10月2日、故・ジャニー喜多川氏による性加害問題で揺れるジャニーズ事務所が、今後の運営方針を発表する記者会見を行った。
「東山紀之新社長の就任などを発表した9月7日の会見では、その数日後からジャニーズのタレントを広告に起用していた企業が次々と広告契約の見直しを図りました。今回の会見後は、テレビ局がタレント起用についての判断を迫られる可能性があります」(スポーツ紙記者、以下同)
サブスクなどの台頭でヒットチャートが崩壊
年末になると音楽特番などでジャニーズグループを起用する機会が増えるテレビ局。その中で、厳しい方針を打ち出しているのがNHKだ。
「9月27日に行われたNHK会長の定例会見で、被害者への補償や再発防止策が十分に行われていると判断されるまで、所属タレントに新規の出演依頼は行わないことが発表されました。ただし、今回の会見を受けて、その対応が変わる可能性もある。ただ、現時点では大みそかの紅白歌合戦にジャニーズタレントの出場が“0”となることもありえます」
もし、0組となった場合は、44年ぶりとなる。近年は、毎年5~6組ほどが出場していた。また、司会にも多くのジャニーズタレントが起用されてきた。
音楽評論家で尚美学園大学副学長の富澤一誠さんは、紅白でジャニーズが起用されてきた理由を、次のように分析する。
「現代は、サブスクなどの台頭でヒットチャートが崩壊しています。なので“誰もが知っているヒット曲”が生まれづらい。もともと紅白は、その年を代表するヒット曲を持つ歌手が出場していましたが、それが難しくなっています。そこで、視聴率が取れる人気者を集めると、必然的にジャニーズが多くなったのではないでしょうか」
例年、11月中旬に出場歌手が発表されるが、今年はどうなるのだろうか。
週刊女性は、全国の20代以上の女性1000人に緊急アンケートを実施した。
最も多かったのは「タレントに罪はない」
まず、「出場してもよいと思う」「どちらかというと出場してもよいと思う」「どちらかというと出場してはいけないと思う」「出場してはいけないと思う」の4択で、ジャニーズタレントの紅白出場についての意見を聞いた。結果は次のとおりだ。
・「出場してもよいと思う」39・6%
・「どちらかというと出場してもよいと思う」28・8%
・「どちらかというと出場してはいけないと思う」14・5%
・「出場してはいけないと思う」17・1%
「出場してもよい」という意見を合算すると、約7割(68・4%)という結果になった。
その理由として最も多かったのは、
「タレントには罪はない」
というもの。
その根強い人気を象徴するように、こんな回答も。
「ジャニーズの人気で紅白はさんざん恩恵を受けてきたと思うので、今さら外すなんてひどいと思う」(26歳・会社員)
「ジャニーズが出なくなったら、まったくNHKを見なくなる。受信料を払っているのに」(47歳・会社員)
さらに、テレビ局の姿勢も問われているようだ。
「放送局側にも問題があるのに、出演者側にのみ責任を問うのも疑問。所属タレントの仕事を奪うのは、“彼らの権利を侵害し尊厳を傷つけることにはならないのか?”とも思うので」(51歳・パート・アルバイト)
一方、「出場してはいけないと思う」という意見を合算すると約3割(31・6%)だった。
その理由としては、
「まだ問題が解決していない」
という声が多く、
「ジャニーズ事務所の問題なので、ほかの芸能事務所に移籍するならば出場してもよい」
といった意見も。
さらに、NHKが公共放送であることから、世界からの目を意識した回答もあった。
「個人は関係ないというが、世界はそういう目で見ない。世界から日本が非難される。すべて解決するまで控えたほうがよいと思う」(63歳・パート・アルバイト)
「世界的に見ても稀な規模の性加害事件を起こした企業のタレントを、日本を代表する伝統的な番組に出演させることは、世界的な恥になると思うから」(47歳・無職)
また、性加害問題にかかわらず、これまでの“ジャニーズ枠”に疑問を抱いていた意見も見受けられた。
「過去の出場枠についても不透明さを感じていたので、今回の問題を契機に見直す必要があると思う」(64歳・専業主婦)
“演歌第7世代”に白羽の矢が立つ可能性
もしも、ジャニーズ勢の出場がない場合、例年どおりの組数であれば、5~6組の男性アーティストが新たに出場できる可能性が出てくる。
アンケートでは、ジャニーズがいない場合に出場してほしいアーティストも聞いた(複数回答)。しかし、過半数の支持を集めるアーティストはおらず、『BTS(20・1%)』『Da―iCE(13・5%)』『BE:FIRST(11・9%)』が上位3組となった。
“ジャニーズ枠”を奪うアーティストが誰になるのか、混戦状態となりそうだ。
有力候補といわれているのは、グループアーティストだけではなく……。
「辰巳ゆうとさん、新浜レオンさん、二見颯一さん、彩青さんら“演歌第7世代”に白羽の矢が立つ可能性が浮上しています。年配の女性層からアイドル並みの支持を得ており、ジャニーズさながらの手作りうちわで応援する女性ファンもいるんです」(レコード会社関係者)
前出の富澤さんにも“演歌第7世代”の人気ぶりを聞いた。
「彼らの曲は“ド演歌”ではなく“歌謡ポップス”のようなものが多い。ポップスの良さもあるけれど、歌謡曲のわかりやすさもあるので、非常に聴きやすいのです。さらに見た目もカッコいいですから、非常に高い人気を集めています。今回、ジャニーズの出場がなくなった場合、彼らが抜擢される可能性は高いと思います」(富澤さん、以下同)
それ以外にも“SNS系”が増加することも考えられるという。
「ジャニーズがいないぶん、若者たちの視聴率を獲得するべく、TikTokなどのSNSで人気を集めているアーティストが増えるのではないでしょうか」
“紅白”の勝負を決める前に“白黒”つけるべき問題が山積みのようだ。