2歳を迎えられる前月、愛子さまに絵本をお読みになる天皇陛下と雅子さま(2003年11月)(写真提供/宮内庁)

 愛子さまの幼少期のお気に入りは、ミリオンセラー絵本。美智子さまが上皇后になられたあとの楽しみに挙げられたのは英国のユーモア探偵小説。秋の夜長に読んでみたい、皇室の方々の思い出深い名作をとっておきのエピソードを添えて紹介します。

愛子さまのお気に入り絵本

 2004年、天皇陛下が撮影されたホームビデオで、当時2歳の愛子さまが手にされていた色と形を使ったかくれんぼ遊びの絵本。「もういいかい」「まぁだだよ」とかわいらしいお声でそらんじられ、お気に入りの一冊であることが伝わってくる。

 今ほど赤ちゃん向けの絵本が多くなかったころ、読み聞かせを大切にされるご両親から何度も読んでいただいたに違いない。

『うずらちゃんのかくれんぼ』きもとももこ/福音館書店/990円(※記事の中の写真をクリックするとアマゾンの紹介ページにジャンプします)

『うずらちゃんのかくれんぼ』きもとももこ/福音館書店/990円

子どものためのやさしい『古事記』

 美智子さまが、お子さまたちのための神話の本を探していらっしゃったときに上皇さまがおすすめになったという本。1940年に発行されて以降、多くの子どもたちに愛されてきた『かみさまのおはなし』は『古事記』をわかりやすい文章に置き換えた『カミサマノオハナシ』の復刻版。幼少期の上皇さまもお読みになっている。

読書に親しんでほしいという思いから、多くの本の読み聞かせをされた美智子さま(1971年2月)(写真提供/共同通信)
『かみさまのおはなし』藤田ミツ/講談社/1980円(※記事の中の写真をクリックするとアマゾンの紹介ページにジャンプします)

『かみさまのおはなし』藤田ミツ/講談社/1980円

離島の医療を描いた人気作

 皇太子時代から『Dr.コトー診療所』のドラマと原作マンガのファンだという天皇陛下。2022年に16年ぶりに映画が公開になった際には、ご一家で地域医療支援チャリティー上映会にお出ましになった。2000年から連載を開始した原作マンガは2022年6月時点で単行本累計発行部数1200万部超を誇り、映画と同じく吉岡秀隆が主演を務めるドラマも最高視聴率25.9%を記録している。

上映会では、コトー先生役の吉岡秀隆と笑顔でおことばを交わされた(2022年12月)(写真提供/JMPA)
『Dr.コトー診療所』山田貴敏/小学館(※記事の中の写真をクリックするとアマゾンの紹介ページにジャンプします)

『Dr.コトー診療所』山田貴敏/小学館

おふたりが交互に音読される珠玉の4冊

 早朝、お庭の散策と朝食を済まされた後、一緒に一冊の本を交互に音読することを日課にされている上皇ご夫妻。約30年前からの習慣で、これまでに寺田寅彦の随筆『柿の種』や堀辰雄の『大和路・信濃路』、モンテーニュの『随想録』、パスカルの『パンセ』など、国内外の数々の名著をご一緒にお読みになっている。

多忙なときでも、毎朝必ず文章を音読されるという上皇ご夫妻(2016年9月)(写真提供/宮内庁)

詩歌をテーマにしたエッセイ

 短歌、俳句、川柳、歌謡などから、毎日一つの作品を取り上げて解説を行った新聞連載のエッセイ集。

『折々のうた』大岡信/岩波新書/880円(※記事の中の写真をクリックするとアマゾンの紹介ページにジャンプします)

『折々のうた』大岡信/岩波新書/880円

大正から昭和の日々をつづった短文集

 日常の中の不思議を研究した物理学者であり、俳人としても知られる寺田寅彦の短文作品集。

『柿の種』寺田寅彦/岩波文庫/880円(※記事の中の写真をクリックするとアマゾンの紹介ページにジャンプします)

『柿の種』寺田寅彦/岩波文庫/880円

旅の感動を率直に記した随筆集

 ジブリによって映画化された小説『風立ちぬ』で知られる作家の、エッセイと小品をまとめた一冊。

『大和路・信濃路』堀辰雄/新潮社/506円(※記事の中の写真をクリックするとアマゾンの紹介ページにジャンプします)

『大和路・信濃路』堀辰雄/新潮社/506円

日本語の美しさを実感する随筆集

 四季を彩る季節の詞(ことば)の数々を、名句や名歌の引用と共に親しみやすい文体で紹介した一冊。

『ことばの歳時記』山本健吉/角川ソフィア文庫/968円(※記事の中の写真をクリックするとアマゾンの紹介ページにジャンプします)

『ことばの歳時記』山本健吉/角川ソフィア文庫/968円

英国王室にも人気のユーモア小説

 84歳のお誕生日を迎えた美智子さまが、ご公務を離れたあとの楽しみだと明かされたのが読書。《読み出すとつい夢中になるため、これまでできるだけ遠ざけていた探偵小説も、もう安心して手許に置けます。ジーヴスも2、3冊待機しています》と英国王室やミステリー作家のアガサ・クリスティの愛読書としても知られるユーモア文学の最高傑作を挙げられた。

84歳のお誕生日を目前に控えられた美智子さま。この半年後に上皇后になられご公務を離れられた(2018年10月)(写真提供/宮内庁)
『ジーヴズの事件簿才智縦横の巻』P・G・ウッドハウス/文藝春秋/649円(※記事の中の写真をクリックするとアマゾンの紹介ページにジャンプします)

『ジーヴズの事件簿才智縦横の巻』P・G・ウッドハウス/文藝春秋/649円

紀子さまが悠仁さまのために選ばれた絵本

 お子さまたちに多くの絵本の読み聞かせをされた紀子さま。2007年に開催された東京国際ブックフェアでは、当時1歳10か月の悠仁さまのために、人とのやりとりを覚える絵本を選ばれた。

紀子さまは絵本にご関心をお持ちで、3人のお子さまたちが幼いころには東京子ども図書館に一緒に出かけられたことも(2007年9月)(写真提供/宮内庁)
『すっくのこんなときって なんていう?~ともだちできたよ~』たかてらかよ(文)、さこももみ(絵)/ひかりのくに/660円(※記事の中の写真をクリックするとアマゾンの紹介ページにジャンプします)

『すっくの こんなときって なんていう?~ともだちできたよ~』たかてらかよ(文)、さこももみ(絵)/ひかりのくに/660円

幼き日の雅子さまが愛し、涙された不朽の児童文学

 幼少期をアメリカで過ごされた雅子さまは、日本から送ってもらった童話全集を毎晩、読んでもらうのが日課だったそう。数ある童話の中でも、『フランダースの犬』は何度も繰り返し読んでもらうほどのお気に入りで、主人公のネロ少年とパトラッシュが死ぬ場面では、毎回涙を浮かべられたという。

自宅でたくさんの本に囲まれ、お父さまと過ごされる生後約3か月の雅子さま(1964年)(写真提供/宮内庁)
『フランダースの犬』ウィーダ/新潮文庫/440円(※記事の中の写真をクリックするとアマゾンの紹介ページにジャンプします)

『フランダースの犬』ウィーダ/新潮文庫/440円(※記事の中の写真をクリックするとアマゾンの紹介ページにジャンプします)

美智子さま 紀子さまご愛読の心理エッセイ

 美智子さまの相談相手を務めた精神科医でもある著者が、人生を旅にたとえ、人の誕生から人生の終章までの心の歩みを、丁寧に綴った一冊。

『こころの旅』神谷美恵子/みすず書房/1760円(※記事の中の写真をクリックするとアマゾンの紹介ページにジャンプします)

『こころの旅』神谷美恵子/みすず書房/1760円

小室眞子さんが読んだ恩田陸のデビュー作

 小室眞子さんが学習院女子高等科時代、「これ面白いから貸してあげるね」と同級生にすすめたというミステリーホラー作品。青春小説の名作として名高い。

『六番目の小夜子』恩田陸/新潮文庫/693円(※記事の中の写真をクリックするとアマゾンの紹介ページにジャンプします)

『六番目の小夜子』恩田陸/新潮文庫/693円

 

『六番目の小夜子』恩田陸/新潮文庫/693円(※記事の中の写真をクリックするとアマゾンの紹介ページにジャンプします)

 

『うずらちゃんのかくれんぼ』きもとももこ/福音館書店/990円(※記事の中の写真をクリックするとアマゾンの紹介ページにジャンプします)

 

『かみさまのおはなし』藤田ミツ/講談社/1980円(※記事の中の写真をクリックするとアマゾンの紹介ページにジャンプします)

 

『Dr.コトー診療所』山田貴敏/小学館(※記事の中の写真をクリックするとアマゾンの紹介ページにジャンプします)

 

『折々のうた』大岡信/岩波新書/880円(※記事の中の写真をクリックするとアマゾンの紹介ページにジャンプします)

 

『柿の種』寺田寅彦/岩波文庫/880円(※記事の中の写真をクリックするとアマゾンの紹介ページにジャンプします)

 

『大和路・信濃路』堀辰雄/新潮社/506円(※記事の中の写真をクリックするとアマゾンの紹介ページにジャンプします)

 

『ことばの歳時記』山本健吉/角川ソフィア文庫/968円(※記事の中の写真をクリックするとアマゾンの紹介ページにジャンプします)

 

『ジーヴズの事件簿才智縦横の巻』P・G・ウッドハウス/文藝春秋/649円(※記事の中の写真をクリックするとアマゾンの紹介ページにジャンプします)

 

『すっくのこんなときって なんていう?~ともだちできたよ~』たかてらかよ(文)、さこももみ(絵)/ひかりのくに/660円(※記事の中の写真をクリックするとアマゾンの紹介ページにジャンプします)

 

『フランダースの犬』ウィーダ/新潮文庫/440円(※記事の中の写真をクリックするとアマゾンの紹介ページにジャンプします)

 

『こころの旅』神谷美恵子/みすず書房/1760円(※記事の中の写真をクリックするとアマゾンの紹介ページにジャンプします)

 

2歳を迎えられる前月、愛子さまに絵本をお読みになる天皇陛下と雅子さま(2003年11月)(写真提供/宮内庁)

 

読書に親しんでほしいという思いから、多くの本の読み聞かせをされた美智子さま(1971年2月)(写真提供/共同通信)

 

上映会では、コトー先生役の吉岡秀隆と笑顔でおことばを交わされた(2022年12月)(写真提供/JMPA)

 

上映会では、コトー先生役の吉岡秀隆と笑顔でおことばを交わされた(2022年12月)(写真提供/JMPA)

 

自宅でたくさんの本に囲まれ、お父さまと過ごされる生後約3か月の雅子さま(1964年)(写真提供/宮内庁)

 

紀子さまは絵本にご関心をお持ちで、3人のお子さまたちが幼いころには東京子ども図書館に一緒に出かけられたことも(2007年9月)(写真提供/宮内庁)

 

84歳のお誕生日を目前に控えられた美智子さま。この半年後に上皇后になられご公務を離れられた(2018年10月)(写真提供/宮内庁)

 

多忙なときでも、毎朝必ず文章を音読されるという上皇ご夫妻(2016年9月)(写真提供/宮内庁)