8月28日、『那須どうぶつ王国』を訪問されたご一家は、一般来場者に笑顔でお手振りを

「あのとき見た赤ちゃんが、もうお父さんとお母さんなんですね!」

 “世界最古の猫”と呼ばれるマヌルネコを前に、両陛下と愛子さまはそう驚かれた─。

天皇ご一家、那須御用邸で静養し『那須どうぶつ王国』へ

強い日差しの中、大きな鳥が飛び回るバードショーを夢中になってご覧に

 8月21日から9月5日にかけて、栃木県の那須御用邸で静養された天皇ご一家。8月28日には『那須どうぶつ王国』を訪問された。

「'19年以来、4年ぶりのご訪問だったので、とてもうれしかったです」

 そう振り返るのは、同園の総支配人である鈴木和也さん。

「コロナ禍では集客に苦労し、クラウドファンディングで支えていただきました。今回、お三方にご覧いただいたのは、そうした支えによって成り立っている施設ばかり。お三方も、さまざまな葛藤やご苦労があったのか、そうしたわれわれの話に共感してくださいました」(鈴木さん、以下同)

 午前中に入園したご一家は、マヌルネコや世界で最も賢いオウムと評されるケアなどを見学された。

「以前お越しいただいた際にはなかった、新設のブースにご案内しました。マヌルネコの施設は、クラウドファンディングによってオープンしたもの。先日、赤ちゃんが生まれたのですが、ご一家は、その両親がまだ赤ちゃんだったころにいらしたことがあって」

 そこで飛び出したのが、冒頭のコメントだったのだ。

 絶滅に瀕している動物の飼育展示を行う『保全の森』をご覧になった後は、ヤマネコを模したバスで昼食会場へ。

 約2時間のお昼休憩後は、ご一家が毎回楽しみにされているというバードショーをご覧になった。

「よく晴れた空の下、色とりどりの鳥たちが観客席の頭上でさまざまなパフォーマンスを行いました。鳥の姿を見逃すまいと、雅子さまは黒いサンバイザーを、愛子さまはベージュのキャップをショーの途中で着用されていましたね。鳥が飛び回る迫力と熱気からか、雅子さまは途中でマスクをお外しになっていました」(居合わせた女性客、以下同)

『ヒツジファーム』で微笑ましい光景

“世界一かわいいヒツジ”といわれるヴァレーブラックノーズシープにえさやりされるご一家

 一般の観客たちにお手振りをされながら、ショーの会場を後にしたご一家は、『ヒツジファーム』へ向かわれた。

「えさを持ち、ご家族で記念写真を撮られていました。積極的にヒツジとふれあっていた愛子さまは、早々にえさがなくなってしまったようで、陛下と雅子さまがご自身のぶんを差し出されていたのが微笑ましかったです」

 えさに飛びつくヒツジたちに、雅子さまと愛子さまが後ずさりされるひと幕も。

「閉園後も長時間滞在されました」

 さらに、普段はなかなか見られない“ヘルメット姿”も披露された。

「陛下、愛子さま、雅子さまの順番で、交代で馬に乗り、引き馬体験を楽しまれていました」(居合わせた男性客)

『ふれあいうさぎ広場』でも愛子さまはウサギたちにえさを与えられていた。

「愛子さまは幼少期からお越しいただいていたので、幼いころの印象が強かったのですが、久しぶりにお会いしたら立派に成長されていて……。気さくでとても話しやすい、ユーモアあふれるお姿に感動しました。動物好きなのは昔からお変わりありません。それぞれの動物ゾーンから移動する際、ご一家は毎回、名残惜しそうにしていらっしゃいました。久々だったこともあり、今回は閉園後も長い時間滞在されていました」(鈴木さん)

 この日は、普段より30分早い午後4時に閉園したが、ご一家はその後、4時間近く“貸し切り”の園内でお過ごしになった。辺りが真っ暗になったころ、大勢の職員に見送られながら、どうぶつ王国を後にされたという。

『那須平成の森』をご訪問

沿道に集まった地元住民に、雅子さまと愛子さまは窓を開けて応じられるも車のスピードは落とさず(8月30日)

 8月30日は、午前11時半ごろに御用邸を出発して『那須平成の森』をご訪問。

「もともとは那須御用邸の敷地内でしたが、上皇さまが“国民が自然に直接ふれあえる場として活用しては”と提案されたことで'11年に開園した自然公園です。7月下旬に那須で静養された上皇ご夫妻もお訪ねになっており、皇室とのゆかりが深い場所として知られています」(皇室ジャーナリスト、以下同)

 上皇ご夫妻が訪れた際は、たまたま居合わせた一般客と交流されたというが、

「天皇ご一家が訪問された日は閉園していたため、残念ながら国民とのふれあいは実現しなかったそうです。久しぶりのご来園とあり、職員たちは相当張り切っていたようで、当日は午前7時台から準備を始めていたと聞きました」

 約4時間にわたり那須の自然を堪能された後、御用邸に戻って小休止をとってから『テディベア・ミュージアム』へ。

「ご静養中、皇室の方々がお出かけになるときは、交通整理のための警察官が配置されるので、すぐにわかるんです」

 そう語る地元住民の女性は、両陛下と愛子さまのお姿をひと目見ようと、沿道で待機していたという。国道沿いのコンビニエンスストア前に20人近くの近隣住民が集まる中、ご一家を乗せたワゴン車が登場したのだが……。

「手前にいらしたのが雅子さま? 車のスピードがあまりに速くて、お顔がよく見えなかった……。せっかくなら、ゆっくり走ってほしかったですね。少し残念です」(同・地元住民の女性)

 公務とは違い、プライベートであるご静養。ご一家はリラックスモードだったのかもしれない。

 『テディベア・ミュージアム』に到着されたのは、閉館時刻を1時間過ぎた午後6時。

「現在は『となりのトトロのぬいぐるみ展』が開催されており、日中は来館者も多いことから、一般客が帰った後のご鑑賞となったのでしょう。今回は3時間ほどのご滞在で、いつになく長時間、楽しまれていました」(美術館関係者)

 営業終了後のご訪問といえば、その5日前の25日には『ステンドグラス美術館』をお訪ねになっていた。

「ここでは例年、ステンドグラスだけでなく、県内の高校生による合唱や太鼓の演奏もご覧になります。静まり返った館内に響くメロディーを、今年も堪能されたのではないでしょうか。

 厳重な警備態勢が敷かれ、道路の通行止めも増えるご静養期間は、近隣住民の理解と協力が何より大切。休園日や営業終了後に対応してくれる訪問先の方々の支えがあってこそ、つかの間の“バカンス”を自由に謳歌することができるのです」(宮内庁OB)

 雅子さまは“奔放ステイ”で養った英気を、多くの公務が控えるであろう今秋、存分に発揮されることだろう─。

 

'18年、学校の運動会で扇子を持ちながら『千本桜』の曲に合わせ同級生とダンスを披露された愛子さま

 

強い日差しの中、大きな鳥が飛び回るバードショーを夢中になってご覧に

 

“世界一かわいいヒツジ”といわれるヴァレーブラックノーズシープにえさやりされるご一家

 

沿道に集まった地元住民に、雅子さまと愛子さまは窓を開けて応じられるも車のスピードは落とさず(8月30日)

 

平成5年1月天皇陛下(当時は皇太子さま)と雅子さま(当時は小和田雅子さん)のご婚約内定記者会見。プロポーズのお言葉は「雅子さんのことは、僕が一生全力でお守りしますから」だったと明かされた

 

天皇陛下と雅子さまはアフリカ開発会議のメンバーを皇居に招きお茶会を('19年8月)。「花かごは幸せを呼ぶ吉祥文様」(日置千弓さん)

 

皇后として初めての園遊会は雨空にも雅子さまの装いと笑顔は晴れやか('23年5月)

 

雅子さまがご静養の際によくお召しになっていたストライプ柄のスーツ。平成18(2006)年7月

 

鮮やかな色と淡い色を対象的に着こなされる雅子さまと紀子さま。平成10(1998)年5月

 

ご結婚30周年となる6月9日に公開された天皇ご一家の“団らん”写真

 

お手植えのお手伝いは『岩手県緑の少年団』の子どもたち。やさしい微笑みで雅子さまはお声がけを 撮影/JMPA