今年8月、あびる優がインスタグラムに、《もうママの事忘れちゃったよね もうママの事忘れてるよね》などと、2021年に親権が認められたのにもかかわらず引き渡してもらえず、元夫で格闘家の才賀紀左衛門と暮らす8歳の娘に向け、切ない思いを投稿。
7月には卓球の元台湾代表選手の江宏傑が、面会交流期間を過ぎても帰してもらえない息子の引き渡しを求めて会見。すると元妻の福原愛が、《母親として、何があっても子どもを守るのが第一の責任です!》と中国版のツイッターでつぶやくなど、芸能界では親権争いをあえて世間に公開するような行動が相次いでいる。
“デジタルタトゥー”の恐怖
こうした投稿に一般ユーザーからはSNSで《子どもが見たらどう思うか考えてないの》などと、批判の声も寄せられた。
「親権争いで自分の思いどおりにならない気持ちを、SNSに投稿することで多くの人に共感してほしい。行き場のない心情を世間の人に応援してもらいたい思いもあって投稿してしまうのでしょう」
そう話してくれたのは、NPO法人児童虐待防止全国ネットワーク理事で、子育てアドバイザーの高祖常子さん。こうした行為は、自身の承認欲求が満たされる反面、一度ネット上に拡散したら完全に消すことができない“デジタルタトゥー”として、将来自身の子どもを苦しめるのではないかと指摘する。
親子で揉めるケースも
「今は日本も共同親権が議論されるようになってきました。そういった中で、子どもの意思に関係なく、SNSなどで親権について一方的にあれこれ言うのはいかがなものかと思います。親権争いを世の中に公開することで、もし子どもが成長して目にしたら傷つくことになるのではないでしょうか。
また、新たに出会ったパートナーが、過去の相手への攻撃的な投稿を見てしまったら複雑な気持ちになると思います。一時の感情だけで投稿するのではなく、一定の配慮が必要ですね」(高祖さん、以下同)
親権問題以外に、子どものデジタルタトゥー被害はどんなものがあるのだろうか。
「報道でもよく聞きますが、女の子が裸の写真を拡散されたとか、そういった性被害を受けているケースが多いですね。あとは、親が勝手に子どもとのやりとりや写真をSNSに上げてしまって友達などに見られ、本人は実は公開してほしくなかったために揉めるケースもよくあるそうです」
電信柱などにある街区表示板が写り込んでいたため、自宅住所がわかってしまい、トラブルに巻き込まれる場合などもあるそう。
こうした被害は今後も増えていくのだろうか。
「一度ネット上で広まったらなかなか消せないので、今後もなくならないのではと思います。あまり件数が増えるようでしたら、こども家庭庁などがSNS投稿におけるガイドラインを定めるなど、対策が必要になってくるのではないでしょうか」
芸能人のみならず、一人ひとりの意識改革が必要なのかもしれない。