写真左から鈴木紗理奈、つるの剛士、本木雅弘

 昨今、円安傾向が続く為替の動き。庶民にとって、欧米への海外旅行は「高嶺の花」となりつつある。芸能界の「教育ママ」たちに人気の「子どもの海外留学」にも影響大。実際、この円安の影響でどれほどかかるのか、なぜそこまでして行かせるのか。そこには一般人にはうかがいしれない事情があるようで―。

円安で留学費用が1.5倍に

 ヴァイオリニストの高嶋ちさ子さん(55)が、先頃テレビで「年間100本ものコンサートをこなしているのは子どもたちの学費のため」と告白。2人の息子は現在アメリカに留学中で、「もともと高いのに円安だから1.5倍になっちゃって」と訴えた。

 音楽家としてはもちろんタレントとしても引っ張りだこの高嶋をして、「(そうでもしないと)学費が払えない」と言わしめるとはいかほどか。今の時代、子どもが海外留学するとはたしてどのくらい費用がかかるのか。

アメリカのボーディングスクール(全寮制の寄宿学校)に留学した場合、年間1200万円くらい必要になります

 と言うのは、留学コンサルサービス『KITE/E-コンシェルジュ』代表の関根俊輔さん。その費用の内訳は、

学校に支払う額が約800万円で、そのほかアクティビティーやスクールトリップなど別途費用がかかるものもある。さらに現地での生活費に、年4回の長期休暇のときは寮が閉まって日本に帰ってくるので渡航費用が必要です」(関根さん、以下同)

 高嶋さんの子どもたちは中学から留学しているというが、仮に年間1200万円かかるとして、中高6年間で7200万円。2人分でざっと1億4400万円必要になる計算だ。留学先の国によってもかかる費用というのはまた違う。

アメリカ以上に高いのがイギリスで、日々の生活費もアメリカの倍近いので、年間1500万〜2000万円くらい必要になるでしょう

紗栄子

 子どもをイギリス留学させているのがタレントの紗栄子(36)さん鈴木紗理奈(46)さんなど。紗理奈さんはかつてテレビ番組で「学費がクソ高い。子どもが留学してからは生活を切り詰めていた」と発言している。

学費さえ払えば簡単に入学できるというものではない

 インスタグラムの投稿でも

《うりゃーーー寂しさは仕事に集中してふきとばーーーすっ 大好きな仕事の為 そして、円安に比例して上がり続ける学費の為ーー!笑》

 と円安の影響をぼやいたことも。仲の良い親子関係が築けているようだが、金銭面の悩みは大きいようだ。

 “イクメン”で有名な、つるの剛士さん(48)も子どもを留学させている。5人の子どもがいる中で、長男と次女が現在カナダへ留学中であることをブログなどで明かしている。

 長男は'22年6月に留学先の高校を卒業し、その後は引き続きカナダの大学へ進学したとのこと。2人も留学となると、かなりの費用が想像される。しかも、学費さえ払えば簡単に入学できるというものではないことを関根さんは指摘する。

「過去数年間の成績に、学校によってはIELTSやTOEFLなどのスコアが求められ、エッセイの提出があり、最終的にインタビューに臨みます。

 エッセイやインタビューにしても、これまでその子がどういう経験をして今の自分を形成しているのか、自分は何者なのか、自分の強みはどこにあるのかといったことを自己分析して語らないといけない。その子がどんなポテンシャルを持っているかということを試験官に伝えなければいけません

 つるのさんの子どもたちはみんな成績優秀のようで、三女は中学受験をした際に成績トップで合格し、3年間の授業料が免除される特待生になっているという。

 留学は一朝一夕にできるものではなく、準備期間に最低でも1年、なかには2〜3年費やす家庭もあるというが、三女も海外留学を見据えているのかも!?

学費が高いといわれているスイスに子どもを留学させた本木雅弘

 ちなみに、費用面で他の国を上回るといわれているのが、世界トップクラスの教育環境といわれるスイス。スイス留学経験があるのが本木雅弘(57)と内田也哉子(47)の長男のUTA(内田雅樂)(26)で、彼が学んだボーディングスクールは世界一学費が高いと噂されるほど。

スイスは年間2000万円以上が必要

スイスの場合は年間2000万円以上必要で、こうなると選択肢に入れられるご家庭は限られてきます

 留学した本人のUTAは金銭感覚の違いに慣れるのが大変だったとテレビ番組で語ったこともある。例えば、友人が最初に親からもらう車はベントレーだったというエピソードや、「今週末、ちょっとパリ行こうよ!」と誘われて、普通なら電車で行くところを、「ジェットあるから一緒に行こうよ」と言われたことなどを明かしていた。

 スイス以外の国も庶民からすれば高額には変わりないが、円安や物価高騰の影響で選ぶ国も変化があるよう。

一番人気のアメリカにしても数年前まで年間1000万円といわれていました。けれど年々上がってきています。今人気が高まっているのはニュージーランドへの留学。年間600万円ほどで、アメリカの半分で済む。それでいて教育水準は高く、大学進学率はほぼ100%。オーストラリアやアメリカ、イギリスの名門大学にも進学しています

 ただ、そうまでして自分の子どもを海外へ留学させたいと願う、親の動機はどこにあるのか。高嶋ちさ子さんは留学をすすめた理由について、日本のよしあしを客観的に見ることができるとテレビ番組内で説明。

どっぷり向こうにつかったら『やっぱり日本人、すごいよね』って思うことが多い。ウチの子たちは気持ちの中でそれを持って帰ってきている。だから日本の悪口なんか絶対に言わないし、逆に日本のいいところをもっともっと吸収しなきゃいけない、って

 と語っていた。関根さんは留学の相談を受ける中で他の理由も挙げる。

今親御さんの多くが懸念しているのが日本の国力の低下で、子どもが大人になったとき日本という国はどうなっているのだろうと心配されている。またボーディングスクールと日本の学校を比較したときの教育レベルの違い、教育に対するアプローチの違いも大きいですね。

 親御さん自身日本で暗記中心の勉強を重ね、一流企業に入って頑張ってはきたけれど、グローバル社会になった今自分自身のスキルや人脈面で壁に突き当たっている。ボーディングスクールを卒業した人たちが世界で活躍している姿を見て、自分の子どももああいう経験をさせたいと考える方が多いようです。英語力も付加価値的に身につくので、当然そこに対しても期待感は持っていると思います

留学に必要な額の内訳(ワールドアベニュー調べ、同社公式サイトより)

 さらに、ボーディングスクールへの留学には何物にも代え難いメリットがあると話す。

ボーディングスクールの醍醐味はネットワークづくり

「ボーディングスクールの醍醐味はネットワークづくりにある。ボーディングスクールで子どもを学ばせる親というのは錚々たる方々で、大手投資銀行の社長もいれば王族もいる。そこで育まれるネットワークというのは計り知れないものがある。

 富裕層の方々もお金に関してはかなりシビアで、コストパフォーマンスはしっかり見ている。人脈にしても勉強にしても子どもの将来的なキャリアステップが大きく広がる可能性があると見据え、それだけのお金を出す価値があると考えた上でボーディングスクールに行かせる決心をしているのだと思います

 円安に海外の物価高も拍車をかけ、海外留学のハードルはますます高くなるばかり。留学における費用対効果はそれ以上に高いのか、その答えは子どもの将来にありそうだ。

取材・文/小野寺悦子

 

留学に必要な額の内訳(ワールドアベニュー調べ、同社公式サイトより)

 

7月に長男が英国の学校を卒業したことを報告した鈴木紗理奈(本人インスタグラムより)

 

高嶋ちさ子

 

紗栄子

 

5人の子どもを育てるつるの剛士は長男、次女の2人がカナダへ留学している

 

学費が高いといわれているスイスに子どもを留学させた本木雅弘

 

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