9月20日、ベトナムを訪問するため羽田空港を政府専用機でご出発した紀子さま

「有名な登山家が“なぜチョモランマに登るのですか”と聞かれて“そこにそれがあるから”と答えた。私も“あるから”“いるから”なんです」

秋篠宮ご夫妻が臨んだ記者会見で

 9月20日からベトナムを公式訪問された秋篠宮ご夫妻。事前に臨んだ記者会見で、アジア諸国の魅力について問われた秋篠宮さまは、冒頭のようにたとえ、「ニワトリの野生原種が“いる”のは東南アジアです」と続けられた。

「今年は、日本とベトナムの外交関係が樹立して50年の節目。おふたりでベトナムを訪問されるのは'99年以来の24年ぶりでしたが、殿下は'12年にもニワトリなどの研究のため、私的に旅行されています」(皇室担当記者)

 訪問先として、外交関係樹立135周年を迎えたメキシコも有力視されていた。

「6月に両陛下がインドネシアを訪問されたため、“同じ東南アジア地域は避けるべき”という意見もありました。最終的にベトナムに決まったのは、殿下のご意向だと囁かれています」(宮内庁関係者)

 ニワトリといえば、秋篠宮邸と隣接している赤坂東邸にも“変化”があった。

「赤坂東邸の入り口付近には、以前まで3メートル超のニワトリのモニュメントが飾られていました。殿下の所有物だと思いますが、お代替わりに伴う一連の改修後、赤坂東邸の周辺に塀が立てられ、モニュメントは撤去されたのです」(前出・皇室担当記者、以下同)

 宮内庁は今年6月、宮邸改修に関する説明文を公表した。赤坂東邸については《共用殿邸として皇室全体でご活用いただく》との記述がある。

「ニワトリの置物があることで“秋篠宮さまの建物”という誤解を招くことがないように配慮されたのではないでしょうか。

 赤坂東邸はご自身の誕生日会見を行ったり、'21年の秋にアメリカから一時帰国した小室圭さんが、秋篠宮ご夫妻と面会した場所としても知られ、秋篠宮家が公私で活用されている印象が強かった。改修を機に共用殿邸としての“本来の姿”を取り戻したといえます」

元残留日本兵の家族と面会も

 ニワトリへのご興味が強い秋篠宮さまだが、今回のベトナムご訪問では、元残留日本兵の家族と面会されたり、世界遺産のホイアン旧市街を見学されたりと、さまざまなことに関心を広げられた。

「23日の午前中は、ご夫妻で別行動されました。秋篠宮さまは『自然科学大学生物学博物館』をお訪ねに。ここには、上皇さまが新種を発見し、1976年に寄贈されたベトナム産の『ウロハゼ』の標本が展示されています」(皇室ジャーナリスト、以下同)

 一方の紀子さまは、現地で日本の絵本文化を広める活動に取り組む関係者とご面会。ベトナムにおける絵本の普及と、切っても切れない関係にあるのが美智子さまだ。

「上皇ご夫妻が'17年にベトナムを訪問されたときのことです。日本大使夫妻主催のレセプションで、美智子さまは現地で暮らす日本人とベトナム人、2人の女性とご交流。

 そこで彼女たちが日本の絵本を現地の子どもたちに読み聞かせる活動に取り組んでいることを知り、後日、ご自身の子ども時代の読書の思い出を回想された『橋をかける』という本を贈呈されたのです」

美智子さまの映像を繰り返しご覧に

今年の夏は、上皇さまとともに那須御用邸や軽井沢で静養された美智子さま(8月23日)

 翌'18年には『橋をかける』がベトナム語に翻訳されて出版されている。紀子さまは、こうした取り組みについて、美智子さまから直接お話をうかがっていたといい、

「その方々が取り組まれている子どもと本をつなぐ活動、新たな活動もあるかもしれませんので、その話を伺い、帰国後に上皇后さまにお話し申し上げたいと思っております」

 ベトナムご訪問前の記者会見では、そう意気込まれた。

 9月11日の誕生日に公開された近影でも“目の見えない子どもも楽しめる点字つきの絵本”をお読みになっていた紀子さま。

絵本文化を重んじる美智子さまへのリスペクトが感じられましたね。'90年に皇室入りした紀子さまは、美智子さまのことを常に“お手本”として慕われてきました。公務に臨まれる映像を繰り返しご覧になり、所作を学んでこられたという話もあります。

 お代替わり後は、皇位継承順位1位の秋篠宮さまの妻として“次期皇后”という立ち位置をより強く意識されているとお見受けします」(宮内庁OB、以下同)

 しかし、秋篠宮さまの思いは異なっているようだ。先の記者会見で秋篠宮さまは、

「30年後をみれば、もうこの(われわれの)世代というのはとっくにリタイアしている」とコメントされた。

「'17年6月に上皇さま(当時天皇陛下)の生前退位を実現する特例法が成立したのち、秋篠宮さまは“兄が80歳のとき、私は70代半ば、それからは(天皇は)できない”と関係者に漏らされたと報じられました。真偽は不明でしたが、今回の会見で“即位する意思がない”ということを、自ら裏付けられた形に……」

紀子さまが皇后になられる日は

 仮に、秋篠宮さまが即位しないことを決める特例法が成立した場合、紀子さまが皇后になられる日は訪れない。

「上皇陛下の場合は、ご高齢、国民がお気持ちを理解・共感している、50代の皇太子(現天皇陛下)がいらっしゃる、という状況を踏まえて退位特例法が成立しました」

 皇室解説者の山下晋司さんは、そう前置きし、続ける。

「上皇陛下は“行動あってこその象徴”との信念をお持ちのため、行動が難しくなった場合は、若い皇太子に譲位すべきとのお考えでした。ただ、いまの天皇陛下が、上皇陛下が退位された85歳になられたとき、秋篠宮殿下は79歳。ご譲位となると“高齢の天皇から高齢の皇嗣に譲位”です。上皇陛下のときとは状況が異なりますので、退位特例法を前例としては扱えません」

 事情があるとはいえ、皇后時代の美智子さまを“お手本”にされてきた紀子さまのご心中は穏やかでないようだ。

「今年5月、イギリスのチャールズ国王の戴冠式に参列するため、政府専用機に搭乗された紀子さまは、いつになく張り切っておられました。世界中の王族と交流して“次期天皇の妻”としての役割を果たすことに、強い自負を抱かれている様子でしたね」(前出・宮内庁関係者、以下同)

 先の記者会見で、絵本を通じた美智子さまとのご交流エピソードを披露されたのは、

「皇后に対するモチベーションの高さともいえます。それが一転、秋篠宮さまの“リタイア宣言”により温度差が露呈してしまった……。紀子さまは、国母になれない現実に、忸怩たる思いを抱かれているのではないでしょうか」

 積年の“美智子さまリスペクト”も揺らぎかねない─。

山下晋司 皇室解説者。23年間の宮内庁勤務の後、出版社役員を経て独立。書籍やテレビ番組の監修、執筆、講演などを行っている