堺雅人主演の『VIVANT』(TBS系)が話題となった夏ドラマ。それとバトンタッチするかのように、10月から堺の妻・菅野美穂が『ゆりあ先生の赤い糸』(テレビ朝日系)で2年ぶりの連ドラ主演を果たす。
そんな菅野の過去の名作ドラマが9月からTVerで配信されネットなどで話題となっている。彼女の連ドラ初主演で出世作ともいえる『イグアナの娘』('96年・テレビ朝日系)だ。
娘の姿がイグアナにしか見えず、愛することができないゆりこ(川島なお美さん)と、母から「あなたはイグアナなんだから絶対に幸せになれない」と言われ続けて育ち、自己肯定感の低い子になってしまったヒロインのリカ(菅野)。そんな母と娘の葛藤と成長を描いた衝撃の物語なのだが、SNSなどでは「今の時代に見ても新鮮!」と若い世代を中心に再び注目を集めている。
母の視点になった途端…
なぜ27年前の作品が世代を超えウケているのか。ドラマウォッチャーで漫画家のカトリーヌあやこさんは、「私も見返してみたのですが、内容が濃く、どの世代にも刺さる作品だなとあらためて感じました」と話す。
「リカに初めてできた親友がドラマ中盤で突然、交通事故で死んでしまったり、ボーイフレンドが留学することになり、一緒に来てほしいと言われ高校生同士なのに海外に行こうとしたりと、'90年代のドラマらしく毎回、怒濤の展開が繰り広げられるんです。
あと、すごく可愛い菅野さんが、お母さん視点の画面になった途端、イグアナ姿になってしまうシュール感がたまらない(笑)。何よりも衝撃なのが、最終的にお母さん自身がイグアナだったこと。考えてみるとイグアナの娘というタイトルが超ネタバレしていますが、そこも含めてよくできている作品だと思います」(カトリーヌさん、以下同)
今度は菅野に“母役”を
萩尾望都の原作を見事にドラマ化した点も評価が高いという。
「原作は50ページくらいの読み切り作品で、萩尾先生自身も母親に対する葛藤があり、その実体験が盛り込まれているんです。リカが母親の誕生日にプレゼントをあげようとして拒絶されるシーンがありますが、これは萩尾先生の実際のエピソードだそう。
母と娘の関係性についても、ただ娘をいじめるのではなく、なぜ自分は娘を愛せないんだろうという背景もしっかり描かれている。そういった母娘の普遍的なテーマもしっかりあって、今見ても色あせないドラマだと思います」
名作は往々にしてリメイクされるもの。放送から27年がたち、「究極の母と娘の物語というテーマは、今の時代でもマッチしている」と、カトリーヌさん。
「また岡田惠和さんの脚本でリメイクしてほしいです。今度は菅野さんがお母さん役を演じて、娘役は當真あみちゃんにやってほしいですね。川島さんが演じたお母さん役は、女優としてとてもやりがいがある役だと思うんです。もしリメイクされたら、キモかわいかったイグアナ姿が、CGでリアルになりドン引きしてしまうおそれはありますが(笑)、現代版として期待したいです」
期間限定で配信中なので、まだ見ていない方はぜひ!