君たちはどう思うか。ローソンストア100から発売された“漬物だけ”の弁当を。主役不在――いや、そこには主役もわき役もない。ただ“漬物とごはん”だけが存在しているのだ。なんと大胆不敵……！
ローソンストア100の『だけ弁当』といえば“おかず1品だけ”の人気シリーズだ。約188万食の大ヒット商品となったウインナー弁当をはじめ、ミートボール弁当やチキンナゲット弁当、磯辺揚げ弁当など、茶色かったり揚げ物だったり“決して主役ではないが、妙にハートをくすぐるやんちゃなおかず”がメインになってきた。
その第8弾として登場したのが、漬物だけのこの弁当だ。え、なんで漬物？ ちょっと急に渋すぎん?
「正直、地味ですよね。だからダメだろうなって思っていました！ シンプルすぎて物足りないかな～って」
と、語ってくれたのは「だけ弁当」シリーズの生みの親、ローソンストア100の“ウインナー部長”こと林弘昭さんだ。
温め禁止……？
「2022年の春に、一度試作していたんです。現在のものよりビッシリ、ごはんの上に漬物を敷き詰めて。中のごはんもカリカリ梅を混ぜ込んだものでした。でも“塩分多すぎ”って。しかも地味だし、まぁ普通にボツですよね（笑）」（林さん）
また、ニオイの問題もあった。レンジアップをした際に、漬物はどうしても匂いがきつくなる。そんなこんなで一度は立ち消えた弁当だった。が、しかし……。
「おいしいお漬物で食べるごはんって、すごい満足じゃないですか。だから私は推しちゃいました」
とは、同社広報・池内明子さん。
「初めて見たとき、あまりにもシンプルすぎて驚きましたが（笑）。夜遅くに家に帰って何か食べたいけど重いものはムリ、なんてときにいいかな～って」（池内さん）
実際、ネットからも《これは盲点》《胃の調子がよくない時とか油物がきついときによさそうだな》《夏にピッタリ！》など、驚きと称賛の声が多く上がっている。
気になるニオイ問題については？
「これについてはレンジアップしなければいいんだな、と。温めなくてもおいしければ、そのまま食べられる。なので、温め禁止です（笑）！ 上にのせた3種類のお漬物もごはんも、とことんこだわって国内製造でおいしいものを開発。ぜひそのまま食べてみてくださいね！」（池内さん）
池内さんら社内の女性陣に推されたせいか、過去の茶色い「だけ弁当シリーズ」と比べても格段にビジュがよくなっている。漬物の3色と下にのぞくゆかりごはんの紫の、なんと美しいことよ。
そんな漬物弁当を、夏の暑さ（と二日酔い）に弱るアラフィフ記者が実食した。
結論。悪くない……いやむしろ、めちゃいい！
3種類の漬物の食感や風味の違いも楽しく、二日酔いの食欲不振がみるみる吹き飛ぶ。漬物withごはんを食べ進めるうちに、ふと脳がバグって“アレ、おかずどこだっけ？”などと思う瞬間も正直あった。だが、全然うまい。なんてさっぱりといただけるんだ……むしろ温めないことで、ごはんと漬物の味わいがストレートに感じられる（気がする）じゃないか。これ、冷たいお茶をかけてサラサラッといただくのもいいかも～！
結局、箸が止まらないままに完食。アラフィフにはボリュームも多すぎず、ちょうどよいサイズだ。
「まだまだ暑い日が続きます。爆発的に売れるんでなくても、そよ風のように細く長～く売れる商品になってくれたら、と思います」（林さん）
“そよ風”どころではなく業界に新風を巻き起こし続けるウインナー部長・林さん。その次なる一手を、ネットではどう予想しているのか。
《塩だけ弁当とかでそう》《やめてほんまにでそう》《日の丸弁当復活じゃない？》……。
“次の次の次の手まで、もう考えていますよ”
そうほほ笑む林さんだった。
