9月7日、ジャニー喜多川氏による性加害問題についてジャニーズ事務所が会見を開き、藤島ジュリー景子代表取締役社長が辞任、新社長には東山紀之が就任することが発表された。
「会見でジャニーズ事務所側はジャニー喜多川氏による性加害があったことを認め、謝罪しました。4時間にも及んだ長時間の会見ではかなり強い口調で厳しい質問も投げられました。ジャニー喜多川氏の問題はジャニーズファンだけでなく、海外メディアも報じるなど、今現在かなり高い関心が持たれています。一方で性加害は問題であると認識しつつも、ジャニーズや芸能界に無関心な人など、それほど興味がない人も少なくない。そんななか東山新社長を惜しむファン、それもおそらくその中心は女性ではなく男性が急増しています」(スポーツ紙記者)
東山は会見において「年内をもって表舞台から退く」と、タレント業からの引退を発表した。この件についてネットでは惜しむ声が多数。そのワケは……。
戦力外通告のナレーター誰になるん?
《ちょっと待ってくれ、戦力外通告のナレーション今年は誰がやるんだ!?東山さんを超える人はいないぞ!あのナレーションのトーンがたまらなく好きなんだ》
《ジャニーズはどうでも良いし東山さん引退も関心ないけど、戦力外のナレーターだけは続けてほしい》
《えー、東山が辞めたら年末の戦力外通告のナレーター誰になるん?あの声がいいよう。『しかしこの日も携帯電話は鳴らなかった(心のこもってない声)』》
《「プロ野球戦力外通告」が見れるのも今年で最後なのか…あれは東山さんじゃないと成立しないだろ》
《「戦力外通告っ」(隣で子供はしゃぐ)が聞けなくなるのだけ、悲しい》
語られている“戦力外通告”とは、正式名称『プロ野球戦力外通告・クビを宣告された男達』。'04年以降、毎年年末にTBS系列で放送されているプロ野球ドキュメンタリー番組である。東山は同番組の第2回から昨年までの17年、ナレーションを務めてきた。
番組は、戦力外通告を言い渡されたプロ野球選手が、12球団合同トライアウトに挑む姿とその後の模様を密着取材で伝える。戦力外通告を受けた選手の新たな職探し、再起を懸けた挑戦などそれぞれの人間ドラマに迫る。
「当然どの選手の物語も戦力外通告、すなわち“クビ”からスタートするので、年末特番ながら明るい内容ではありません。しかし、同番組はカルト的に非常に高い人気を誇っています。“今年は誰が出るか”と予想する野球ファンも」(テレビ誌ライター)
《年末に暗~い気分になること請け合いなんやけど毎年見てまうわ なんなんやろこの気持ち…》(SNSより)
暗くなるけど、見ずにいられない……そんな番組。以下は'15年に番組公式『X』(当時はTwitter)が投稿した番宣ツイートのハッシュタグ。内容を物語っている。
番組公式アカウントのハッシュタグが下品すぎる
《放送まであと1週間となりました!
12月30日(水)よる10時はテレビの前でお待ちください!
#プロ野球 #クビ #家族 #子供 #結婚式 #婚約者 #妊娠 #涙 #決断 #人生 #岐路 #男 #tbs_senryoku #tbs》
「このようなハッシュタグは正直褒められたものではなく、非常に下品なものだと思います。しかし、野球ファンや番組視聴者はハッシュタグにあるような出来事を求めていることも事実。内容だけでなく、番組の人気の一因は引退を惜しむファンが多いことが示していますが、東山さんのナレーションにある。『プロ野球戦力外通告』は、“もう駄目か……と諦めかけた時、携帯に着信が……”など、ナレーションの表現が独特なのですが、その文面に合った、冷静というよりも冷徹な感じの東山さんのナレーションが非常に合っていた。“このナレーションだけは続けてくれ”という人が多いのもわかります」(前出・テレビ誌ライター、以下同)
'13年に東山は『プロ野球戦力外通告』の取材会で番組について次のように話していた。それは奇しくも現在のジャニーズ事務所が置かれている状況と似ていて……。
「光が当たっている人たちほど影の部分も大きい。プロ野球選手も努力がなかったら終わりますし、逆にそこがきちんとしていれば、ずっと光に当たることができる」
「戦力外通告自体にスポットを当てた番組はこれが初。男にとっては、ものすごくショックな戦力外通告。その傷からどう立ち直って第二の人生を見つけるか、厳しさを乗り越えた時の喜びを感じさせてもらえるので、良いことよりも印象深いです」
ジャニー喜多川氏が日本の芸能界にもたらした数々の人気グループという“光”。そして当時より公然の秘密として扱われつつもようやく公になってきた性加害という“影”。東山はこの度新社長に就任した。ジャニーズ事務所が長年抱えてきた影を、彼はトップとして戦力外通告できるか。ジャニー喜多川氏によって付けられた“傷”から、被害者をどう立ち直らせてあげられるか。
TBSで同じく東山が出演・ナレーションを務め、同じくスポーツを扱う番組『バース・デイ』は、東山の降板を発表したが『プロ野球戦力外通告』については明らかになっていない。東山のタレント活動は年内まで。年末の風物詩的番組のナレーションははたして──。