「毎作品、(自分の演技について)これが正解なのかどうなのか、よくわからないです。というのも、自分で答えを出すものではないとも思っているので。
いいかどうかは作品を見てくださる方次第だと。感じ取った何かを持って劇場を後にしてくださるといいなと思います」
安藤サクラは“唯一無二”
沖田総司を演じた映画『燃えよ剣』('21年)以来となる、原田眞人監督作品『BAD LANDS バッド・ランズ』に出演するHey! Say! JUMPの山田涼介(30)。
「『燃えよ剣』のときの現場の緊張感は忘れられないです。監督の作品に初めて出演させていただいたということもあったと思いますが。
ただ、今回、初共演させていただいた安藤(サクラ)さんは、すごく明るい方で。監督が安藤さんの明るさに引っ張られて、ニコニコされているのを見て“原田さんって、笑うんだ”と思いました(笑)。すごく和やかな現場でしたね」
映画は、現場のムードとは対照的に特殊詐欺に加担する姉・ネリと弟・ジョーが大金を手にしたことをきっかけに物語が展開していくクライムサスペンス作品。
壮絶な過去を持ち、犯罪グループの元締めを補佐する主人公・ネリを安藤サクラが、純粋無垢かつ無鉄砲な美しきサイコパス・ジョーを山田が演じる。
「ネリとジョーは血がつながっていない姉弟ですが、安藤さんがその姉弟感をネリのふとしたしぐさなんかで引き出してくださって。引っ張っていただきました。
ネリとジョーのデコボコなコントラストは、安藤さんがつくってくださった印象が強いです。安藤さん、いい意味で芸能人ぽくない方。すごく自然体で、唯一無二の存在だと思いますね」
演じるうえで柔軟性を持つことが大事だったと語る、ジョーという役。
「“うるさいわ”と、息をするように人を殺すような、善悪の区別があいまいなジョーを演じるうえで、こんな人物かなとあまり意識をしないようにしました。撮影現場に行って感じ取ったものを表現する。それは、ジョーを通して新たに経験できたことです」
プレッシャーの反面うれしかったこと
大阪を舞台にした今作で苦労したのは、関西弁だったと語る。
「いちばんの壁でしたね。日頃、テレビ番組などで関西弁を耳にすることが多いので、なんとなくわかっているつもりでいたんです。でも、自分の認識していたイントネーションとまったく違いました。
身近に京都弁を話す友達はいますが、また違うので。しかもジョーは自由なキャラなので、監督から“涼介、ここの会話もうちょっと明るくして”とアドリブを求められることが多かったんです。
そうなったら、1~2分で話す内容を考えて、すぐに方言指導の方に“これ、関西弁でどう言うんですか”と聞いて。そのまま本番みたいな(笑)。すごいプレッシャーも感じつつ、それだけ監督が信頼してくれているのかなってうれしかったですね」
映画のキャッチコピーである“姉弟が向かう先は、 天国か地獄か?”から、地獄だった瞬間について聞くと、
「同じ業界ではない親友が、僕の誕生日にピンポンも鳴らさず、玄関の前に度数の強いお酒を置いていって。30歳の誕生日だったので30本。1本1本にメッセージが書いてあったんですよね。
当時、ドラマの撮影で忙しかったので、気を使って連絡をくれなかったんだと思います。でも、朝5時くらいに撮影に行こうと眠い目をこすりながら玄関を開けた瞬間、驚いて膝から崩れ落ちました。“この本数、誰が飲むねん!”と思って(笑)」
今年の5月に30代の仲間入りをした。
「昔からですが、あんまりこれを演じてみたい、あれをやりたいというのがなくて。自分で決めてしまうと、それになろうとするので、違う役が来たとき、方向転換に時間がかかってしまうから。即対応できるように柔軟でいたいんです。
だから、どんな役でも来いと思っています。自分にとって俳優は大好きな仕事で、それ以下でも、それ以上でもないですね」
しなやかで強く、美しい山田に『BAD LANDS バッド・ランズ』はとてもいい作品だったと伝えると、
「いや、うれしい。そう言っていただけて、もう僕は幸せです!」
とびきりの笑顔を見せてくれた。
山田涼介のBAD or GOOD
Q.“自発光”“全方位完全無欠男”と呼ばれること
BADです。僕はそんなふうに呼んでいただける人間じゃない。勘弁してください(笑)
Q.一緒にいて落ち着くのは、よく話してくれる人
どう、答えたらいいんだろう。あまりしゃべらなくても一緒にいることができる人のほうがいいです。
Q.愛情表現が豊かな人
GOOD!好きなモノだったり、好きな人に対して、僕は絶対に愛情を表現するので。
Q.自分の好きなものを共有したがる人
GOOD!僕自身も好きなモノの話を聞いてほしい。一緒にそのことを楽しんでほしいということじゃなくて、ただ「これ面白いよ」っていうことを伝えたいんですよね(笑)
最近、ホラー映画にハマっていて。さっきもメイクさんと共有しました。恐怖を感じる場所に行くことは避けたいので、僕自身は出演を考えてしまうジャンルなんですけど(苦笑)
配給:東映/ソニー・ピクチャーズエンタテインメント (c)2023「BAD LANDS」製作委員会