ジャニーズ事務所による記者会見が、9月7日に開催されることが公表された。故・ジャニー喜多川氏による性加害について、同事務所が設置した『再発防止特別チーム』による提言を受けてのもので、現社長である藤島ジュリー景子氏の退任は決定的と見られている。
そんな中、同チームによる調査結果の中で、被害が拡大した一因となるジャニーズの負の部分を報じてこなかった「マスメディアの沈黙」についても、日を追うごとに批判が強まっている。そして先ごろより、テレビ各局の声明文が公開されているが、“ジャニーズ癒着の筆頭格”と言われるテレビ朝日について「最も早い段階で“ジャニーズ枠”という概念を生んだ『ミュージックステーション』が、この流れの中で、いよいよ打ち切りになる見込みだ」(レコード会社関係者)と指摘されている――。
各局が“忖度”を払拭する中…
テレビ6局は特別チームの会見後、足並みを揃えたかのように「マスメディアの沈黙」についての声明を発表した。
「ところが、いずれも内容はほぼ同一で、まるで英語の文章を日本語に訳したのかと思わせるお粗末なものでした。世間からはそのことについての批判も強まっていますが、たとえ“横並び”とはいえ、数十年もの間タブーとされてきたことに公式見解を示しただけでも、業界内からは評価と驚きの声が出ているのもまた事実。そして1社だけ、他局と比較して『少々“頬かむり”が過ぎるのでは』と非難されているのが、他ならぬテレビ朝日なんです」(同・レコード会社関係者)
各局ともドラマやバラエティーのみならず、情報番組に音楽番組と、ジャニーズタレントが出演しない日は皆無に等しい。しかし、ことテレビ朝日に関しては「様々な情勢変化の中で、最後までジャニーズに寄り添うスタンスを崩さなかった」(テレビ局関係者)という。
「他局でもジャニーズサイドから、共演NGなどの要請が行われることはありましたが、大きな転機となったのは2019年に公正取引委員会が、ジャニーズ事務所を注意処分とした出来事。元SMAPの3人の活動に対し、ジャニーズ関係者が圧力を掛けていたというもので、この事態が公になった際に、テレ朝以外は“ジャニーズ忖度”を払拭するように動き始めたんです」(同・テレビ局関係者)
『Mステ』を救ったジャニーズ
しかし、これ以降もジャニーズの顔色を伺うことを止めなかったというテレビ朝日。癒着のきっかけには諸説あるものの、やはり現在でも必ずジャニーズグループが1組は出演する『Mステ』の存在が大きいようだ。
「'90年代には『Mステ』出演は“スターの証”でしたが、番組が開始した'80年代は、低視聴率から打ち切り危機に陥ったことも。番組の人気低迷も続き、出演するアーティストも集まらなくなっていた時期に、救いの手を差し伸べたのがジャニーズだったんです。当時人気絶頂だった光GENJIを何度も出演させて、そこから視聴率もうなぎのぼりに。この流れから、現在に至るまで毎回必ずジャニーズグループが出演するようになったと言われています。テレビ番組で初めて“ジャニーズ枠”という概念が生まれたのも『Mステ』からだったのでは」(前出・レコード会社関係者)
なお、ジャニー氏は出演するグループ以上に、目をかけていたJr.を活躍させるべく、毎週テレビ朝日を訪れてリハーサルから指導や演出にも関わっていたという。
「その後、ジャニーズも『Mステ』も業界内で大きな権力を持つようになり、癒着関係が悪い方向にまで作用するように。ジャニーズ以外の男性アイドルがほぼ番組に出演できないという、圧力めいた状態が現在に至るまで続いています。もはや視聴率や世間への影響力的にも、『Mステ』を続ける理由はなくなってきているだけに、頼みの綱だったジャニーズがこの状況に陥ったことで“ようやく打ち切りを決行する材料が揃った”と話す関係者もいるほどです」(同・レコード会社関係者)
さらに『Mステ』を巡っては、別方向からも「打ち切り説」が聞こえてきているようだ。
「8月中旬に『週刊文春』が報じたタモリさんの“終活”ですよ。36年に渡って『Mステ』のMCを担当したタモリさんですが、彼が降板することになれば必然的に『Mステ』も終了するというのは、実は局内での共通認識。今年3月の『タモリ倶楽部』終了時にも、『Mステ』降板説は浮上していただけに、打ち切りはもはや時間の問題と見ていいでしょう」(芸能プロ関係者)
ジャニーズ、タモリというふたつの要を同時に失いつつある『Mステ』。長らく国内の音楽シーンを象徴してきた音楽番組は、果たしてこの終焉を予想していただろうか。