子どもたちの「将来、就きたい職業」に異変!? ソニー生命保険株式会社が、全国の中高生1000人(中学生200人、高校生800人)を対象に『中高生が思い描く将来についての意識調査2023』を実施。結果、男子高校生のなりたい職業は「公務員」が1位になった。2位は「ITエンジニア・プログラマー」、3位は「会社員」。'21年の調査ではユーチューバーが1位だったのだが、今回は8位に転落した。
女子高校生では1位になった「看護師」に次いで「公務員」は2位。3位には「保育士・幼稚園教論」が入った。
「IT関連とか“今風”な職業が入っていますが、志向としてはかなり現実的ですよね」
と苦笑するのは、子育てアドバイザーの高祖常子さん。
中学生男子の1位はユーチューバー
「今は簡単に、いろいろな情報が手に入ります。ユーチューバーですごく稼いでいる人はごくわずかで、ほとんどの人がそこまで稼げないとか、大企業に入ったとしても大規模なリストラで解雇される可能性があるとか。
そうなると安定していて、簡単には解雇されない公務員になりたいと思うのは当然でしょうね」(高祖さん、以下同)
かたや、中学生に目を向けると、男子は1位「ユーチューバー」、2位「ITエンジニア・プログラマー」、3位「プロスポーツ選手」。女子は1位「絵を描く職業」、2位「ボカロP」、3位「ユーチューバー」「歌手・俳優」となっている。
「この年代だと、まだ夢を見ることができていてホッとしました(笑)。年齢が低いほど、自分の周りにあるものに対して憧れを持つというのは多いじゃないですか。
意外だったのが、漫画家やイラストレーター、歌手や俳優といった職業が女子のトップ3に入ったこと、女子はもっと現実的なのかなと思っていました」
教育系もランクイン
ひと昔前なら“定番”だった「運転手・パイロット」「ショップ店員」「教師・教員」などは、中高生ともに下位ながらランクインしている。
「この年代の子どもたちは、コロナ禍でさまざまな制約の中、生活してきました。そこで飲食店やショップ、航空会社などが壊滅的な打撃を受けたのを目の当たりにしています。それでも根強い人気があるのはさすが“定番”です。
私がうれしかったのは、教師や保育士になりたいと思う子どもがいてくれたこと。給料が安いことや、業務のハードさが報じられても人気があることは驚きです。政治もこういった分野の賃金などのフォローをしていけば、人手不足にはならないのでは」
働く大人の背中を見て、自分の将来を重ねる子どもたち。物価高騰や非正規雇用の問題で、生活苦にあえいでいる姿を目の当たりにすれば、仕事に対して“夢”ではなく“現実”を反映するのは当然なのかもしれない。
「今は社会の雰囲気が悪いですよね。大人が先導する将来の先行きも見えませんし。そんな“夢では食べていけない”と子どもたちに思わせる社会は悲しすぎませんか?
安定を求めるだけではなく、子どもたちが憧れの職業に挑戦できる世の中であってほしいですね」
世情を敏感に感じ取る子どもたち。彼らが本当に就きたい職業を目指せる社会は、いつやってくるのか─。