畳の縁でもっとも格式高い種類は繧繝縁(うんげんべり)と呼ばれるもの。天皇や上皇が使われる畳に用いられていたそう※写真はイメージです

 日常の気になる疑問を解決!畳の縁を踏んじゃダメなのは、なぜ?知って楽しいおもしろ雑学を友達や家族にも教えてあげよう。

知って楽しい!おもしろ雑学

Q.畳の縁を踏んじゃダメなのは、なぜ?

A.畳の縁は色や柄が「位」によって異なり、踏むことは相手を侮辱することだったから。(東洋古代思想史研究家 村上瑞祥さん)

 9月24日は「畳の日」。冬の衣替えを前に、畳を上げて大掃除をする日として、全国畳産業振興会が制定した。

 そんな畳にまつわる、ある疑問が。畳には、「縁を踏んではいけない」という行儀作法があるが、なぜなのか。

「畳の縁を踏んではいけないのは、畳がもとは貴族など地位の高い人の物だったということと、畳の構造上、縁を踏むと傷んでしまうからという理由が考えられます」

 と話すのは、東洋古代思想史研究家の村上瑞祥さん。

「実は、畳は日本独自の敷物。その原型は縄文時代にすでにあり、稲やワラを編んだゴザのようなものです。現在の畳に似た構造になったのは平安時代で、最初は床材ではなく板床の上に置いてベッドのように使う寝具でした」

 使っていたのは、平安時代の貴族たち。位によって、縁の柄や色が違っていたそう。

「つまり、縁を見れば誰の畳かわかります。身分を示すものを踏むと、相手を侮辱することになるので、避けられたと考えられます。また、その後の鎌倉、室町時代では武士のお屋敷で床全体に畳を敷き詰めるように。縁には家紋を入れることもありました」

 家紋を踏むのも、もちろん相手の家を軽んじる行為とされ、その風習がいまも残っているのではと考えられる。

「また、縁の本来の役割は、畳を補強すること。畳はムシロを何重にも重ねて作り、その周りに縁を縫い付けて補強しています。

 現代の畳は丈夫ですが、補強している部分を踏むと畳が傷んでしまいますから、構造的にも踏むのはよくなかったのではと思います」