今期いちばん話題をさらったドラマ『VIVANT』が9月17日、最終回を迎えた。豪華キャストに壮大なストーリーが話題を呼び、幾重にも張り巡らされた伏線の回収はどうなるのか、考察や謎解きで毎話盛り上がりを見せたものの、すべてがスッキリというわけにはいかなかったようだ。続編を期待させる終わり方にSNS上では賛否両論が巻き起こっている。
《続編で完結って手法はどうなの? 主要キャストの不祥事でも起きたらお蔵入りになってしまうご時世だからこそ1回スッキリ終わらせて欲しかった》
《終わってから考察サイトを見るまでベキ達の生死がわからなかった》
《堺雅人の二重人格設定が生かされなかった気がする》
《小日向さんをただの不倫親父で終わらせないで~》
《最後の黒幕が最終回で突然出てきた橋爪功って……》
期待が高かっただけに、がっかりしてしまう人も多かったのだろう。
23日には『最高の教師』(日本テレビ系)も最終回を迎え、こちらもまたその結末に賛否の声が。
最終回がっかりドラマランキング2023
そこで、16歳~60歳の男女1000人に『過去3年以内の作品でがっかりしてしまった最終回ドラマ』を調査。多くの人をがっかりさせてしまったドラマ最終回作品は!?
「最終回と言わず、全編通してがっかりでした」(53歳・男性)、「何を見せられているんだろうと思っていたけど、最後くらいは大団円を見せると思っていたのにいきなり時代が40年もぶっ飛んでいた」(36歳・女性)
不名誉な1位はNHK朝の連続テレビ小説『ちむどんどん』('22年)。沖縄本土復帰50年の年に企画された同作。ヒロインの暢子(黒島結菜)とその家族の物語だが「初回から続いたがっかりにトドメを刺す最終回でした」と話すのはライターの成田全さん。
「開始時に“一人の女の子の何十年という歳月を濃く描きたい”“最終回がこうなるということを初めに決めてから、第1週の本を作るという新しい挑戦をしました”とチーフプロデューサーが発言していたので、我慢して見ていたところがありました……が! 最終回は30歳をとうに超えた3きょうだいが、生死をさまよう末妹(上白石萌歌)を病院に残して浜辺へ走り、海に向かって“おとうチャーン!”と快癒祈願を呼びかけると“まくとぅそーけー、なんくるないさー”と死んだ父親(大森南朋)から返答が! あまりのトンチキ展開にびっくりしていたら、瞬時に約40年も時間がたち、孫ができた主人公一族が老けメイクで沖縄に集結という噴飯のラストで終了しました」(成田さん)
同枠の前作が評価の高い『カムカムエヴリバディ』だっただけに視聴者も目が肥えていたのかも。
続く2位は、人気ドラマの呼び声が高い『silent』('22年・フジテレビ系)。8年ぶりに再会した元恋人は耳が聞こえなくなっていた、という衝撃の第1話から話題を呼んだ同作。新人脚本家の生方美久氏によるオリジナルストーリーで、聖地巡礼まで行われていたが、なぜがっかりに選ばれてしまったのか──。
「紬(川口春奈)と想(目黒蓮)の物語が見たかったのに、紬と湊斗(鈴鹿央士)を丁寧に描きすぎて最後雑な感じ。2人が惹かれ合っていく過程こそ丁寧に描いてほしかった」(33歳・女性)、「3話までが神でどんどん尻すぼみになっていった」(40歳・女性)、「途中から制作陣自ら“神回”とか言い出してうんざりした」(47歳・女性)
前出の成田さんは、「これはがっかりとはちょっと意味合いが違うのですが」と前置きした上でこう分析する。
「紆余曲折を経て、最終回では誰も傷つかず、皆が幸せだったことに少々物足りなさを感じましたが、難病モノ=悲恋ではない、令和の今のやさしさがある“時代の変わり目を象徴するドラマ”だったのではないでしょうか」
10月からは『silent』のスタッフが再び集結した『いちばんすきな花』(フジテレビ系)の放送が開始される。今度こそがっかりさせない最終回を!
3位は木村拓哉主演、4・5位は秋元康関連
3位は、スペシャル版が好評で連続ドラマ化されたあのドラマ。
「え? ここで終わり?っていうのはやめてほしい。完結させてよ」(32歳・男性)、「視聴者にストレスを感じさせるスタイルなのか。未解決で最終回を迎えるなんて。原作ありきだからってなんとかしてほしかった」(40歳・女性)
多くの人がモヤモヤを抱えさせられたのは木村拓哉主演の『風間公親-教場0-』('23年・フジテレビ系)。連続ドラマに先駆けて放送された『教場』は二夜連続で世帯視聴率15%超え、『教場II』も二夜連続で13%超えと高視聴率をマーク。連ドラ化も木村とバディを組む新人刑事に北村匠海、新垣結衣、染谷将太、赤楚衛二、白石麻衣など人気者をこれでもかと集めたのだが……。
ドラマウォッチャーの神無月ららさんは、
「教え子で捜一の相棒であった遠野(北村)が殉職し、警察学校教官に就任した風間(木村)が花壇に水やりをしていると、視線の先には遠野を惨殺した犯人の十崎(森山未來)がいて“妹は、どこだ?”とつぶやいて終わるラスト。翌週の特別編もただの総集編で終了し“オチ見せてよ! 犯人捕まえてよ!”と見終わって頭をかきむしりました(笑)」。
神無月さんは脚本家の橋田壽賀子さんが内館牧子氏に贈った名言を振り返る。
「“面白いアイデアがあったらその時に全部注ぎ込め、後にとっておこうとするな”との言葉を贈られたそうですが、ドラマの最終回も同じで、描き切ることで“次もあったら見たい!”と視聴者は思うもの。どうかもう出し惜しみしないで、と切に願います」
4位にランクインしたのは、前回のアンケートで1位を獲得した『あなたの番です』('19年・日本テレビ系)。2年前に紹介した作品はアンケート対象から除外したにもかかわらずランクイン。5位は『あな番』と同様、秋元康プロデュース作品の『漂着者』('21年・テレビ朝日系)。海岸に全裸で漂着した記憶喪失の男性、ヘミングウェイ(斎藤工)の周辺で起こる不可解な事件を描くミステリー、という触れ込みだったが。
ドラマウォッチャーのくのいちこさんは、
「ひたすら風呂敷を広げまくり、毎回思わせぶりな終わり方で視聴者をイライラさせたあげく、多くの謎が解決されなかったドラマ。ラストに『Season1終』の文字が現れ、やたら『ラスト5秒で何かが起こる』と言っていたのは、まさかこれのこと?と愕然としたが、シーズン2が作られる気配なし。話題にさえなれば、クオリティーなんてどうでもいいと言わんばかりの秋元康の作り方には、ドラマファンとして心底うんざりしている」
と、ドラマ手法に言及した。
*****
3年以内の作品と限定したものの、ここ1年の作品が上位を占めた。それだけ視聴者の記憶に残る作品が少ないということだろうか。 いくら話題になった『VIVANT』も2年も待たされたらもう忘れてしまいそう。制作陣には早めの続編をお願いしたい!
がっかり最終回ランキングトップ5
順位『作品名』(放送年・放送局)→キャスト/最終回視聴率/票数
1位『ちむどんどん』('22年・NHK)
→黒島結菜、仲間由紀恵、宮沢氷魚など/16.7%/142票
2位『silent』('22年・フジテレビ系)
→川口春奈、目黒蓮、鈴鹿央士など/9.3%/121票
3位『風間公親-教場0-』('23年・フジテレビ系)
→木村拓哉、新垣結衣、北村匠海など/10.6%/96票
4位『あなたの番です』('19年・日本テレビ系)
→田中圭、原田知世、西野七瀬など/19.4%/90票
5位『漂着者』('21年・テレビ朝日系)
→斎藤工、白石麻衣など/非公開/76票
以下6位は『テセウスの船』('20年・TBS系)「シリアスなドラマだったのに霜降り明星のせいやが犯人で急にコントになった」(43歳・男性)、「最終回の最後で唐突にハライチ澤部が弟役で出てきて噴いた」(32歳・女性)。他に神無月ららさんは今期の『警部補ダイマジン』(テレビ朝日系)をあげ、「少年漫画の打ち切りみたいな唐突な終わり方」と評した。「なし」「無回答」「わからない」は除外しています
(※ネットリサーチ会社『Freeasy』調べ:アンケート期間9月19日~20日:視聴率は世帯視聴率)
前回の『がっかり最終回』ランキングはこちら(※ランキングは'21年のもの)
1 『あなたの番です』 '19年・日本テレビ系
2 『24 JAPAN』 '20年・テレビ朝日系
3 『君と世界が終わる日に』 '21年・日本テレビ系
4 『先生を消す方程式。』 '20年・テレビ朝日系
5 『純と愛』 '12年・NHK
6 『東京ラブストーリー』 '91年・フジテレビ系
7 主人公が死んでしまうドラマ全般
8 『DIVER~特殊潜入班~』 '20年・フジテレビ系