激辛ブームの中、ついに犠牲者が出た。
「9月1日、アメリカのマサチューセッツ州に住む14歳のハリス・ウィロバさんが激辛スナックを食べた後、体調を崩し死亡しました。このスナックには世界で最も辛い唐辛子として知られるキャロライナ・リーパーなどが使われていて、食べた後に水分をどれだけ取らずにいられるかという『ワンチップチャレンジ』という遊びが流行っていたといいます。ハリスさんはこのチャレンジをした後に苦しんだといわれています」(全国紙記者)
激辛グルメの危険性
激辛による死亡とはどういうことなのだろうか。医師のひとりが解説する。
「辛いものが身体に入ると汗をかきますよね。その程度でやめておけばいいのですが、さらに食べ続けるとしびれが起き、食道や胃、腸などから出血します。最悪の場合はアレルギー反応などが起こり脳梗塞など死に至る可能性も。少年の死因はまだ特定されていないということですが、激辛で死亡するということはありうることなんです」
海外の出来事だからといって対岸の火事ではない。日本でもここ数年、激辛ブームが続いている。テレビ番組やYouTubeで激辛チャレンジ企画を目にした人は多いだろう。このブームに警鐘を鳴らすのは栄養士の樫木玲子さん。
「可愛いタレントさんが激辛料理をパクパク食べているのを見て“もったいないなぁ”と思ってしまいます。激辛を食べると身体の中で何が起きるかご存じですか? 胃の粘膜に傷がつき壁が剥がれます。胃壁が剥がれると下痢が続くので、痩せたとしてもげっそりとした嫌な痩せ方になります。胃は大荒れで、よほどケアしないと口臭がきつくなる。また、栄養が排出されてしまうので肌も荒れ、見た目年齢は老けると考えたほうがいいでしょう」
痩せるどころか太る可能性が
ダイエットで激辛を食す女性は多いが、これも「間違い」と樫木さん。
「辛いものを食べると辛味成分によって消化器の粘膜が刺激され、消化液と同時に唾液の分泌量が増えるんです。結果的に食欲が増進されてしまう上に腸内の運動も活発になり、いつもより栄養分の吸収力が高くなりやすいんです」
と身体の仕組みを説明する。さらに痩せない理由として、
「チゲ鍋やカレーなどの辛い料理はカロリーの高いメニューが多い。それを身体が吸収しやすくなると……。結果はおわかりですよね」
脂肪燃焼に効果があるカプサイシンについても補足する。
「唐辛子に含まれるカプサイシンは運動と組み合わせることで初めて脂肪燃焼効果が促されるといわれています。カプサイシン自体には脂肪を燃やす働きはないんです」
食事から摂取するだけでは効果はゼロどころか、太る可能性もあるとは。ではなぜ激辛=痩せるという認識が根づいたのか。
「痩せている芸能人、古くは中森明菜さんが“タバスコ”1本を一度に使い切るという報道がされたのが最初でした。以来、島袋寛子さんが唐辛子を持ち歩くと発言したり、'00年以降は韓国ブームが巻き起こり、韓国人女優の美肌とスタイルの秘訣はキムチなどと信じられるようになります。キムチは発酵食品ですし肌にいいのは確かなのですが、適量を超えるとやはり身体に悪いです」
激辛は度を越えると美容には逆効果どころか、死を招く危険なチャレンジなのだ。