8月末、カップル系ユーチューバーがTikTokに投稿した『犬系彼女が泣いてしまいました』の動画が炎上し、多くのタレントや芸人がモノマネするなどのムーブメントを起こしている。その動画とはゲームセンターで号泣し甘えた声でカメラに語りかける“犬系彼女”の様子を、これまた甘え声の彼氏が撮影しているというもの。
TikTokの元動画は再生数480万回超を記録。『X』(旧ツイッター)でインフルエンサーが拡散すると《気持ち悪い》《イライラする》《ケータイかちわりたい》《どこが犬系?》などの批判が飛び交ったが、当の本人たちはこのバズりに味をしめた様子ですぐに新作を披露するなど商魂たくましい。
一方で「そもそも犬系彼女って何?」と、そっちが気になった人が多いのも確かだ。
「犬系とは、感情表現がストレートで甘え上手な彼女または彼氏のこと。他にも猫系やウサギ系などの〇〇系はより細分化されています」(トレンドウォッチャー)
きっかけは『とんねるず』の言い回し
'09年に流行語にもノミネートされた草食系男子はもう古いという。
「草食系の中にも実は肉食のロールキャベツ系とか、草も魚も肉も全部食うっていう雑食系など、より細分化するのが今のトレンドです」(同・前)
そこで、約80種類あるという〇〇男子を見てみると、「犬系男子」などの動物や植物にたとえるもの、「ロールキャベツ系男子」など食べ物関係、「塩顔男子」「ソース顔男子」など外見の印象を表すもの、「メイク男子」など趣味にちなんだ呼び方、「ガテン系男子」「エンジニア系男子」など職業を表すものなど多岐にわたっている。
さまざまな情報を深掘りするライターの成田全さんが解説する。
「文化系、体育会系など以外に◯◯系が広く一般に使われ出したきっかけは、1980年代にとんねるずが“◯◯系、みたいな?”という言い回しなどによって流行した印象が強いですね」
増えすぎてカオス化?
現代の〇〇系で印象に残るものを挙げてもらうと、
「非モテ系男子です。“モテない系”ではなく“モテ系”にあえて否定の“非”をつけることで、より“モテない意味合い”を深めているあたりにそこはかとない悪意を感じますね。声に出すと最初に“非”があることで音も強くなるので、よりいっそう貶める感じがあります」
さらに続けて、
「ウケたのが“つる植物系男子”ですね。絡まる木などがないと生きていけないのはわかりますけど、植物は成長しますから……。やっぱり伸びも縮みもしないどうしようもなさを感じる“ヒモ”のほうが意味合いとしてはピッタリではないでしょうか(笑)」
ルックスを表す〇〇男子についてはある変化に気がついたという。
「顔はソース→しょうゆ→塩、とどんどん薄いほうへと進化していったのが面白いですよね」
細分化し、進化していく〇〇系。エンタメウォッチャー・くのいちこさんが警鐘を鳴らす。
「“このタイプの人はこう”と決めつけるのは危険。類型化に頼らず、自分の目で相手をきちんと見てほしい」
前出の成田さんも、
「カテゴライズすることで人は安心するものですけど、意味合いや分類が増えすぎて、かえってカオス化している印象がありますね」
これも多様性の時代ゆえ?