「横浜流星じゃなくてすみません!」
8月25日に公開を控える映画『春に散る』の特別試写会にサプライズで登壇し、そう自虐したのは俳優の佐藤浩市。
「沢木耕太郎氏が手がけた同名小説の映画化で、佐藤さんと横浜さんがW主演を務めます。元ボクサー役の佐藤さんが、横浜さん演じる若者に偶然出会い、世界チャンピオンの夢を託して指導する……という物語です」(映画ライター、以下同)
撮影が始まった瞬間、凍りつく雰囲気
橋本環奈や窪田正孝、山口智子などが共演に名を連ね、公開前から注目が集まる。
「役作りでボクシングのトレーニングに励んだ横浜さんは、今年6月、プロテストに合格。幼少期から空手に取り組み、'11年には世界一になったこともある、優れた身体能力を劇中でも発揮しています」
横浜のライバルである世界チャンピオン役を務めた窪田は、'20年に公開された映画『初恋』でボクサーを演じたことを機に、プライベートでもボクシングジムに通っているという“本格派”だ。
「ウォーミングアップも含め窪田さんからはトップレベルのプロボクサーのような覚悟と集中力が感じられました」
そう振り返るのは、ロケ地として撮影に協力した『ユナイテッド ボクシング ジム』の代表・阪東ヒーロー氏。
「流星くんは、撮影前に挨拶をしにきてくれたときは、おとなしい好青年という感じでした。ただ、目には力が宿っていて、長い期間、格闘技をやってきたことが伝わる覇気と緊張感を放っていましたね」(阪東氏、以下同)
初共演となる横浜をリードしていた佐藤については、
「撮影が始まった瞬間、凍りつく雰囲気に変わりました。一方、カメラが回っていないところでは本当に気さくな方。ジムに飾ってあるチャンピオンベルトに興味を示してスタッフに質問したり、NGシーンを笑いに変えたりと、終始場を盛り上げていました」
佐藤が場を盛り上げた“偉人ジョーク”
そんな佐藤が演じる元ボクサーの“故郷”として描かれているのが大分市。昨年11月、6日間にわたって行われた撮影について『大分市ロケーションオフィス』の児玉誠吾氏が語る。
「地元住民150人ほどがエキストラとして参加したお祭りのシーンがあるのですが、当日は朝から雨が降っていて。大がかりな準備で、延期できない状況だったのでハラハラしましたが、撮影時には雨がピタッとやんだんです。さすが役者さんは“(運を)持ってるな”と感激しましたよ」
大分でも、佐藤は和やかな雰囲気づくりに励んでいた。
「クランクインの日、お弁当とともに大分の銘菓を用意しました。役者さんに直接すすめるわけにもいかないので、少し離れたところから“手に取ってもらえるかな”と眺めていたのですが……」(児玉氏、以下同)
予想外にも、佐藤自ら近づいてきたといい、
「“これは何というお菓子ですか?”と声をかけていただきました。地元では有名な『ざびえる』という銘菓だと伝えたところ、佐藤さんは“オー! フランシスコ・ザビエル!”と、おちゃめな感じのジョークを言って(笑)。その場が盛り上がりましたし、劇中でも佐藤さんや製作陣の“大分愛”が感じられ、地元の人々も喜んでいます」
佐藤の“偉人ジョーク”が撮影を成功に導いた!