愛子さまの幼少期のお気に入りは、ミリオンセラー絵本。美智子さまが上皇后になられたあとの楽しみに挙げられたのは英国のユーモア探偵小説。秋の夜長に読んでみたい、皇室の方々の思い出深い名作をとっておきのエピソードを添えて紹介します。
愛子さまのお気に入り絵本
2004年、天皇陛下が撮影されたホームビデオで、当時2歳の愛子さまが手にされていた色と形を使ったかくれんぼ遊びの絵本。「もういいかい」「まぁだだよ」とかわいらしいお声でそらんじられ、お気に入りの一冊であることが伝わってくる。
今ほど赤ちゃん向けの絵本が多くなかったころ、読み聞かせを大切にされるご両親から何度も読んでいただいたに違いない。
『うずらちゃんのかくれんぼ』きもとももこ/福音館書店/990円
子どものためのやさしい『古事記』
美智子さまが、お子さまたちのための神話の本を探していらっしゃったときに上皇さまがおすすめになったという本。1940年に発行されて以降、多くの子どもたちに愛されてきた『かみさまのおはなし』は『古事記』をわかりやすい文章に置き換えた『カミサマノオハナシ』の復刻版。幼少期の上皇さまもお読みになっている。
『かみさまのおはなし』藤田ミツ/講談社/1980円
離島の医療を描いた人気作
皇太子時代から『Dr.コトー診療所』のドラマと原作マンガのファンだという天皇陛下。2022年に16年ぶりに映画が公開になった際には、ご一家で地域医療支援チャリティー上映会にお出ましになった。2000年から連載を開始した原作マンガは2022年6月時点で単行本累計発行部数1200万部超を誇り、映画と同じく吉岡秀隆が主演を務めるドラマも最高視聴率25.9%を記録している。
『Dr.コトー診療所』山田貴敏/小学館
おふたりが交互に音読される珠玉の4冊
早朝、お庭の散策と朝食を済まされた後、一緒に一冊の本を交互に音読することを日課にされている上皇ご夫妻。約30年前からの習慣で、これまでに寺田寅彦の随筆『柿の種』や堀辰雄の『大和路・信濃路』、モンテーニュの『随想録』、パスカルの『パンセ』など、国内外の数々の名著をご一緒にお読みになっている。
詩歌をテーマにしたエッセイ
短歌、俳句、川柳、歌謡などから、毎日一つの作品を取り上げて解説を行った新聞連載のエッセイ集。
『折々のうた』大岡信/岩波新書/880円
大正から昭和の日々をつづった短文集
日常の中の不思議を研究した物理学者であり、俳人としても知られる寺田寅彦の短文作品集。
『柿の種』寺田寅彦/岩波文庫/880円
旅の感動を率直に記した随筆集
ジブリによって映画化された小説『風立ちぬ』で知られる作家の、エッセイと小品をまとめた一冊。
『大和路・信濃路』堀辰雄/新潮社/506円
日本語の美しさを実感する随筆集
四季を彩る季節の詞(ことば)の数々を、名句や名歌の引用と共に親しみやすい文体で紹介した一冊。
『ことばの歳時記』山本健吉/角川ソフィア文庫/968円
英国王室にも人気のユーモア小説
84歳のお誕生日を迎えた美智子さまが、ご公務を離れたあとの楽しみだと明かされたのが読書。《読み出すとつい夢中になるため、これまでできるだけ遠ざけていた探偵小説も、もう安心して手許に置けます。ジーヴスも2、3冊待機しています》と英国王室やミステリー作家のアガサ・クリスティの愛読書としても知られるユーモア文学の最高傑作を挙げられた。
『ジーヴズの事件簿才智縦横の巻』P・G・ウッドハウス/文藝春秋/649円
紀子さまが悠仁さまのために選ばれた絵本
お子さまたちに多くの絵本の読み聞かせをされた紀子さま。2007年に開催された東京国際ブックフェアでは、当時1歳10か月の悠仁さまのために、人とのやりとりを覚える絵本を選ばれた。
『すっくの こんなときって なんていう?~ともだちできたよ~』たかてらかよ(文)、さこももみ(絵)/ひかりのくに/660円
幼き日の雅子さまが愛し、涙された不朽の児童文学
幼少期をアメリカで過ごされた雅子さまは、日本から送ってもらった童話全集を毎晩、読んでもらうのが日課だったそう。数ある童話の中でも、『フランダースの犬』は何度も繰り返し読んでもらうほどのお気に入りで、主人公のネロ少年とパトラッシュが死ぬ場面では、毎回涙を浮かべられたという。
『フランダースの犬』ウィーダ/新潮文庫/440円(※記事の中の写真をクリックするとアマゾンの紹介ページにジャンプします)
美智子さま 紀子さまご愛読の心理エッセイ
美智子さまの相談相手を務めた精神科医でもある著者が、人生を旅にたとえ、人の誕生から人生の終章までの心の歩みを、丁寧に綴った一冊。
『こころの旅』神谷美恵子/みすず書房/1760円
小室眞子さんが読んだ恩田陸のデビュー作
小室眞子さんが学習院女子高等科時代、「これ面白いから貸してあげるね」と同級生にすすめたというミステリーホラー作品。青春小説の名作として名高い。
『六番目の小夜子』恩田陸/新潮文庫/693円