映画『バービー』の公式サイト。主演はマーゴット・ロビー。恋人ケン役はライアン・ゴズリング

《アメリカ本社の配慮に欠けた反応は極めて遺憾なものと考えており、アメリカ本社にしかるべき対応を求めています。不快な思いをされた方々にお詫び申し上げます》

キノコ雲をコラージュした画像がネット上で拡散

 7月31日、配給会社『ワーナーブラザースジャパン』は、日本版の映画『バービー』の公式ツイッターで、このような謝罪文を公開した。

 発端は7月21日からアメリカで公開された『バービー』に関して、SNS上の一部で“不謹慎”な盛り上がり方を見せたこと。

「『バービー』の公開同日、アメリカでは映画『オッペンハイマー』も封切りされたんです。『バービー』は、アメリカ発の人気キャラクターでポップなおもちゃの世界から、人間界に行くことになったバービー人形の体験を描いたコメディ。

 もう一方の『オッペンハイマー』は、物理学者で“原子爆弾の父”とも呼ばれたロバート・オッペンハイマーの生涯を描いたシリアスな作品です。対照的な2つの映画ですが、どちらもアメリカ国民の関心を呼ぶビッグタイトルでした。

 さらに、両作品とも同日公開という偶然が面白がられて『バービー』と『オッペンハイマー』を掛け合わせて“バーベンハイマー”という造語も現れ、ネット上で盛り上がったのです」(映画誌ライター、以下同)

 この流れを受けてネット民が悪ノリしてしまったのか、『バービー』の画像と『オッペンハイマー』の劇中に登場する“原子爆弾の爆発で生じるキノコ雲”をコラージュした画像がネット上で拡散され、大きな反響を呼んだ。

この“バーベンハイマー”画像に『バービー』のアメリカ公式SNSも反応。驚くことにとがめるわけではなく、不謹慎なイラストに対して“忘れられない夏になる”といったコメントをするなど、むしろ流行に便乗するようなコメントを寄せたのです

 こうした一連の流れに対し、批判の声が続出。 “#NoBarbenheimer(ノーバーベンハイマー)”というハッシュタグと合わせて非難する動きも起きた。

「日本人であれば、原子爆弾は爆発の威力だけでなく、放射線による甚大な被害があったことも当然知っていますし、今回の“悪ノリ”に不快感を示すのは当然でしょう。

 しかし、アメリカをはじめ、多くの国々は原子爆弾に対する理解も浅く、単なる“高威力な爆弾”程度の認識の人もいるのかもしれません。今回の“バーベンハイマー”のコラージュも、原爆に関する知識のなさから生まれてしまったのだと思います

 『オッペンハイマー』の日本公開は未定だが、『バービー』は8月11日から公開予定。原爆投下から今年で78年。長い月日は流れても、忘れてはいけないことはある――。

 

SNSに上げられたバービーと原爆を結びつけたコラージュ

 

コラージュに対する『バービー』公式アカウントの反応。好意的に受け止めているように見える

 

映画のプロモーション動画。バービーの世界観を表現している

 

オッペンハイマーとバービーを並べた投稿を”ジョーク”と返信