9月7日、ジャニーズ事務所が記者会見を開いた。
会場となった東京『パレスホテル』のロビーには、開始数時間前から多くのスタッフが配置され、異様な雰囲気に包まれた。会見場のあるフロアでは、受付だけでも10人以上のスタッフが対応。テレビやWEBメディア、海外メディアなどおよそ300人のマスコミが集まった。会見が始まる前から、撮影位置を巡ってカメラマンたちの怒号が飛び交うなど、殺伐とした空気が充満していた。
「今年3月にイギリスの公共放送『BBC』の番組で、ジャニーズ事務所の創業者である故・ジャニー喜多川氏の性加害問題が特集されました。その後、元所属タレントたちが次々と被害を訴え、5月14日には当時社長を務めていた藤島ジュリー景子氏が、約1分間の謝罪動画を公開しました」(全国紙記者、以下同)
同時に発表された文書では、ジュリー氏はジャニー氏による性加害を“知らなかった”としていた。
有名企業が“所属タレントの広告起用の見送り”を表明
8月29日、外部専門家の再発防止特別チームによる調査報告書が公表された。
「古くは'50年代に始まり'70年代前半から2010年代半ばまで、ジャニー氏による性加害が行われていたことが、事実だと認定。長きにわたる同族経営が一因だとされ、再発防止策の1つとして、ジュリー氏の社長辞任が求められました」
これを受け、ジャニーズ事務所は“会見で今後の対応を発表する”としていた。
会見には、ジュリー氏、東山紀之、ジャニーズJr.を育成する『ジャニーズアイランド』社長の井ノ原快彦、木目田裕弁護士の4人が登壇。ジャニー氏による性加害を事実と認め、謝罪した。
「このことで、『アサヒグループホールディングス』や『東京海上日動』、『日本航空』などが、所属タレントの広告起用の見送りを表明。他社にも影響が広がると見られます」
そして、発表されたのは、主に以下の点だ。
・9月5日付でジュリー氏が社長を引責辞任し、新社長には東山が就任
・社長就任に伴い、東山は年内で芸能活動を引退
・ジュリー氏は代表取締役としてジャニーズ事務所にとどまるが、被害者の補償やタレントの心のケア以外の業務には関わらない
・社名の変更はしない
・長年、宣伝担当を務めた副社長の白波瀬傑氏が引責辞任
被害者への具体的な補償内容については“法を超えた補償を行う”と言及するにとどまった。
最も株を上げたのは、井ノ原
「東山さんが社長に就任したのは、外部から人を招き入れるよりも、タレントとのコミュニケーションを円滑に図れるからだそう。メインキャスターを務めていたテレビ朝日系のニュース情報番組『サンデーLIVE!!』など、いくつかの仕事をすでに降板しており、会見で東山さんは社長業に専念するべく“夢を諦めた”とも話していました」(スポーツ紙記者、以下同)
社名変更については、所属タレントたちに事前のヒアリングが行われたという。
「社名はジャニー氏の名前でもありますが、タレントが培ってきたエネルギーやプライドでもあるとして、継続されます。ただ、会見の終盤で東山さんは“検討の余地がある”と口にしました」
4時間以上にわたって行われた会見は、テレビやネットで生配信された。
「SNSのトレンドには関連ワードが多くあがり、賛否が飛び交う中で、最も株を上げたのは、井ノ原さんではないでしょうか」
その姿勢に、称賛の声が集まった。
《イノッチだけは真摯に答えてくれてるのが伝わってくる》
《井ノ原さんの誠実な話し方を見て新しい時代を作ってくれる期待が持てた》
実際、井ノ原の応対は、ジュリー氏や東山とは少し違ったものだった。
「質問者の名前をメモして、名前を呼びかけながら答える場面もありました。司会に指名されていないのにヤジのように質問や意見をぶつける記者を、幾度となくなだめつつフォロー。自身がまだ答えていないのに次の質問に移りそうになると、司会に優しく声をかけて、しっかりと記者に向き合っていました」(芸能リポーター、以下同)
こうした態度だけではなく、その発言内容も同様だ。
「自分の言葉で素直な思いを口にしている印象がありました。ジャニー氏の性加害について、噂レベルで聞いたことはあったが、当時の井ノ原さんにとっては、それよりも“ダンスがうまくなりたい”といったことに関心があった、という言葉にはリアリティーと重みが感じられました」
“感動した”との声があがっていたのが、Jr.に伝えているというファンへの思い。井ノ原は、次のように口にした。
“人類史上もっとも愚か”と断罪した東山
「何日も前からチケットをとって、高いお金を払って飛行機を取って、髪をセットして、オシャレをして来てくださるということを、一からちゃんと考え直して、ステージに立ちましょうと言っております」
一方、東山に対しては、
《冒頭の芝居がかった口調、しぐさは、違和感ありありだった》
《すごい保身してるんだろうな》
といった批判が相次いだ。
「ジャニー氏のことは“人類史上もっとも愚か”と強い言葉で断罪しました。しかし、自身のパワハラや、暴露本に掲載されている性加害疑惑に話が及ぶと、回答が二転三転。ハッキリ否定することもあれば、時代背景のせいにしたり、“誤解を招くことはあったかもしれない”“したかもしれないし、していないかもしれない”などと、うやむやな回答も目立ちました」(前出・芸能リポーター)
ジャニーズ事務所の新体制は、明暗が分かれるスタートとなった。
「東山さんは表舞台に立つプレーヤーとしては素晴らしいのですが、経営のトップとしての手腕があるとは感じられませんでした」
こう語るのは、ある芸能プロ関係者。
「ただ、だからといって井ノ原さんは、序列や東山さんの覚悟を重んじて、自ら進んでトップに立つことはないでしょう。井ノ原さんが“裏社長”として、いかに東山さんを懐柔、コントロールできるかが、今後のカギとなるでしょう」(芸能プロ関係者)
“仕事人”としての井ノ原の手腕が問われている。