「世界中のどこの高校生を探しても、もう高校生だけじゃなく、どんな人を探しても、最高の夏になったと思います」
8月23日に行われた夏の甲子園決勝で慶應義塾高校が仙台育英高校に勝利し、107年ぶりの全国制覇。その立役者となった3年生の丸田湊斗くんが白い歯をのぞかせ、優勝の興奮冷めやらぬ甲子園球場に冒頭の言葉を残した。
「森林貴彦監督の下、“エンジョイベースボール”“常識を覆す”などのスローガンを掲げて第2回大会以来となる優勝を果たしました。髪型は自由で、厳しい上下関係もない。自主性に任せて全体練習の時間は短いなど、これまでの高校野球とは一線を画す指導をしてきた森林監督は“うちの優勝から高校野球の新たな可能性や多様性が生まれたらうれしい”と語っていました」(スポーツ紙記者、以下同)
“慶應フィーバー”で特に注目されたのが丸田くんだった。
「50メートル5秒9の俊足を武器に1番打者として活躍。甲子園では5試合すべてでヒットを放ち、決勝では先頭打者ホームランでチームを勢いづけました。野球だけでなく、話題になったのがその美白ぶり。“ヒリヒリするから”とニベアの日焼け止めを使っていることを明かしていました」
練習の最後にやる“7分間走”で
そんな“美白王子”のルーツはどこにあるのか。横浜市にある丸田くんの実家近くに住む人に話を聞くと……。
「お父さんもお母さんも色白。お母さんは美人でキャビンアテンダントとして働いていたと聞いています。5歳年上のお兄さんも野球をやっていました。難関国立大学に通っていたみたいなので、兄弟そろって頭がいいようですね」
部員100人以上の慶應義塾高校でレギュラー。以前から野球の才能は並外れていたのか。中学時代に所属していた『横浜泉中央ボーイズ』の宇野和之監督に話を聞いた。
「小学6年生で体験に来て、初めて見たときは、身長も高くなく、色白だったので心配になりました。ですが、プレーを見てみると、足は速くて、肩も強い、打てば遠くに飛ばす。“神様は彼に何物を与えるんだ”と驚きました」
どんな中学生だったのか。
「クールという印象で、中心にいる感じではなかったです。ですが、とにかく負けず嫌い。練習の最後に“7分間走”というメニューをやっていて、“自分のペースで走るように”と指導していましたが、負けたくないようで、必ず1位で完走していました。家ではお兄さんが懸垂をしていたので、マネしてやっていたようです。そのおかげか、腕はかなり太かったです」(宇野監督)
野球だけでなく、意外な特技もあった。
「ピアノ教室には小学6年生から中学3年生まで通っていました。中学生になると部活が忙しくてやめる人も多いですが、彼は週に1回通っていました。スラスラ弾いていたので、器用なんでしょうね」(丸田くんと同じピアノ教室に通っていた生徒)
今でもピアノは趣味として続けている。
「大好きなロックバンド『Official髭男dism』の曲を自宅にある電子ピアノで弾いているそう。“ヒゲダン”は'19年にリリースした『宿命』が『夏の高校野球応援ソング』に選ばれており、当時中学生だった彼も何度も繰り返し聴いていたみたいですよ」(前出・スポーツ紙記者)
家族そろって文武両道。これだけ注目されるのは“宿命”だったのかもしれない。