜ合わせる。
《POINT》◎野菜はかたい(火をよく通したい具材)順に重ねることを意識して。
スタミナポークソテー
外はカリッと、噛むとやわらか!
材料/2人分
・料理酒オイル……大さじ2
・豚ロース肉(厚さ2cm)……350g(175g×2)
・玉ねぎ……大1/6個(50g)
・塩、こしょう……各大さじ1
・小麦粉……適量
・サラダ油……小さじ2
A〔しょうゆ・みりん……各大さじ2、にんにく・しょうが……各小さじ1/2〕
【作り方】
(1)豚肉を肉たたきなどで軽くたたき、包丁でスジを切る。両面に塩・こしょうをふり、小麦粉を薄くまとわせる。玉ねぎは横に1cm幅に切る。
(2)フライパンにサラダ油を引き、強火で豚肉を立てて脂身側を1分焼いたら中火にし、両面を1分ずつ焼く。フライパンの脂をふき取り、玉ねぎを入れて料理酒オイルを回しかけ、フタをして中火で両面をさらに1分ずつ加熱。
(3)フタを取り、Aを加えて中火で1分ほど豚肉を返しながら煮絡める。
《POINT》◎フタをして“蒸し揚げ焼き”で、カリッとジューシーに仕上がる。
他にも入れて!おすすめメニュー
熱を加える料理なら、和洋中問わず。いつものメニューがプロ仕様に!
豚汁
サッと炒めた豚肉の上に、野菜やこんにゃく、油揚げを重ね、料理酒オイルで1分蒸し焼きにしてから水を加える。食材の食感を残しつつ、コクがアップ!
野菜のレンジ蒸し
野菜に料理酒オイルを回しかけ、ふわっとラップをかけて電子レンジで加熱。油通ししたようなうまみのある蒸し野菜に。料理酒の塩分で軽く下味がつくので、減塩効果にも期待。
揚げ物
食材に料理酒オイルをもみ込んでから調理。お酒の力で肉がやわらかく、油分が足されて食材の水分が閉じ込められジューシーに。