小さな調剤薬局からチェーン展開を始め、経営者や起業家を指導するスクールやセミナーも開催する経営者となったさとうたくじさん。
30代前半までは五里霧中の人生
しかし、そこに至るまでの人生は、波乱に満ちていた。「東京の薬科大学に入学したものの、留年をしたことで親から学費の仕送りをストップされ、生活できなくなりました」(さとうさん、以下同)
学費と生活費を稼ぐために足を踏み入れたのは、新宿・歌舞伎町のホストの世界。一時は歌舞伎町でホストの新人賞をもらうほど活躍したが、肝臓を悪くして大学卒業と同時に夜の世界も卒業した。
在学中の薬剤師国家試験には落ちてしまい、翌年合格。そのため劣等感が強く、よく自身と同級生を比べていた。
「薬剤師としての一歩を踏み出したものの、うれしさよりも『自分はいち薬剤師で終わりたくない!』との思いが強くて。出身地の熊本で薬剤師がブレンドする漢方茶屋を開いたのですが、すぐに経営が立ちゆかなくなり、1年で倒産に追い込まれました」
その後、チェーン店の薬局でがむしゃらに働く姿が認められて、製薬卸会社の社長にスカウトされる。34歳のときにわずか3人の小さな調剤薬局を持たせてもらい、1号店として再スタートを切った。
自分の隠れた才能に気づき、借金を返済
しかし、順調だった1号店のあとに出店した2号店の経営に失敗し、6000万円もの借金を背負ってしまう。
「なんとかしなければ」という思いから、人生を変えたいとさまざまなセミナーに通うなかで出合ったのが、「気の学問」だった。
古代中国から伝わり、江戸時代に日本にも定着した「陰陽五行説」がもとになっており、自分自身の新たな可能性に気づくことができるという。
「統計をもとにした占術ですし、僕は疑い深いので最初は半信半疑でした。ただ、周囲の人間に当てはめてみると納得できる部分があまりにも多くて。
『気の学問』で分類すると、僕はひらめきとか直感で未来を切り開くタイプなのですが、それまでは自分にそんな資質があるなんて、思ったことはありませんでした」
そして、薬局経営でも何となく安売りをしてみたりするだけで、自分の資質を活かした商売ができていないことに気づく。
「自分に自信がないのにとがっていたんですよね(笑)。自分を客観的に見られるようになり、仕事や人との接し方が変わりました」
2店舗の経営を1店舗に戻したうえで支出を徹底的に抑え、「どうしたら人に喜んでもらえるか」を模索するようになった。
「社員の給料や人件費は変えず、自分の給料を限界まで削って借金返済に充てました」
それまでの調剤薬局の役割のほかに、老人ホームや個人宅に薬の配達を始めた。そのころの熊本では、まだ薬の配送サービスがなかった。
「高齢者だと薬局に来るのも大変だという話を耳にしたんです。お客さんのニーズを意識するようになって視野が大きく広がり、やりがいが志に変わって“自分の軸”ができた。それで僕の“お金の器”が広がり、お金が入ってくるようになったと考えています」
服薬指導など、新しい方法を導入して、在宅医療支援にも取り組み始めた。すると、どんどん道が開けて業績も上昇し、年商5億円を達成。不動産事業なども手がけ、個人資産は3億円に達する。
「気の学問」についてもさらに深く研究。統計学や心理学の要素も取り入れて、一般の人にも取り入れやすい独自の「金運カエルの気学」に発展させ、“カエル先生”として講演や執筆も行っている。
“お金の器”を広げる日々の過ごし方
「がむしゃらに働いたからといってお金持ちになれるわけではない。努力には有効な方向性が必要なのです」
人間によって“お金の器”は違い、器が大きいとお金が入りやすく、お金持ちになると、さとうさんは考えている。
「この器は努力次第で大きくできます。それには毎月の支出をできるだけ抑えることが大事。まずは家計簿をつけてみてはどうでしょうか」
無駄な支出を見つけられて、金運アップにつながる。
「僕は今も支出をできるだけ抑えて生活をしています。本当に欲しいものは買いますが、無駄になりそうなサブスクはひとつもやっていません。固定費にも敏感ですね」
さとうさんが金運アップのために実践していることのひとつに財布の使い方がある。
「お金は金運を引き寄せてくれるもの。財布はそんなお金を入れておく大切な場所です。少し背伸びをして品質の良いものを選ぶことが大事」
見た目がくたびれてきたら買い替えるようにしているが、ポイントは財布を買う日よりも新しく使い始める日だ。
「何かを始めるのに最適な日である天赦日(※)や一粒万倍日に下ろしています」
※てんしゃび・「天が万物の罪をゆるす日」とされ、日本の暦の中で最高の吉日
財布を開くときは心の中でお金に向かって「行ってらっしゃい」「おかえりなさい」とつぶやく。また、クーポン券などを利用して節約するのはいいが、無理に値切って安く買うと金運が逃げてしまう。
「自分だけが得をしようと思わないで、正当な対価を支払います。そうすれば金運が上がり、臨時収入が入るなど、巡り巡って別の角度からお金が舞い込んできます」
何より大切なのは、自分の性質を知り、“強み”を見つけることだと語る。
「お金持ちになれる人はこれが上手。人と比べず、自分軸をしっかり持って生きているので生き方にも悩みません」
さとうさんの金運気学に基づくと、人間は大きく3つのタイプに分けられる。それぞれお金の稼ぎ方や使い方、付き合い方が変わる。
「自分の性質に合ったお金や人との付き合い方を実践すれば、あなたの金運の扉はおのずと開くはずです!」
「7つの習慣」で金運をアップ!
お金に好かれて金運をアップさせるには、お金との良い付き合い方を習慣づけることが大事。今日からまねしてみて!
習慣1:お金持ちになる方法は脳の検索エンジンに聞く
自分がやりたいことや将来の夢について、つねに脳の中で“検索”をかけていれば、ひらめきやアイデアが湧いてくる。
ただし、お金持ちの人は「人のために自分ができること」「人に喜んでもらえる方法」ということを検索する。なぜなら、世のため人のために何かをしたあとに、お金が巡ってくるのを知っているからだ。
習慣2:「お金は悪いもの」という考え方をやめる
お金が貯まらない人は、お金に対して「悪いこと、汚いこと」という負のイメージを抱いている。それでは金運を引き寄せられないので、プラスのイメージが持てるようにする。
例えば、自分にとって仕事とは「自分の力を活かせて、なおかつお金を得られる活動」と、考え方から変えてみるのもひとつの方法。
習慣3:神社では、自分のお願い事をするな
神社は自分のお願い事をする場所ではなく、お祈りをするために行くところ。「家が欲しい」「ブランドのバッグが欲しい」などと自分に関するお願いをするのはNG。
合格祈願や病気の平癒祈願など、誰かのためにお祈りをする場所であり、「家族が健康でいられてありがとうございます」「起業できてありがとうございます」と、感謝を伝えに行く場所でもある。
習慣4:財布の中は整え、お金がゆっくり休む場に
財布は“お札に印刷されている偉人の布団”だと考えて、居心地よく過ごしてもらえるようにする。不要なレシートやポイントカードなどは処分。
お札は金種ごとに分類して、人物の顔の方向をそろえて入れるようにすれば、偉人たちは財布の中でゆっくりと休むことができ、また自分の元に戻ってくる。
習慣5:お金を払うときは「行ってらっしゃい」
支払うときはお金を気持ちよく使うことを心がける。支払いのときに、お金がなくなる不安や、また買ってしまったという罪悪感を持つのではなく、「行ってらっしゃい」と、お金を送り出すこと。
自分も幸せな気持ちになり金運も高まる。レジでお釣りをもらうときも、心の中で「お帰りなさい」とお金をねぎらって。
習慣6:ポジティブワードでお金を引き寄せる
「お金がない」「私は稼げない」など、お金に対する負の口ぐせは言わない。たとえお金がなくても「私にはお金がある」「私は稼げる」とプラス思考の言葉を使うことで金運が高まる。
できれば、プラスの言葉を声に出して自分に言い聞かせ(聴覚)、ノートにも書いて(体感覚)、書いたものを見る(視覚)を使ってみて。
習慣7:本当に気に入ったものだけを買う
お金持ちは「安いから」という理由だけで買い物をしない。本当に必要なものだけを買うから、購入時に値札は見ない。普通の人はバーゲンセールを狙ったり、安くなってから買おうと考えるが、そもそも必要ではないことが多い。
本当に必要なものを見極めて最後まで大事に使うようにしよう。
さとうさん流自分のタイプに合ったお金との付き合い方
人間関係の築き方や、お金の付き合い方などで、人は3つのグループに分けられる。特性を知って金運を引き寄せよう!
ひらめきや発想を重視する「感性」重視型
自分の考えやひらめき、発想力を持っている。迷ったり悩んだりせずに、自分の直感で判断、決断をして行動できるタイプ。
生活の中で物事を決めるときに、悩まずに自分の直感で決める訓練をしていけば、運がつかめて金運が上昇する。
ただし、行動力はあるが、周囲からは口先ばかりの無計画と思われがち。未来のビジョンを考えて仕事をすると、自然とお金が貯まりやすい。
データや数字の分析が好きな「知性」重視型
数字のデータを読み取るのが得意な分析型タイプ。知性というだけあって、家計簿をつけて収入や支出をはっきりさせ、数字を把握する訓練をすると金運が上がる。
家計簿をつけていない人はつけることで、新しい一歩を踏み出せるチャンスが。社交性があり気配り上手だが、逆にそれで自己犠牲に陥る人が多い。
一人の時間を大切にすることも大切だ。
情に厚く面倒見のよい「理性」重視型
自分の経験から人間関係を築くのが上手で、情に厚く世話好き。これは長所でもあるが、知らない間に人の領域まで無頓着に入り込み「お節介な人」と思われたり、相手のためにと思ったのにやりすぎてしまうなど、逆に短所になることもある。
飲み会などで人におごることが多かったり、やけを起こして散財する傾向があるので、コツコツ貯めることを意識したい。
(取材・文/松澤ゆかり)