ジャニーズ事務所は、企業として性加害を行っていたことを認めた。これは、企業として重大な人権侵害があったということ。これを受け、ジャニーズ事務所のタレントを広告に起用する企業の“撤退ドミノ”が止まらない。
そこで週刊女性は、現在の契約や今後の取引についてどう考えているのか、ジャニーズ事務所のタレントを起用する、または起用したことのある企業85社に9月12~14日にかけて緊急アンケートを実施。電話、メールで回答を求めた。
回答があったのは、85社中67社。「回答を控える」などと取材に応じなかったのは8社。期限までに回答がなかったのは10社だった。
回答したすべての企業が、
「人権侵害は容認できない」
としたが、その内容や対応策には若干の温度差もあるようだ。
例えば、1985年の中村繁之以降、東山紀之や知念侑李、現在は櫻井翔を『バーモントカレー』のCMに起用するなど、長らくジャニーズタレントを多数起用してきたハウス食品は、
「性加害は、当社グループの人権尊重の方針から容認できないものです。被害に遭われた方々への誠実な対応と救済など、今後のジャニーズ事務所の取り組みを注視してまいります」(ハウス食品広報)
という回答だった。
26社が契約満了をもって更新しない
一方、生田斗真を起用する住友金属鉱山の広報は、
「ジャニーズ事務所が記者会見を実施する以前の9月4日に、ジャニーズ事務所へ“被害実態の徹底的な調査”“十分な救済措置の実施”“さらなる人権侵害の防止”を要請し、また、これらが実行されない場合は取引関係を維持できない旨を文書で伝えました」
と、いち早くジャニーズ事務所に意見していたことを明かした。
広告契約は維持すると回答した企業でも、厳しい対応がとられる。広告の放映・使用を停止すると回答したのは、あいおいニッセイ同和損保、伊藤ハム、出光興産、花王、ライオン、バスクリンなど。契約満了をもって更新をしないと回答した企業は、カゴメ、アフラック、サントリーなど26社だった。
損害保険大手の東京海上日動の広報は、
「当社は人権尊重の観点からジャニーズ事務所との契約は更新しないこととし、現在所属タレントのテレビCM等での広告使用は停止しています」
とのことだった。
苦しい判断を迫られる企業もある。大阪府枚方市にある遊園地『ひらかたパーク』を運営する京阪HDは、10年前から岡田准一を起用している。
“ひらパー兄さん”こと岡田との関係
「当社としては、性暴力・性加害はいっさい容認することはできない。
当社としてはジャニーズ事務所がどういう見解を持ち、今後どのような改善策を行っていくのか、申し入れを行う準備をしています」
と同社広報。ただ、岡田についてこんな思いを語る。
「岡田さんは、枚方市出身で、地元に貢献したいという思いを持っていることから、当社の依頼を引き受けてくださいました。
だからこそ、岡田さんとの関係は大切にしたいと思っています」(同・京阪HD広報、以下同)
ただ、岡田との契約を継続するなら性加害を行っていた企業に利益を供与することになる。つまり、性加害を容認する企業であるとみられる可能性もある。
「その点は、本当につらいところです……。
私どもとしてはジャニーズ事務所とではなく、岡田さんとの関係を維持したいと思っています。ただ、それはジャニーズ事務所との契約を継続することになる。だからこそジャニーズ事務所の見解を伺って、今後については慎重に判断したい」
と、複雑な胸中を明かした。
“ジャニーズ”社名継続が大きな問題
長年にわたってTOKIOを起用するフマキラーは、
「性加害という許されない重大な人権侵害が行われたと認識しているため、今後の起用は協議中です。27年間も起用しているからといって、対応に影響するということはない」
と、忖度なしを宣言した。
ジャニーズ事務所は9月13日、ジャニー氏による被害者救済委員会を設置したことを発表。さらに、今後1年間は番組や広告への出演料はすべてタレント本人に支払い、芸能プロダクションとしての報酬は受け取らないとした。
しかし、これについて、とある企業の広報はこう語る。
「発表した取り組みは当然のこと。なにより“ジャニーズ”という社名継続が大きな問題ですね。社内では、仮にジャニーズ事務所が適切な対応を行っても、社名がそのままでは、契約を結んだら“性加害を容認する企業だ”と思われるのではないか……という声はあります」
ジャニーズの名前が消える日はーー。