8月11日に日本公開を控えている映画『バービー』が炎上に見舞われているが、女優・高畑充希の対応に称賛の声が寄せられている。
事の発端は、7月21日に全米公開された『バービー』と、同日公開された、原子爆弾を開発した“原爆の父”と称されるアメリカの物理学者、ロバート・オッペンハイマーの生涯を描いた映画『オッペンハイマー』に関するSNS投稿に始まる。
“バーベンハイマー”なる、両タイトルをもじった言葉が流行するほどの社会現象になった“インターネット・ミーム”だが、一部で明らかな違和感を覚える創作物がクローズアップされた。
バービーのヘアスタイルを核爆発によって生じる“キノコ雲”に加工したり、燃え盛る炎と両作品の主演俳優を合成させてポスター風にするなど、まるで8月6日に広島、8月9日に長崎にそれぞれ投下された原爆を“揶揄”するかのようなコラージュ画像。
これらの不謹慎なSNS投稿に、『バービー』アメリカ版公式X(ツイッター)がハートマークの絵文字などを使ったリプライを寄せたことで、日本を含めた各国のネットユーザーから「失望した」「ネタにするな」などの批判的コメントが殺到。
しばらく騒動を静観していた米『ワーナー・ブラザース』だったが、日本時間8月1日までにようやく公式声明で謝罪。一方で騒動を招いた『バービー』米公式は問題視されたリプライを全て削除するも、謝罪文面を出すことなくスルーを続けている。
ストーリーズで炎上騒動にコメント
そんな“公式”によるモヤモヤ対応がなされる中で、
【他人事ではなく考えてもらえるにはどうしたら良いんだろう、と。声を上げ続けるしかないのかな、と。モヤモヤする中で今日という日を迎えてしまいました】
8月2日にインスタグラム・ストーリーズにコメントを掲載したのが、日本語吹き替え版で主人公・バービーを演じた高畑充希だった。
【今回のニュースを耳にした時、怒り、というよりは正直、不甲斐なさが先に押し寄せてきました。】
“今回のニュース”とは“原爆揶揄ツイート”騒動のことなのは明らか。同日に『バービー』のグレタ・カーウィグ監督と、プロデューサーのデイビッド・ヘイマン氏との関連イベントへの登壇を控えていた高畑は、一時は辞退を考えたというが、
【来日してくれたお2人の想い、そして私自身、このBarbieという作品自体の素晴らしさはぜひ知っていただきたいな、という気持ちを消せませんでした。なので、複雑な感情はありますが、今日一日、真摯につとめさせていただきたいと思います。】
『バービー』製作に関わった、また原爆コラ騒動で傷ついた、また批判の声を上げる全ての人に向けて発信した高畑。そんな言及に、
事務所指示ではなく高畑の独断か
《スルーすることもできただろうに、きちんと向き合って真摯に考えを伝えてくれて、ものすごく素敵な人だな…高畑充希とても好き》
《正直、高畑充希この件スルーするだろうな…というか、そうするしかないだろうなと思ってた。彼女の立場でこのコメントを出すの、素直にすごい》
《シンプルに尊敬できる人だなあ。こういう制作側の不祥事って声優陣に目がむくことほとんどない。だからスルーしてやり過ごすのが無難なのにしっかり言葉に出してるの尊敬する》
自分とは直接的に関係のない騒動で、しかも劇中で顔が出ない吹き替え出演にもかかわらず、問題に対してスルーすることなく真摯に向き合った高畑。
「普段から思ったことをストレートに言うタイプですから」と苦笑いするのは、大手芸能プロダクションのチーフマネージャー。
「本来ならば、このようなセンシティブな問題は炎上に巻き込まれるリスクが高いため、タレントには言及させずにスルーするのがセオリー。彼女のコメントは異例といえます。
そしてストーリーズ機能(24時間で自動削除される)を使ったことから、おそらくは事務所主導ではなく、彼女の意思によるアクションなのかなと。作品に責任と誇りを持っているからこその発言とはいえ、事務所および関係者はヒヤヒヤしたことでしょう」
このコメントで溜飲を下げたのか、騒動への批判的な声も鎮静しつつある。高畑の勇気ある対応に、アメリカの『バービー』も感謝していることだろう。