今年7月1日以降、道路交通法の改正により電動キックボードの乗り方が改められた。法改正前は、電動キックボードは運転免許が必須だったが、そのうち特定小型原動機付自転車に該当するものであれば、新しいルールが適用されるようになった。例えば、16歳以上は運転免許“不要”(16歳未満は運転禁止)、最高速度が時速6キロ以下に制御されていれば、自転車通行可の歩道の走行が可能、ヘルメットの着用が“努力義務”となるなどの内容だ。
より多くの人が自由に楽しめるようになった反面、「免許なくても乗れるようになるのは流石に危険」という心配の声も。もともと車道での事故が頻発していた電動キックボードをさらに問題視する声が相次いでいた。
その予想は的中したようだ。9月12日、電動キックボードでの“ひき逃げ事件”で女が逮捕。さらに、事件当時の様子がたまたまX(旧Twitter)で投稿されていたことで、逮捕を機に掘り返され話題を呼んでいる。
「当たってはいない」容疑を否認して
事故を起こしたのは、埼玉県吉川市の無職、伊藤明理那(めいりな)容疑者(23)。今月6日の15時50分ごろ、レンタルした電動キックボードを運転中に、東京都豊島区東池袋の歩道で60代女性と衝突した。女性は転倒し肋骨などを骨折する大ケガを負わせたが、伊藤容疑者はそのまま逃走。現場近くにいた警察官に確保され、自動車運転死傷処罰法違反(過失運転致傷)と道路交通法違反(ひき逃げ)の疑いで逮捕された。
警視庁池袋署によると、伊藤容疑者は
「当たってはいないが、女性が転倒したのは私が原因だと思う」
と容疑を否認。一方で、使用した電動キックボードが歩道を走行できない機種だったり、車体の最高速度は時速20キロと歩道を走行できる速さを大幅に超過していたことに対しては、無知であったことを認めている。
「ルールを完全には理解しておらず、歩道を走行していいか知らなかった」
「速度は10キロより出ていた」
実は、事件のあった6日のXを見てみると、事件直後の様子をとらえた投稿が。事件が起きたとされる時刻のわずか10分後の16時3分、池袋にあるパルコの別館にて、事件を目撃した人が写真を公開していた。
現場をレポートするSNSユーザーも現れて
《池袋のP'PARCO前でおばあちゃんが倒れてるし、その横に電動キックボード投げ出したねーちゃんが警察に職質されてるし、周りの人に聞いたら事故とのことで……マジで免許持ってなさそうな輩がこういうこと起こしてばかりやな……》
写真には、グリーンの電動キックボードを片手に引きずる容疑者と思われる女と、その横で座り込む女の姿が捉えられている。その後、投稿者はその場に残りしばらく状況をポスト。事故を起こしたのちも容疑者は反省の色を見せていない様子だったこと、10人以上の警察官が動員する事態だったこともつづられている。
《事故した奴全然反省してないで警察に反抗してる。事故で怪我させた相手に謝ってもいないで動画撮ってるよ。やっば》
《女性警察官まで登場。10人以上来てた警官はみんな税金からなのよね。本当に厄介勢多いな。電動キックボード》
事件後、この投稿が再度話題になり、投稿者もまさかひき逃げ事件の一部始終を目の当たりにしていたとは思わず、驚いた様子。
《事故直後から横で聞き耳立ててたけど、まさかのひき逃げ(救護義務違反)しようとしてたんか。捕まえたチャリのおまわりさんグッジョブやで……》
コメント欄でも、キックボードへの知識がなさすぎる容疑者や国に対して批判の声が相次いだ。
「ニュースみてもしやと思って、またこの投稿見に来たけどやっぱり……この場所で時速20km出してたのか……」
「轢き逃げは、免許の有無にかかわらずアウトだよ」
「電動キックボードって、スピードが出るのにほぼ無音だったりして、スピード出してる感覚がないのかもね。まあ、ひき逃げしている時点でフォローは一切できないけど」
「車道と歩道を自在に出たり入ったりして本当に危ない。なんで国は規制緩めちゃったのかなぁ」
この事件をきっかけに、ルールを知ったうえで電動キックボードに乗らないといかに危険か、危機感が世間に伝わればいいが……。