見た目も中身もいつも元気! 美意識高く、独自の健康法を実践する芸能人たち。けれど中には“やりすぎ”なものや、むしろ身体に“悪影響”を及ぼすものも。多くの芸能人が実践する「一日一食」は果たして健康にいいのか。管理栄養士の森由香子さんに話を聞いた。
《高校生の頃から、歌手になりたい一心でボイストレーニングのことしか頭になく、多忙な生活。気がついたら夕食だけ食べる一日一食の習慣に近づいていました》
と某雑誌のインタビューで話すのはピンク・レディーの未唯mie(65)。芸能生活42年、今も変わらぬスタイルを保つ奇跡の65歳だ。
“一日一食”が美魔女の秘訣?管理栄養士の判断は
大ヒットを連発していた20代のころ、一日一食を心配した事務所のスタッフが病院で診察を受けさせたが、「どこにも異常はない。このままの食生活で問題ない」と診断されたという。
それから40年以上、未唯mieは一日の終わりに夕食だけを食べる生活が続き、前期高齢者になってもハードなライブをこなしている。この「一日一食」について、管理栄養士の森由香子さんはこう指摘する。
「管理栄養士としては、一日一食はおすすめしません。短期間で減量したい人には目に見える減量効果が得られるでしょうが、一日一食生活を長期間続けると、健康を害する可能性があります」
少し前まで厚生労働省が「一日30品目」を推奨していたが、人間が生きていくためにはさまざまな栄養を摂取する必要があり、栄養素の中には一度の食事で吸収できる量に限りがあるものも。
「つまり、一食で一日に必要な栄養をすべて摂取するのは不可能です。以前、私の患者さんで、ダイエットのために1か月間、一日一食を実践していた方がいらっしゃいました」(森さん、以下同)
すると、次第に髪の毛が抜けてきたという。
「これは身体の組織を作る成分であるタンパク質をはじめ、さまざまな栄養素が不足したためです」
一日一食を実践する芸能人は多く、ビートたけし、水谷豊などのベテランから、高橋一生、斎藤工など、数え上げるとキリがないほどだ。
《体の限界がきた瞬間以外のときに食べるとお腹がモタモタしてしまうので、一日一食を続けている》
テレビ番組でこう話した高橋一生は、一日一食生活を続けて17年目に突入する。
“記憶喪失になり海岸に流れついた男”というドラマの役作りがきっかけで一日一食生活を始めた斎藤工は、この食生活が合っていると話す。
《腸ベースで思考をめぐらせると、夜眠る時に体内の臓器が夜勤をしてくれているわけじゃないですか? 目覚めた時に、夜勤明けの状態の臓器を働かせるのが酷だなと思って。最後に食べた瞬間から携帯のストップウオッチを(動かして)、だいたい18時間くらいたったら食べる》
しかし、やはり一日一食生活には不安要素がある。
「食事の時間が空きすぎると食後の血糖値が上がりやすくなるので、膵臓に負担がかかります。また食事量や水分量が減少し、便秘にもなりやすいので、特に50代以上の人は控えてほしいですね」
【取材・文/田村未知(さくら編集工房)】