《金銭的な賠償の実施について知見と経験を有する外部専門家からなる『被害者救済委員会』を設置いたしました》
ジャニーズ事務所の藤島ジュリー景子氏、新社長の東山紀之、そして子会社「ジャニーズアイランド」社長の井ノ原快彦による記者会見から6日経った9月13日、同社HPにて被害者への救済措置の詳細が発表された。
なんでも弁護士3人による「被害者救済委員会」が、被害者からの申告内容を検討し、直接話を聞いて補償金額を判断するというもの。所属時期や被害を受けた時期を問わず、全ての被害者を対象とするとした。
これを受けて、元ジャニーズJr.の橋田康氏にインタビューを行った日本テレビは、『news zero』にてその模様を放送。橋田氏は、同じく被害者のカウアン・オカモト氏とともに先陣を切ってジャニー喜多川氏の“悪行”を告発した人物だ。
【今できる精いっぱいをやってくださっている。やろうとしてくれていると僕は受け取っています】
ジャニーズが示した救済措置と、その姿勢を評価する一方で、こんな懸念も示していた橋田氏。
【被害にもあっていない、在籍もしていない人が手をあげ始めちゃったら収拾がつかなくなっていく。そこはシビアに考えないと、救済していかないといけない人に対して、“思い”“対応”“熱”もそうですけど向けていかないと…と思う】
全ての“被害者”を受け付けることで、実際に「被害を受けていない」「ジャニーズに在籍すらしていない」人物まで被害を訴える、虚偽申請の可能性を指摘したのだ。ジャニーズ創設以来、在籍者の延べ人数は数千人に及ぶとも言われている。
ジャニーズを断罪、救済を訴える「当事者の会」
「現在、ジャニー氏からの性被害を表立って訴えているのは橋田氏とカウアン氏の2人、そして後に平本淳也氏や石丸志門氏らが設立した“当事者の会”の9人。彼らの活動によって人数が増え続けていくことは明確です」(全国紙社会部記者)
2023年6月に二本樹顕理氏と中村一也氏が発起人となり、現代表の平本淳也氏、副代表の石丸志門氏らも合流して立ち上げた「当事者の会」。現在のメンバーは9人に増え、ことあるごとに記者会見を開いてはジャニーズ事務所の対応を断罪し、被害者救済を叫んできた。
「8月30日には、国会で立憲民主党のヒアリングに出席した石丸氏は“国の介入”を求め、同党・長妻昭政務調査会長は“政府・与党は傍観することはありえない”などと政府批判を展開。
9月12日にも立憲民主党・共産党の会合に出席し、あらためて国の積極的な関与、性犯罪の公訴時効の撤廃という法改正にまで言及。単にジャニーズ側に謝罪を求める団体ではなくなっている印象です」
前出の社会部記者が解説するように、政治にも関わる団体になりつつある「当事者の会」だが、そこにカウアン氏と橋田氏は名前を連ねていない。同じジャニー氏の犯行に悩まされ続けた、「当事者の会」とは“同志”に思えるのだがーー。
彼らの“距離感”に関して、8月10日付の『日刊ゲンダイデジタル』では《カウアン氏とはまだ接触できていない》との石丸氏の言葉を伝え、また橋田氏に関しても、
《団体で活動をすることについては、『他の人を傷つける可能性もあるので』ということで、おひとりで活動する方がいいと聞きました》
橋田氏とも接触した上で、“会に合流しなかった”ことを明かしている。同氏はあくまでも「個人」としてジャニーズ側との対話を求めているようだ。
ジュリー氏は「すごく愛のある方」
性加害問題の取材を続ける芸能ライターによると、
「カウアンは5月の時点で、たかまつななさんのYouTubeチャンネル生配信に出演した際に、ジュリー元社長との初対面を済ませていたことを明かしています。彼女の印象を“すごく愛のある方”“タレントへの思いや、被害にあわれた方への思いも感じました”と好意的に評しています。
もちろん、ジャニー氏によって負わされた心の傷は癒えるはずもないでしょう。それでも姪であるジュリー氏から面と向かって謝罪され、また対話で人柄に触れたことで幾分かは心が救われた部分もあったのではないでしょうか」
そして橋田氏はというと、
「彼はジャニーズを辞めた後も芸能活動を継続して、舞台やミュージカルに出演してきました。また3月には自身の会社も立ち上げて後進の育成にも尽力しています。今も変わらず応援してくれるファンがついている、そして自分自身の問題であるからこそ“団体活動”には違和感を覚えたのかもしれません。
彼らが求めているのは、あくまでもジャニーズ事務所が性加害の事実を認めた上での、面と向かった誠意ある謝罪なのかもしれません」
ジャニー氏の犯行を認めた今、「当事者の会」を含めた被害者との対話が実現するのも、そう時間はかからなそうだ。