8月23日、日本酒醸造所の吉川醸造が、人気ラーメンチェーン店のAFURIに提訴されたことを発表。大きな話題を呼んでいる。
日本酒『雨降(あふり)』がラーメン・AFURIに訴えられる
「吉川醸造は1912年創業の、神奈川県を拠点とする日本酒の醸造所。X(旧ツイッター)で、提訴されたことを報告したのですが、なんでも同社が2021年に発表した日本酒『雨降(あふり)』。について、AFURIから“権利を侵害している”と訴えられたのです」(全国紙記者、以下同)
同日、吉川醸造は公式HPでも《AFURI株式会社からの提訴について》と声明を発表。
《”AFURI”と記載した当社商標の使用はAFURI社の著名性にフリーライドしその商標権を侵害するものであり、商品を全て廃棄処分すること等を要求するものでした。》
《当社としては今回の最終判断を司法の場に委ねることとし、今後何らかの形で情報発信していく所存です》
と説明したが……。
「そもそも、“あふり”というのは、神奈川県の丹沢にある大山の古名“阿夫利山”のことなんです。AFURIはこの山の天然水を使用したスープを作っています。そして吉川醸造はこの山の麓にあり、その地域にとって馴染み深い企業。近くには酒造の神を祀る阿夫利神社があることから“雨降”と命名しています。
また、AFURIはラーメン、吉川醸造は日本酒をメインに商品を提供しているため、吉川醸造には“AFURI社の著名性にフリーライド”する意思はないように見えるんです。吉川醸造も公式HPで“あふりは地域・歴史・文化に根差した名称であることから、当社商標の使用はAFURI社の商標権を侵害するものではないと考えております。AFURI社にご理解を求めてきましたが、訴訟に至ったことは誠に残念です”と反論しています」
吉川醸造を応援する意見が多数
これを受けて、SNSは騒然。
《AFURIも阿夫利から名前を借りているのに、他人には使わせず“商品を捨てろ”だなんて身勝手》
《地元民は、阿夫利の近くに店舗すらないAFURIより、吉川醸造さんを応援する》
と、吉川醸造を応援する意見が多数。AFURIが居酒屋も展開している関係で、複数のジャンルで150種類以上の商標登録していることに対しては、
《こういう難癖をつけるためにたくさん取っているんじゃないの?》
と疑問視する声もあがっている。
一方で、AFURIの社長である中村比呂人氏は自身のFacebookで心境を吐露。“阿夫利”という言葉への思いを綴りつつ、
《何度考えても、我々はビジネスのルールに則った正当な手続きを踏んでるだけなんですよね。毎朝、お水を変えてご挨拶をしている阿夫利神社の神様のお札の前でも、“おれ胸張って居られるな”と思うんですけどね》と、譲らない意思を見せた。
AFURIの会社にも提訴に至った事情を問い合わせると、
「今回の件に関してはお答えできません。ただ、弊社でも近日中に公式声明文を出す予定があり、現在チームで準備している段階です」とのこと。
奇しくも、8月27日から29日まで、阿夫利神社では秋季例大祭が行われ、その期間は神様が降りてくると言われている。今回の騒動はどんな形で決着するのかは、現状は神のみぞ知るところか……。